最新研究により「老化」を遅らせることができると判明? 米医師たちがその理由を解説
BAZAAR より 210905
高齢の知人に「長寿の秘訣は?」と聞いたら、興味深い答えが返ってくるはず。 チョコレートアイスクリームを毎日食べるとか、ウィスキーをショットで1杯飲む。あるいは好きな仕事をするとか、友人をたくさん持つといったものだ。
そして、科学者たちも世界中の100歳以上の人々に長寿の鍵について質問してきた。
だが、よく言われるように、ネガティブな思考では歳を重ねることはできない。体は痛く脆弱になり、メンタルも衰える。そこで研究者たちは、どうすれば長生きできるかを理解するだけでなく、どうすればより健康な状態を維持できるかを理解するため、細胞レベルまで深く入って観察してきた。
彼らは、そう遠くない将来に、人間が90歳を超えても、慢性病や視力の低下や認知症など、老化に関係した衰えがなく生きることができると想定している。
魔法のように、若々しい100歳のいる世界を実現するにはまだ時間がかかるかもしれない一方、この成長著しい研究分野は、"時計の針"を遅らせ、60代、70代、80代、さらにその先もベストな状態で生きるために、今すぐに使える確かな情報を提供してくれる。
「私たちは、老化プロセスをコントロールする遺伝子がわかっています」と言うのは、ハーバード大学医学大学院Paul F. Glen Center for Biology of Aging Research の共同ディレクターで『Lifespan: Why We Age and Why We Don’t Have To』の著者デヴィッド・A・シンクレア博士だ。
「人間でも、老化プロセスに介入し、その進行を遅らせることができるとわかっています」。
「毎日の健康習慣をベースに、老化の進行プロセスに少しは影響を与えられる」と、イェール大学医学大学院病理学准教授で、まもなく出版される『True Age: How Cutting-Edge Research Can Help You Turn Back the Clock』の著者モーガン・レヴァイン博士は言う。
老化は、経年によって細胞が変化し、体の修復メカニズムがそれを元に戻す能力を失うために起こる。だが、こうしたプロセスを実証された生物学的方法で遅らせることができ、気分良く生きることに役立てられるのだという。
⚫︎細胞を守る鎧を強化する
テロメアとはDNAの螺旋構造の各末端にある保護キャップ(靴ひもの先についている小さなプラスチックのチップ) のようなもので、細胞、つまりはその人がどのくらい早く老化するかに影響を与える。テロメアが短すぎると、細胞は働くのを止めてしまうからだ。
そうした"ゾンビ化"状態になると、それらは炎症や、老化を加速させるペプチドを促進する分子を放出する。これが特定の病気の原因になるわけではないが、心臓病や認知症、がんなど遺伝子や環境によるリスクにより速く屈するようになるかもしれないのだ。とはいえ、研究から、細胞がゾンビ化するのを防ぐことができれば、老化の多くの側面を逆転させることができるとわかっている。
細胞の鎧を成長させるベストな方法の一つは、体を動かすことだ。エクササイズは酵素テロメラーゼの生成を刺激し、テロメアを築くのを助けると、NYブロンクスのアルバート・アインシュタイン医学校のInstitute for Aging Research創設ディレクターで『Age Later: health Span, Life Span, and the New Science of Longevity』の著者ニール・バージライ医師は言う。
ブリガム・ヤング大学が5800人以上の男女を対象に行った研究では、1週間に5日、25分〜40分のジョギングをした人は、その人の実際の年齢より9歳若い長さのテロメアに発達したことがわかった。
別の小規模の研究では、肥満と分類される女性のテロメアも、8週間の筋力トレーニングと有酸素運動をしたところ成長した。また、35歳以上のアスリート(平均16年間、競技している人たち)を対象に行ったいくつかの研究のレビューでは、同年齢でアスリートではない人よりテロメアが長いことがわかっている。
瞑想を通して心の強さを訓練することも、テロメアを守るのに役立つという。研究者たちは、ダメージを与える炎症を緩和するからではないかと理論づけている。2013年のハーバード大学の研究では、他者に対する優しさにフォーカスするなど慈愛の瞑想を実践する人は、瞑想しない人より著しく長いテロメアを持っていたことがわかっている。
