本の題名だけを見ると勘違いしてしまいそうだけど、決してAKB48イコールブラック企業といった内容ではない。労働問題というスコープでもってAKBを読み解く、というとちょっと違うけど、言わばAKBを日本の労働問題のイディアル・ティプスに見立てて論じるとでも言うか、そんななかなかユニークにして、はっきり断言してしまおう、秀逸な内容になってる。傑作とまでは言い切らないけど、私がこれまで読んできたAKB関連の著作の中では、間違いなくダントツに面白い。絶賛。
まず何よりも素晴らしいのは、著者がAKBのハイコンテクストの隅々まで、正確に知り尽くしてること。不肖私が気づける範囲で、誤解や無理解、偏見はほぼ皆無(ここで「ほぼ」というのは理由があるけど、それは後記)。かと言って決してヲタ目線でもない。そういう意味では、些かの躊躇とともに書かせていただくけど、本ブログの立ち位置に極めて近い。ちなみに、だから褒めてるわけじゃないからね。
その上で、例によってこれは批判ではないよと断っておくけど、問題点があるとすれば、それは著者の専門分野なんだろう、労働問題というカテゴリー内に、結果的にではあっても、AKBムーブメントを、いわば矮小化してはめ込んでしまってるところかと。そのため、著者の想定したテーブルからはみ出してしまう部分は、存在しないことにされてしまうか、もしくは理解を歪ませるしかなくなるわけで、実際にそう感じられる部分がけっこうあった。
一例、本ブログにおいて高く評価するととともに、たびたび参照させていただいてる仲谷明香著「非選抜アイドル」について、本書でも複数箇所で参照されてるんだけど、その取扱は恣意的なものになってると言わざるを得ないし、その一方で、少なくとも私には仲谷さんの主張の根幹と思われたAKB共同体論が、みごとにスルーされてる。
また、労働問題と言うことでは避けて通ることはできないはずの、宗教を含めた行動規範や倫理について、まったく触れていない、少なくとも明示的ではないのも気になった。宗教問題が大変面倒というのは分かるけど、そしてそちら方面の専門書なんかでも、ほぼ見事にスルーされてるという背景としての現実は知ってるけど、それでも敢えて指摘せざるを得ない。
もちろんのこと、「宗教を含めた行動規範や倫理」ということは、それを論じるためには人間論、そして文明論にならざるを得ないんであって、そこまで視野に含めることができたなら、これが労働問題という枠組みを遙かに超えるものであると言うこと、AKBムーブメントが、とんでもなく大きな枠組みの中に置かれるべきものであると言うことに、気づけるんじゃないかと思う。
それでも、日本文明論の系としての労働問題という視点ということであれば、それはそれで十分に意義深いことだと思うし、本書はたぶん、そういった方向性での初の試みじゃないだろか。分析の適切さとユニークさという両面で、そしてなによりも、上から目線で申し訳ないと断っとくけど、AKBというものを相当程度、正確に理解されてるという点で、高く評価したいと思う。
まず何よりも素晴らしいのは、著者がAKBのハイコンテクストの隅々まで、正確に知り尽くしてること。不肖私が気づける範囲で、誤解や無理解、偏見はほぼ皆無(ここで「ほぼ」というのは理由があるけど、それは後記)。かと言って決してヲタ目線でもない。そういう意味では、些かの躊躇とともに書かせていただくけど、本ブログの立ち位置に極めて近い。ちなみに、だから褒めてるわけじゃないからね。
その上で、例によってこれは批判ではないよと断っておくけど、問題点があるとすれば、それは著者の専門分野なんだろう、労働問題というカテゴリー内に、結果的にではあっても、AKBムーブメントを、いわば矮小化してはめ込んでしまってるところかと。そのため、著者の想定したテーブルからはみ出してしまう部分は、存在しないことにされてしまうか、もしくは理解を歪ませるしかなくなるわけで、実際にそう感じられる部分がけっこうあった。
一例、本ブログにおいて高く評価するととともに、たびたび参照させていただいてる仲谷明香著「非選抜アイドル」について、本書でも複数箇所で参照されてるんだけど、その取扱は恣意的なものになってると言わざるを得ないし、その一方で、少なくとも私には仲谷さんの主張の根幹と思われたAKB共同体論が、みごとにスルーされてる。
また、労働問題と言うことでは避けて通ることはできないはずの、宗教を含めた行動規範や倫理について、まったく触れていない、少なくとも明示的ではないのも気になった。宗教問題が大変面倒というのは分かるけど、そしてそちら方面の専門書なんかでも、ほぼ見事にスルーされてるという背景としての現実は知ってるけど、それでも敢えて指摘せざるを得ない。
もちろんのこと、「宗教を含めた行動規範や倫理」ということは、それを論じるためには人間論、そして文明論にならざるを得ないんであって、そこまで視野に含めることができたなら、これが労働問題という枠組みを遙かに超えるものであると言うこと、AKBムーブメントが、とんでもなく大きな枠組みの中に置かれるべきものであると言うことに、気づけるんじゃないかと思う。
それでも、日本文明論の系としての労働問題という視点ということであれば、それはそれで十分に意義深いことだと思うし、本書はたぶん、そういった方向性での初の試みじゃないだろか。分析の適切さとユニークさという両面で、そしてなによりも、上から目線で申し訳ないと断っとくけど、AKBというものを相当程度、正確に理解されてるという点で、高く評価したいと思う。