日本人は気づいていないが…「日本がナンバーワンの時代」が復活するといえるワケ【ストラテジストが解説】
幻冬社ゴールドオンライン より 230111 菅下 清廣
米国の圧倒的な存在感、中国の急伸……これに対し、日本は経済が停滞していると、当人である日本人が一番危機感を覚えています。しかし、日本がナンバーワンの時代は今後復活すると、ストラテジストの菅下清廣氏はいいます。なぜなのでしょうか、みていきます。
⚫︎アメリカは繁栄のピークから衰退へ
アメリカはいま繁栄のピークへ向かっている。これはイノベーション、ネット革命で、アメリカの繁栄が続いていましたが、もしかしたら米国株式市場はもう天井をつけたかもしれない。ナスダックは2021年の11月19日の高値で天井をつけています。
アメリカはこの2、3年、ものすごいIPOによる株高ブームでした。仮想通貨ブームもあった。このため、大金持ち、資産家の富がますます膨らんだ。所得上位1%ぐらいがアメリカ全体の富の30%ぐらいを占めていて、そのかわり生活困窮者が増大している。トランプ大統領が登場したのは、そうしたアメリカ社会の分断が進んでいるからです。
ところが、失業率は下がっている。ただし、統計にははっきりとは出ていないが、貧困者は増えている。なぜなら、フードスタンプをもらう人が増えている。教会でご飯をもらう人たちがどんどん増えているようです。
また、ジョー・バイデン大統領になってから中南米からの難民がどんどん入ってきている。アメリカは、格差の拡大が社会不安を増大させています。
⚫︎日本がナンバーワンの時代が復活する!?
日本はこれからデジタル産業革命が進行する。デジタル産業革命が進行して、大円安時代の到来で、デフレを脱却して日本復活。ジャパン・アズ・ナンバーワンが再び。こちらは楽観シナリオです。
世界のお金持ち、世界のマネーはどんなところにお金を移すかというと、第一にお金が増えるところです。それがいままではアメリカだった。アメリカでお金が増えないとなると、ほかに増える国へ移そうということになる。それはどこか。
いままではアメリカの次は中国でした。しかし、これからは中国が必ずしもお金の増える国ではなくなる。むしろ財産が全部なくなるかもしれない。米中対立の新冷戦で日米欧のマネーは中国から、むしろますます流出するでしょう。
そうなると、危ない国、増えない国に預けるよりも安全な国に預けようとなる。安全な国ということでは日本が第1です。しかも日本の個人資産1000兆円がこれから動き出す。資産インフレの時代に突入です。そうなれば、私が数年前から言っているように「ジャパン・アズ・ナンバーワン再び」が現実のものになる。
ところが、日本人だけはまだぴんと来ていない。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」なんかありえない、日本はだめだと思い込んでいる。というのは、マスコミ、メディアがそういう情報ばかり流しているからです。
日本で資産バブル、資産インフレになって、日経平均が4万円を突破したら、みんな日本株に来る。前述の2035年ころまでには、波動から見て日経平均株価が8万円になると私は思っています。だから、日本復活の可能性が高くなっている。
EUはウクライナ戦争の影響をもろに受ける。このままではだめなので再編、再構築すれば立ち直るかもしれない。そして、長らく続いているゼロ金利からの脱出、脱デフレに成功すればヴィックス(VIX)などの信用が回復する。実際に、リーマン・ショックのあとに国債デフォルトを起こしたギリシアが、50年物の国債を出したら買いが殺到したようです。
中国はますます台頭してきて、いま新冷戦構造になろうとしている。一帯一路でアジアの中華圏は拡大。経済軍事大国へ。ここまでは楽観シナリオです。
⚫︎「岸田ビジョン」は挫折するのか
一方、悲観シナリオだとどうなるか。アメリカはバブル崩壊が近づいている。マネーバブルが終焉して、インフレリスクが浮上する。
日本は岸田ビジョンが挫折する。「新しい資本主義」とか「田園都市構想」「経済安全保障」とか言葉はいろいろ出ているが、どういうビジョンなのか、よくわからない。岸田首相は「何もしない内閣」と株式市場で言われています。インターネットの掲示板には「岸田、早く辞めろ」の声でいっぱいです。
