皆様こんばんは。
本日は午前は五反田・午後は永代塾囲碁サロンにて指導碁を行いました。
近年は指導碁を数多く打っていますが、私の仕事の中でも最も楽しい部類ですね。
打つこと自体が楽しいということもありますが、お客様の上達を感じることができる点も大きいです。
何しろ、私自身はもう大きく棋力が変わることはありませんから・・・。
あと2子ぐらい強くなりたい気持ちはありますが、それは流石に無理でしょう(笑)。
さて、本日は読みについてお話しします。
囲碁において読みは非常に重要です。
ですから、読みのトレーニングは有効な上達法とされています。
ただ、注意点として、読みには2種類あるということを知っておきましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/d5/2d57a71a421095a5e412b9ea86701f4a.jpg)
<1図>
まずはこの図をご覧ください。
黒が1手目をこう打って、白が2手目をこう打って、黒が3手目をこう打って、白が4手目をこう打って・・・。
このように、数手先を想定していくことを私は縦の読みと呼んでいます。
地面を真っ直ぐ掘り進んでいくようなイメージですね。
「何手先まで読めますか?」という質問は、プロなら誰しも受けたことがあるでしょう。
そして、例えば「60手先まで読むこともある」などと答えると「凄い!流石プロだ!」などと驚いて頂けたりします。
でも、実際にはそんなに凄いことではないのです。
一本道を読むのであれば、プロにとっては10手だろうと100手だろうと難易度に変わりはなく、確認にかかる時間が違うぐらいです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/59/52ac128b27b6548be67d0d00bace3216.jpg)
<2図>
ですが、読みは縦だけではなく横にも広がります。
つまり、自分や相手の手には複数の選択肢があるということです。
自分が黒1の手を打ったとして、それに対して相手は白2で何通りか選択肢があります。
そして、そのそれぞれの手に対して黒3の手を打つわけですが、それにもまた何通りか選択肢があり、その枝分かれの先にまた白4をどう打つかの選択肢があり・・・。
と、想定されるコースはどんどん長く、かつ幅広くなっていくわけですね。
例えば、1つの手に対する対応が3通り考えられるとすれば、白2の時点でルートが3つに分かれ、黒3の時点でそれが3倍になり、白4でまた3倍になるわけです。
たった4手のうちに、27本ものルートが生まれました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/39/d234052737c72fdc656e62551c66ee38.jpg)
<3図>
また、そもそも初手にもいくつか選択肢が考えられるわけで、ここでも3通りとすれば27×3=81本のルートを想定することになります。
ほんの少し先を読もうとしただけでも、かなり大変であることが分かりますね。
そして、その読みを元に初手はどこに打つかを決めることになります。
初手黒Aから派生するルートの中で、双方が最善を尽くした結果の評価はこのぐらいで、同様に初手Bならこのぐらい、初手Cはこのぐらい・・・。
そして、その中で最も黒にとって得なルートが想定できる手を打てば良いわけですね。
ただ、碁を打つ際に実際に虱潰しに読んでいるかと言えば、そうではありません。
こんなことをしなければいけないとしたら、碁を打つ人が誰もいなくなってしまいます(笑)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/a1/4071b850137c191f5e51b07dd2f9a056.jpg)
<4図>
実際には、ある程度直感に頼って打つことになります。
例えば、初手の時点で正解に見える手を本命に考え、そのルートを掘り進めます。
それはその先の枝分かれでも同様であり、ひたすら本命だけを追っていけば、1本のルートを読むだけで4手先に辿り着くことさえ可能です。
つまり、横の読みで重要になるのは、数ある選択肢の中から直感で正解を感じ取る力です。
簡単な詰碁を解くことを推奨されるのは、これが理由なのです。
