白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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永世七冠

2017年12月05日 19時29分23秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は凄いニュースがありましたね。
将棋の羽生棋聖が竜王位を獲得し、永世竜王に!
これで七大タイトル全ての永世称号を獲得!
凄すぎて言葉を失いますね。
漫画の展開でもなかなかここまではできないでしょう
ちなみに、ここに含まれないNHK杯でも10回優勝して、名誉称号を持っているそうです・・・。

かつて羽生さんが同時七冠制覇したのは1996年の2月で、当時私が小学6年生の頃でした。
私が碁に出会ったのが94年の8月頃でしたから、もし七冠制覇が2年早かったら将棋のプロを目指していたかもしれません。
もちろん、プロになるような才能は無かったと思いますが・・・(笑)。
それぐらい、当時世間に広く将棋ブームを巻き起こした出来事でしたね。

その業績だけでも素晴らしいですが、それから現在に至るまでトップに居続けるのもまた凄いことです。
私は将棋はほとんど指すことができませんが、頭の使い方については何となく想像できます。
囲碁に比べると瞬発力が要求される面が大きく、年齢の影響も大きいでしょう。
実際、40代以降にタイトルを獲得した棋士は囲碁界と比べて圧倒的に少ないようです。
ただ、69歳で亡くなるまでA級を維持し続けた、大山康晴という化け物のような棋士も存在しましたし・・・。
稀有な才能の持ち主は、常識に当てはまらないのかもしれませんね。

これでタイトル獲得数が99になったとのことで、その数字だけ見ても凄いのですが・・・。
実は、囲碁界での数え方とは違うのですね。
将棋におけるタイトルとは、NHK杯などを含まないので・・・。
囲碁界の基準に合わせると143ですね。
恐ろしい・・・。

羽生さんは勝負を離れても多くのメディア出演、各地を飛び回ってイベントに参加するなど、将棋界の代表としての活躍も素晴らしいです。
こういう方がいることは、囲碁界にとっても有り難いですね。
羽生さんと同様に飛び抜けた存在である井山さんも、大いに学ぶところがあるでしょう。

ところで、20年後の井山さんが羽生さんのように実力を維持しているかどうかですが・・・。
私は可能であるとみています。
流石に今と全く同じ力とはいかないでしょうが、少なくともトップで争っていることは間違いないでしょう。
その時にタイトルを沢山持っているかどうかは、今後の若手のレベルアップ次第ですね。

ちなみに、囲碁界の名誉称号の獲得資格は、基本的にタイトル獲得連続5期もしくは通算10期となっています。
井山さんの名誉称号までの道のりは・・・。

棋聖・・・獲得済
名人・・・あと4期
本因坊・・・獲得済
王座・・・来年~再来年の連覇orあと5期
天元・・・来年~再来年の連覇orあと4期
碁聖・・・獲得済
十段・・・来年~3連覇orあと6期

となっています。
名人に関しては、まず間違いなく達成するでしょう。
しかし、他の棋戦は本戦がトーナメントなので、井山さんでも1回戦から勝ち抜くのは簡単ではないでしょう。
今のうちにどれだけ連覇を続けられるかが鍵になりますね。

羽生さんと比べられるほどの棋士が生まれたのは、囲碁界にとって幸運なことです。
この幸運を生かして、世間に囲碁の魅力を広めていきたいですね。