また、カリフォルニア大学デービス校の研究者は、3ヵ月間瞑想した人は、対照群の人々よりテロメアの活動が優れていたこともわかっている。
⚫︎体内のサバイバルメカニズムを強化する
長寿を研究する専門家たちは、低カロリーダイエットをしているマウスがたくさん食べるマウスよりも長生きすることを、この数十年の研究からわかっていた。人間の場合、同等のメリットは、1日あるいは週のうちの特定の日の中で食事時間を限定する食事法である断続的断食(IF)によって達成できると、シンクレアは言う。
IFは、古代人が食糧不足の時にサバイバルできたプロセスを利用することで、寿命を延ばすのかもしれないというもの。
空腹はニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD)という化学物質の値を上げ、サーチュインという長寿遺伝子を活性化するとシンクレアは言う。サーチュインは病気から守り、DNAの修復を強化し、リウマチやアテローム性動脈硬化、喘息や他の慢性症状の陰にある炎症を和らげるそうだ。
だが、IFは誰にでも向く方法ではない。厳しい自制心が必要で、摂食障害を隠してしまう可能性もあるので、行う前に必ず医師に相談すること。「インスリンや血糖降下薬で治療中の人は、絶対やってはいけません」とバージライ博士は言う。
しかし、多くの人は適応できると彼は言う。IFにはいろいろなバリエーションがあるが、どれをやっても構わない。1ヵ月に5日間だけ非常に厳しく制限した食生活をする人もいれば、1週間に2日断食して、断食の日は約500カロリーしか食べない人もいる(5:2メソッド)。
あるいは、1日のうち食事できる時間を6〜12時間に制限(例えば正午から午後6時まで、あるいは午前9時から午後9時までなど)する方法もあり、時間制限食事法(TRE)と呼ばれている。食事できる時間枠が短いほど、エイジングケアのメカニズムの最適化には良く、劣化や慢性病に対する体の自然な防御を活性化するとシンクレアは言う。
⚫︎DNAの長寿スイッチをオンにする
実年齢(つまり、何回誕生日を迎えたか)とは異なり、生物学的年齢はあなたの体がどのくらいうまく歳月による荒廃に持ちこたえているか、自分と同年齢の人と比べてどうなのかを示すもの。40歳でも、遺伝子や習慣、環境などによって、生物学的年齢は30歳から50歳以上にもなる可能性がある。だが、生物学的年齢が何歳でも、それを改善することはできるとレヴァイン博士は言う。
いくつかのパイロット試験では、食生活やその他の習慣が生物学的年齢を正しい方向に導くことができると示唆している。最近のヨーロッパにおける研究では、野菜や果物、魚、脂肪の少ないタンパク質、ナッツ、マメ類、オリーブオイルなどを多く摂る地中海ダイエットを1年間実践した人は、生物学的年齢が約1.5歳若返ったことがわかった。
また、別の研究では、18人の健康な男性が、遺伝子の活性化に影響を与える化学反応であるDNAメチル化を最適化するようにデザインしたライフスタイルを8週間実践。その結果、男性たちは対照群と比べて生物学的年齢が3歳以上下がったと学術誌『Journal』では報告されている。
男性たちは緑の葉物野菜やアブラナ科の野菜とともに、好ましいメチル化パターンを促進することがわかっている食品(ビーツ、パンプキンシード、ベリー類、卵、レバー、ガーリックなど)を食べていた。
また、彼らはエクササイズも行い、プロバイオティクスを摂取し、呼吸エクササイズを実践し、毎晩最低7時間睡眠をとっていた。ライフスタイルを微調整したことが報われたのだ。「これは、生物学的年齢は逆転することを示した初の研究のうちの一つです」と、自然療法医師でこの研究の主筆者で、これから出版される『Younger You』の著者でもあるカーラ・フィッツジェラルドは言う。
生物学的年齢を改善させる方法は他にも。それは、動物性タンパク質を食べる量を減らすことだ。男性が1日あたりに必要なタンパク質は56g、女性は46gであるのに対し、平均的なアメリカ人はその約2倍の量を摂っている。
長寿研究では、タンパク質の摂りすぎはmTORと呼ばれる老化を速める酵素を活性させることがわかっている。だから、肉を3〜4オンス(トランプ1枚くらいのサイズ)に制限し、豆類や大豆など植物性タンパク質を多く摂るようにしてみよう。