沢山の手筋や石の形に触れておけば、実戦で似た形が現れた時に「あっ、これは見たことあるな」と感じられるようになるのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/95/68fae41092305fb039774e2b8507a646.jpg)
<5図>
一方で、やはり碁は勘だけでは打てないところもあります。
時には具体的な図を読まなければいけません。
そこで、石を置かずに頭の中で想定図を作れるようにしておく必要があります。
ただ、頭の中でルートAの図を作り、次にルートBの図を作り、そして両方の図を頭の中で見比べる・・・といったことは慣れないと難しいです。
そこで、まずは一本道の図・・・縦の読みに絞って練習すると良いでしょう。
例えばシチョウ問題などは、縦の読みを鍛えるには最適です。
と言うのは、シチョウは基本的には必要とされる技術はほとんど無く、ただ交互に追いかけていくだけです。
ですから、頭の中で図を作ることに専念することができるのです。
例えば、本図で黒1とシチョウに抱えて白△を取れるかどうかを考えてみましょう。
右上に白×がいて、邪魔になりそうな気配もありますが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/6c/4f1e1523259e645de05a0c02e5425deb.jpg)
<6図>
結果はご覧のように、無事白を捕まえることができました(黒48だけは多少の技術が必要ですね)。
ここまで、なんと48手もの読みが必要です。
ですが、このぐらいのシチョウは実戦で頻繁に現れます。
普段シチョウを間違えない人は、縦だけの読みならこのぐらいはできるということです。
アマのレベルでもっと長手数の読みを要求されることはまず無く、単純なシチョウがスムーズに読めれば縦の読みは十分でしょう。
いきなりこの長さは厳しいという方は、5手や10手で終わる問題を解けば良いのです。
慣れればだんだん長く読めるようになってきます。
シチョウの他には、ゲタや追い落としなどで石を取る問題も良いですね。
よくポカで石が取られるという方は多いですが、それはうっかりミスというよりも、石を置かずに考える力が不足しているせいかもしれません。
簡単なトレーニングで劇的に改善される可能性もあるので、ぜひ取り組んで頂きたいですね。
本日は午前は五反田・午後は永代塾囲碁サロンにて指導碁を行いました。
近年は指導碁を数多く打っていますが、私の仕事の中でも最も楽しい部類ですね。
打つこと自体が楽しいということもありますが、お客様の上達を感じることができる点も大きいです。
何しろ、私自身はもう大きく棋力が変わることはありませんから・・・。
あと2子ぐらい強くなりたい気持ちはありますが、それは流石に無理でしょう(笑)。
さて、本日は読みについてお話しします。
囲碁において読みは非常に重要です。
ですから、読みのトレーニングは有効な上達法とされています。
ただ、注意点として、読みには2種類あるということを知っておきましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/d5/2d57a71a421095a5e412b9ea86701f4a.jpg)
<1図>
まずはこの図をご覧ください。
黒が1手目をこう打って、白が2手目をこう打って、黒が3手目をこう打って、白が4手目をこう打って・・・。
このように、数手先を想定していくことを私は縦の読みと呼んでいます。
地面を真っ直ぐ掘り進んでいくようなイメージですね。
「何手先まで読めますか?」という質問は、プロなら誰しも受けたことがあるでしょう。
そして、例えば「60手先まで読むこともある」などと答えると「凄い!流石プロだ!」などと驚いて頂けたりします。
でも、実際にはそんなに凄いことではないのです。
一本道を読むのであれば、プロにとっては10手だろうと100手だろうと難易度に変わりはなく、確認にかかる時間が違うぐらいです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/59/52ac128b27b6548be67d0d00bace3216.jpg)
<2図>
ですが、読みは縦だけではなく横にも広がります。
つまり、自分や相手の手には複数の選択肢があるということです。
自分が黒1の手を打ったとして、それに対して相手は白2で何通りか選択肢があります。
そして、そのそれぞれの手に対して黒3の手を打つわけですが、それにもまた何通りか選択肢があり、その枝分かれの先にまた白4をどう打つかの選択肢があり・・・。
