白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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絶芸-童夢成戦

2017年12月16日 23時08分02秒 | AI囲碁全般
皆様こんばんは。
最近、中国でテンセント選手権という棋戦が行われたようです。
優勝者、準優勝者が強豪AI「絶芸」に挑戦するという、将棋界で言えば叡王戦のようなものでしょうか?
本戦や絶芸との対局は幽玄の間で中継されました。
今回は優勝者の童夢成六段と絶芸の対局で印象に残った場面をご紹介しましょう。



1図(実戦)
いきなりの白△ツケ!
これはいかにもAIの手ですね。
ですが、打ったのは童夢成九段です(笑)。





2図(実戦)
そして、ここで絶芸は黒△のツケ!
次に白はAかBか、どちらで対応するかによって、黒×と白×の力関係が変わってきます。
それを確認してから黒×の動き方を決めようという打ち方です。

これもいかにもAIらしい手ですね。
まあ、思想自体はシンプルであり、この程度の手であればAIの台頭以前でも打つ人はいたでしょうね。





3図(実戦)
左辺一帯の白模様が巨大なので、黒としては入っていきたいところです。
ただ、黒Aのぼんやりした手では白に響かず、猛攻を受けそうです。

そこで、実戦は黒△のツケ!
ツケられれば相手は対応せざるを得ず、その間に石数を増やして捌きを楽にしようということですね。
「捌きはツケから」の格言通りです。

このツケに関しても、思い付く人自体はいるでしょうね。
ただ、この場面になってから気が付くのと、前々から想定しておくのではレベルが違います。
絶芸は間違いなく後者でしょうね。





4図(実戦)
左辺は黒が上手く荒らしました。
そこで、白も△のツケでお返し!

笑ってしまうような展開ですが、これを一流プロが打っているのですから凄い時代です。
ただ、多少はイベント性を意識しましたかね?(笑)。
何にしろ、ツケ!ツケ!ツケ!ツケ! という凄い碁でした。

現在はプロがAIの打ち方を手当たり次第に取り入れているような時期です。
人間がAIの打ち方を正しく理解・運用できるものなのか、その結論が出るのはまだまだ先ですね。