⚫︎体内システムが自らリセットするよう刺激を与える
大晦日に、冷たい水に浸かって“寒中水泳”する人を疑問に思ったことはない? スリル以上に、極端な温度に短時間でも体を晒すことは、細胞にストレスを与え、その変化に適応して体温を元に戻すよう意識させる。
断続的断食と同様に、このタイプのストレスはサーチュインと呼ばれる長寿遺伝子を活性化させる。冬の夜に窓を開けっ放しにしたり、寒い時にエクササイズしたりすることでも同じようなメリットは得られるという。コートを着ずTシャツだけで冷たい気温の中を少し散歩するだけで、体のシステムに“良い”ストレスを与えることができる(「ただし、3〜4分の短時間にして震える前にまた暖かく着込んで」とシンクレア博士)。
また、冷たくすることだけが大事なのではない。研究では、熱も好ましい形で体に軽度なストレスを与えると示唆している。20年間、1週間に4〜5回サウナに入ったフィンランドの中年男性たちは、サウナに週1回しか入らない男性より、原因にかかわらず死亡率が2倍低かったとともに、致死的な心臓発作や心臓病全般が減った。
寿命を延ばすことにつながるストレスを倍増したいなら、シンクレア博士がやっている方法を試そう。「私は耐え得る限り熱いサウナに入った後で、氷のように冷たい水に4分間浸かります」と彼。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)で体内の細胞にストレスを与えることもできる。短時間の激しい全力の運動の後に休憩をとるエクササイズ法だ。
「高強度インターバルをやっている時は一時的にホメオスタシス(恒常性)を失います。ホメオスタシスとは体温や心拍数、他の要因によって決まる均衡の取れた状態です」とレヴァイン。その後、体は均衡を取り戻そうと働く。
「時間が経つにつれて、こうしたストレスと反応のサイクルが、あなたをより強く回復力を早くするのです」と彼女。が、特にあまり活動的でない人は、いきなり激しくやろうとしないこと。例えばウォーキングをする人なら、10〜30秒ほど早歩きするのと、通常のペースで長く歩くのを交互にやるといい。
こうしたやり方は非現実的なものではない。エクササイズして野菜を食べて、サウナに入るのは今日できることだ。そして、これをいつもの習慣にしたら、もしかするとひ孫の世代までその話をすることができるかもしれない。
⚫︎次なる一手:若さを保つ薬?
科学者たちは、年齢による衰えを遅らせる興味深い新たな方法を開発中だ。「中には人間には関係ないと判明するアプローチもあります」と、慈善組織American Federation of Aging Researchの上席科学ディレクターのスティーブン・N・オースタッド博士は言う。
「ですが、中には効果を示す十分な手がかりもあり、それがどれなのかを見つけたら、抗生物質を発見した時のように医学革命を起こすでしょう」。
そんな、もっとも効果が期待できる開発中のセラピーをご紹介しよう。
⚫︎血液を新しいものと交換する
「数々の研究から、年老いたマウスに若いマウスの血液を輸血すると、脳や心臓、筋肉が若返ることがわかっています」とオースタッド。なんだか、ホラー映画のストーリーのように聞こえるかもしれないが、想像しているものとは違うようだ。
科学者たちは、血液のどの成分が重要か見極めることに取り組んでおり、最終的には錠剤の形で手に入るようになるかもしれない。エイジングケアのメリットを得るため、家族の血液を輸血する必要はないのだ。
⚫︎細胞をより健康的な状態に修復する
長寿研究で最近もっともバズっているのは、蓄積した老化によるダメージを細胞から取り除いて、若い時の状態に戻そうとすることにフォーカスしたもの。
科学者たちは、基本的にはソフトウェアである細胞のエピゲノムの“バックアップ”コピーを使って、ショッキングな技術を成功させている。2020年に、シンクレアの研究室は視神経の年齢を逆戻りさせ、年老いたマウスの視力を回復させている。
⚫︎年齢を逆戻りさせる薬の開発
現在、少なくとも12の老化を遅らせる新薬の臨床試験が行われており、中には10年以内に市場に出るものがあるだろうとオースタッドは予測する。
いくつかは既に別の用途で承認を受けているが、寿命を延ばしたり健康を促進したりすることにも期待が持たれている。