しかし直近、「貯蓄から投資へ」とか「資産所得倍増プラン」などをブチ上げて失地回復を狙っています。しかも、コロナはすでにピークアウトして、感染力は強いものの症状は軽くなって重症化率が下がり、感染者数も減りつつある。
さらに、岸田首相は、安倍政権のときのように国民を挑発するような政策はいっさいやらないので、内閣の支持率はきわめて高くなっている。しかし、このまま株がどんどん下がって景気が悪くなったら、選挙は間違いなく苦戦します。
そうなると、危ない国、増えない国に預けるよりも安全な国に預けようとなる。安全な国ということでは日本が第1です。しかも日本の個人資産1000兆円がこれから動き出す。資産インフレの時代に突入です。そうなれば、私が数年前から言っているように「ジャパン・アズ・ナンバーワン再び」が現実のものになる。
ところが、日本人だけはまだぴんと来ていない。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」なんかありえない、日本はだめだと思い込んでいる。というのは、マスコミ、メディアがそういう情報ばかり流しているからです。
日本で資産バブル、資産インフレになって、日経平均が4万円を突破したら、みんな日本株に来る。前述の2035年ころまでには、波動から見て日経平均株価が8万円になると私は思っています。だから、日本復活の可能性が高くなっている。
EUはウクライナ戦争の影響をもろに受ける。このままではだめなので再編、再構築すれば立ち直るかもしれない。そして、長らく続いているゼロ金利からの脱出、脱デフレに成功すればヴィックス(VIX)などの信用が回復する。実際に、リーマン・ショックのあとに国債デフォルトを起こしたギリシアが、50年物の国債を出したら買いが殺到したようです。
中国はますます台頭してきて、いま新冷戦構造になろうとしている。一帯一路でアジアの中華圏は拡大。経済軍事大国へ。ここまでは楽観シナリオです。
⚫︎「岸田ビジョン」は挫折するのか
一方、悲観シナリオだとどうなるか。アメリカはバブル崩壊が近づいている。マネーバブルが終焉して、インフレリスクが浮上する。
日本は岸田ビジョンが挫折する。「新しい資本主義」とか「田園都市構想」「経済安全保障」とか言葉はいろいろ出ているが、どういうビジョンなのか、よくわからない。岸田首相は「何もしない内閣」と株式市場で言われています。インターネットの掲示板には「岸田、早く辞めろ」の声でいっぱいです。
しかし直近、「貯蓄から投資へ」とか「資産所得倍増プラン」などをブチ上げて失地回復を狙っています。しかも、コロナはすでにピークアウトして、感染力は強いものの症状は軽くなって重症化率が下がり、感染者数も減りつつある。
さらに、岸田首相は、安倍政権のときのように国民を挑発するような政策はいっさいやらないので、内閣の支持率はきわめて高くなっている。しかし、このまま株がどんどん下がって景気が悪くなったら、選挙は間違いなく苦戦します。
というのは、株価人気のバロメーターですから、株安では政府与党は不人気のなかで選挙を戦うことになります。岸田ビジョンが挫折すると、岸田首相は財政再建派なので増税になります。そうなるとデフレ再びとなって、日本沈没というシナリオです。
これに反対しているのは安倍晋三、高市早苗の財政積極派。こんなときに財政再建なんてとんでもない。国債を刷りまくって、財政出動しろ。MMT(現代貨幣理論)は悪くないという立場です。経済学者の多くがMMTはナンセンスだと言っていますが、自民党の中ではけっこう支持する人が増えています。この低金利、ゼロ金利ですから、いくらでも国債を刷ればいい。
それでお金をバラまけ、つまり強力な景気対策をやるべきだと言っていますが、はたしてどうなるでしょうか。
▶︎菅下 清廣 スガシタパートナーズ株式会社代表取締役社長
これに反対しているのは安倍晋三、高市早苗の財政積極派。こんなときに財政再建なんてとんでもない。国債を刷りまくって、財政出動しろ。MMT(現代貨幣理論)は悪くないという立場です。経済学者の多くがMMTはナンセンスだと言っていますが、自民党の中ではけっこう支持する人が増えています。この低金利、ゼロ金利ですから、いくらでも国債を刷ればいい。
それでお金をバラまけ、つまり強力な景気対策をやるべきだと言っていますが、はたしてどうなるでしょうか。
▶︎菅下 清廣 スガシタパートナーズ株式会社代表取締役社長