と、想定されるコースはどんどん長く、かつ幅広くなっていくわけですね。
例えば、1つの手に対する対応が3通り考えられるとすれば、白2の時点でルートが3つに分かれ、黒3の時点でそれが3倍になり、白4でまた3倍になるわけです。
たった4手のうちに、27本ものルートが生まれました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/39/d234052737c72fdc656e62551c66ee38.jpg)
<3図>
また、そもそも初手にもいくつか選択肢が考えられるわけで、ここでも3通りとすれば27×3=81本のルートを想定することになります。
ほんの少し先を読もうとしただけでも、かなり大変であることが分かりますね。
そして、その読みを元に初手はどこに打つかを決めることになります。
初手黒Aから派生するルートの中で、双方が最善を尽くした結果の評価はこのぐらいで、同様に初手Bならこのぐらい、初手Cはこのぐらい・・・。
そして、その中で最も黒にとって得なルートが想定できる手を打てば良いわけですね。
ただ、碁を打つ際に実際に虱潰しに読んでいるかと言えば、そうではありません。
こんなことをしなければいけないとしたら、碁を打つ人が誰もいなくなってしまいます(笑)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/a1/4071b850137c191f5e51b07dd2f9a056.jpg)
<4図>
実際には、ある程度直感に頼って打つことになります。
例えば、初手の時点で正解に見える手を本命に考え、そのルートを掘り進めます。
それはその先の枝分かれでも同様であり、ひたすら本命だけを追っていけば、1本のルートを読むだけで4手先に辿り着くことさえ可能です。
つまり、横の読みで重要になるのは、数ある選択肢の中から直感で正解を感じ取る力です。
簡単な詰碁を解くことを推奨されるのは、これが理由なのです。
沢山の手筋や石の形に触れておけば、実戦で似た形が現れた時に「あっ、これは見たことあるな」と感じられるようになるのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/95/68fae41092305fb039774e2b8507a646.jpg)
<5図>
一方で、やはり碁は勘だけでは打てないところもあります。
時には具体的な図を読まなければいけません。
そこで、石を置かずに頭の中で想定図を作れるようにしておく必要があります。
ただ、頭の中でルートAの図を作り、次にルートBの図を作り、そして両方の図を頭の中で見比べる・・・といったことは慣れないと難しいです。
そこで、まずは一本道の図・・・縦の読みに絞って練習すると良いでしょう。
例えばシチョウ問題などは、縦の読みを鍛えるには最適です。
と言うのは、シチョウは基本的には必要とされる技術はほとんど無く、ただ交互に追いかけていくだけです。
ですから、頭の中で図を作ることに専念することができるのです。
例えば、本図で黒1とシチョウに抱えて白△を取れるかどうかを考えてみましょう。
右上に白×がいて、邪魔になりそうな気配もありますが・・・。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/6c/4f1e1523259e645de05a0c02e5425deb.jpg)
<6図>
結果はご覧のように、無事白を捕まえることができました(黒48だけは多少の技術が必要ですね)。
ここまで、なんと48手もの読みが必要です。
ですが、このぐらいのシチョウは実戦で頻繁に現れます。
普段シチョウを間違えない人は、縦だけの読みならこのぐらいはできるということです。
アマのレベルでもっと長手数の読みを要求されることはまず無く、単純なシチョウがスムーズに読めれば縦の読みは十分でしょう。
いきなりこの長さは厳しいという方は、5手や10手で終わる問題を解けば良いのです。
慣れればだんだん長く読めるようになってきます。
シチョウの他には、ゲタや追い落としなどで石を取る問題も良いですね。
よくポカで石が取られるという方は多いですが、それはうっかりミスというよりも、石を置かずに考える力が不足しているせいかもしれません。
簡単なトレーニングで劇的に改善される可能性もあるので、ぜひ取り組んで頂きたいですね。