編集者のおすすめ 『朱子学に毒された中国 毒されなかった日本』 いかに呪縛から逃れたのか
産経新聞社 より 220313
📗『朱子学に毒された中国 毒されなかった日本』石平、井沢元彦著(ワック-990円)
日本は、中国とは遣隋使・遣唐使の頃から交流もあり『論語』など儒教の影響も強く受けてきました。そのため日中は「同文同種」の関係だとよく言われますが、本書は、そうした「常識」を徹底的に打破した本です。
石平さんは元中国人で、産経新聞をはじめ舌鋒(ぜっぽう)鋭い日中比較論を展開する論客。井沢元彦さんはベストセラー『逆説の日本史』でおなじみの作家(歴史家)です。お二人による対談本は実は今回が初めて。まず、中国人の根本思想ともいうべき「朱子学」を俎上(そじょう)に載せ、それがもたらした害悪について検証します。
「一族繁栄」のためなら公のことはどうでもいい、賄賂を使ってでも一家のためになるならそうすべきだという利己主義の最たるものが朱子学だと喝破。しかし、そんな朱子学の毒は江戸時代には日本にもかなり流入。明治以降にも悪影響を及ぼします。
中国・朱子学の呪縛から日本はいかにして脱却できたのか? 中国は脱却できないどころか、朱子学と共産主義とがコラボするような形で、賄賂まみれの尊大な国家になり、朱子学的な中華思想でウイグル、チベット、モンゴル弾圧などを進めています。
もし日本が朱子学に染まれば、「第二中国」になったかもしれません。しかし、その呪縛から逃れることに日本は成功します。その理由は? 中国にはない「天皇家」が日本にあったからです。朱子学の受容と排斥の歴史を2人の碩学(せきがく)が語り尽くす知的興奮間違いなしの一冊です。
(ワック「書籍」編集長 仙頭寿顕)
(ワック「書籍」編集長 仙頭寿顕)