業界が資金を提供し、2型糖尿病のある人とそうでないイギリス人を対象に行った大掛かりな研究では、メトホルミン(糖尿病薬)を服用していた人は、服用していない健康な人より平均15%長生きしたことがわかった。
また、メイヨー・クリニックのパイロット試験では、腎臓病の患者が、既存の薬と、フルーツや野菜にも含まれているケルセチンの薬を組み合わせた治療を行ったところ、有害な炎症を起こす老化細胞が減ったこともわかっている。
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
Translation: Mitsuko Kanno From Prevention
だが、IFは誰にでも向く方法ではない。厳しい自制心が必要で、摂食障害を隠してしまう可能性もあるので、行う前に必ず医師に相談すること。「インスリンや血糖降下薬で治療中の人は、絶対やってはいけません」とバージライ博士は言う。
しかし、多くの人は適応できると彼は言う。IFにはいろいろなバリエーションがあるが、どれをやっても構わない。1ヵ月に5日間だけ非常に厳しく制限した食生活をする人もいれば、1週間に2日断食して、断食の日は約500カロリーしか食べない人もいる(5:2メソッド)。
あるいは、1日のうち食事できる時間を6〜12時間に制限(例えば正午から午後6時まで、あるいは午前9時から午後9時までなど)する方法もあり、時間制限食事法(TRE)と呼ばれている。食事できる時間枠が短いほど、エイジングケアのメカニズムの最適化には良く、劣化や慢性病に対する体の自然な防御を活性化するとシンクレアは言う。
⚫︎DNAの長寿スイッチをオンにする
実年齢(つまり、何回誕生日を迎えたか)とは異なり、生物学的年齢はあなたの体がどのくらいうまく歳月による荒廃に持ちこたえているか、自分と同年齢の人と比べてどうなのかを示すもの。40歳でも、遺伝子や習慣、環境などによって、生物学的年齢は30歳から50歳以上にもなる可能性がある。だが、生物学的年齢が何歳でも、それを改善することはできるとレヴァイン博士は言う。
いくつかのパイロット試験では、食生活やその他の習慣が生物学的年齢を正しい方向に導くことができると示唆している。最近のヨーロッパにおける研究では、野菜や果物、魚、脂肪の少ないタンパク質、ナッツ、マメ類、オリーブオイルなどを多く摂る地中海ダイエットを1年間実践した人は、生物学的年齢が約1.5歳若返ったことがわかった。
また、別の研究では、18人の健康な男性が、遺伝子の活性化に影響を与える化学反応であるDNAメチル化を最適化するようにデザインしたライフスタイルを8週間実践。その結果、男性たちは対照群と比べて生物学的年齢が3歳以上下がったと学術誌『Journal』では報告されている。
男性たちは緑の葉物野菜やアブラナ科の野菜とともに、好ましいメチル化パターンを促進することがわかっている食品(ビーツ、パンプキンシード、ベリー類、卵、レバー、ガーリックなど)を食べていた。
また、彼らはエクササイズも行い、プロバイオティクスを摂取し、呼吸エクササイズを実践し、毎晩最低7時間睡眠をとっていた。ライフスタイルを微調整したことが報われたのだ。「これは、生物学的年齢は逆転することを示した初の研究のうちの一つです」と、自然療法医師でこの研究の主筆者で、これから出版される『Younger You』の著者でもあるカーラ・フィッツジェラルドは言う。
生物学的年齢を改善させる方法は他にも。それは、動物性タンパク質を食べる量を減らすことだ。男性が1日あたりに必要なタンパク質は56g、女性は46gであるのに対し、平均的なアメリカ人はその約2倍の量を摂っている。
長寿研究では、タンパク質の摂りすぎはmTORと呼ばれる老化を速める酵素を活性させることがわかっている。だから、肉を3〜4オンス(トランプ1枚くらいのサイズ)に制限し、豆類や大豆など植物性タンパク質を多く摂るようにしてみよう。
⚫︎体内システムが自らリセットするよう刺激を与える
大晦日に、冷たい水に浸かって“寒中水泳”する人を疑問に思ったことはない? スリル以上に、極端な温度に短時間でも体を晒すことは、細胞にストレスを与え、その変化に適応して体温を元に戻すよう意識させる。
断続的断食と同様に、このタイプのストレスはサーチュインと呼ばれる長寿遺伝子を活性化させる。冬の夜に窓を開けっ放しにしたり、寒い時にエクササイズしたりすることでも同じようなメリットは得られるという。コートを着ずTシャツだけで冷たい気温の中を少し散歩するだけで、体のシステムに“良い”ストレスを与えることができる(「ただし、3〜4分の短時間にして震える前にまた暖かく着込んで」とシンクレア博士)。
また、冷たくすることだけが大事なのではない。研究では、熱も好ましい形で体に軽度なストレスを与えると示唆している。20年間、1週間に4〜5回サウナに入ったフィンランドの中年男性たちは、サウナに週1回しか入らない男性より、原因にかかわらず死亡率が2倍低かったとともに、致死的な心臓発作や心臓病全般が減った。
寿命を延ばすことにつながるストレスを倍増したいなら、シンクレア博士がやっている方法を試そう。「私は耐え得る限り熱いサウナに入った後で、氷のように冷たい水に4分間浸かります」と彼。
高強度インターバルトレーニング(HIIT)で体内の細胞にストレスを与えることもできる。短時間の激しい全力の運動の後に休憩をとるエクササイズ法だ。
「高強度インターバルをやっている時は一時的にホメオスタシス(恒常性)を失います。ホメオスタシスとは体温や心拍数、他の要因によって決まる均衡の取れた状態です」とレヴァイン。その後、体は均衡を取り戻そうと働く。
「時間が経つにつれて、こうしたストレスと反応のサイクルが、あなたをより強く回復力を早くするのです」と彼女。が、特にあまり活動的でない人は、いきなり激しくやろうとしないこと。例えばウォーキングをする人なら、10〜30秒ほど早歩きするのと、通常のペースで長く歩くのを交互にやるといい。
こうしたやり方は非現実的なものではない。エクササイズして野菜を食べて、サウナに入るのは今日できることだ。そして、これをいつもの習慣にしたら、もしかするとひ孫の世代までその話をすることができるかもしれない。
⚫︎次なる一手:若さを保つ薬?
科学者たちは、年齢による衰えを遅らせる興味深い新たな方法を開発中だ。「中には人間には関係ないと判明するアプローチもあります」と、慈善組織American Federation of Aging Researchの上席科学ディレクターのスティーブン・N・オースタッド博士は言う。
「ですが、中には効果を示す十分な手がかりもあり、それがどれなのかを見つけたら、抗生物質を発見した時のように医学革命を起こすでしょう」。
そんな、もっとも効果が期待できる開発中のセラピーをご紹介しよう。
⚫︎血液を新しいものと交換する
「数々の研究から、年老いたマウスに若いマウスの血液を輸血すると、脳や心臓、筋肉が若返ることがわかっています」とオースタッド。なんだか、ホラー映画のストーリーのように聞こえるかもしれないが、想像しているものとは違うようだ。
科学者たちは、血液のどの成分が重要か見極めることに取り組んでおり、最終的には錠剤の形で手に入るようになるかもしれない。エイジングケアのメリットを得るため、家族の血液を輸血する必要はないのだ。
⚫︎細胞をより健康的な状態に修復する
長寿研究で最近もっともバズっているのは、蓄積した老化によるダメージを細胞から取り除いて、若い時の状態に戻そうとすることにフォーカスしたもの。
科学者たちは、基本的にはソフトウェアである細胞のエピゲノムの“バックアップ”コピーを使って、ショッキングな技術を成功させている。2020年に、シンクレアの研究室は視神経の年齢を逆戻りさせ、年老いたマウスの視力を回復させている。
⚫︎年齢を逆戻りさせる薬の開発
現在、少なくとも12の老化を遅らせる新薬の臨床試験が行われており、中には10年以内に市場に出るものがあるだろうとオースタッドは予測する。
いくつかは既に別の用途で承認を受けているが、寿命を延ばしたり健康を促進したりすることにも期待が持たれている。
業界が資金を提供し、2型糖尿病のある人とそうでないイギリス人を対象に行った大掛かりな研究では、メトホルミン(糖尿病薬)を服用していた人は、服用していない健康な人より平均15%長生きしたことがわかった。
また、メイヨー・クリニックのパイロット試験では、腎臓病の患者が、既存の薬と、フルーツや野菜にも含まれているケルセチンの薬を組み合わせた治療を行ったところ、有害な炎症を起こす老化細胞が減ったこともわかっている。
※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。
Translation: Mitsuko Kanno From Prevention