バフェットの次を行く投資術 半導体支える日本企業の「お家芸」 不純物の濃度が1兆分の1のフッ化水素を作り出す技術
ZakZak より 211202
1990年代前半から今日に至るまで「IT・インターネット」の時代が四半世紀以上も続いてきた。この劇的な変化は1800年頃の産業革命によく例えられるが、十分納得できる。
ただ、この激変において、ソフトウエアばかりがもてはやされてハードの重要性が忘れ去られているようにも思える。
高性能なソフトウエアは、高性能なハードがなければ作動しない。最新のソフトウエアを古いコンピューターにインストールしても、処理能力(演算速度)が十分ではなく、イライラしながら画面とにらめっこした経験のある読者は多いと思う。
ムーアの法則は、インテル創業者の一人であるゴードン・ムーアが、1965年に自らの論文上で唱えた「半導体の集積率は18カ月で2倍になる」という半導体業界の経験則である。このようなハードの目覚ましい進化を支えてきた技術こそが本当の意味での「最先端テクノロジー」と言える。そして、その根幹を支えるのが「化学」を中心とした日本企業なのである。
2019年に、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目の韓国向け輸出規制をわずかばかり強化しただけで、「天地がひっくり返るほどの騒ぎ」が起こった。日本のフッ化水素最高純度は現在「99・9999999999%」(トゥエルブ・ナイン)といわれている。つまり、不純物の濃度が、1兆分の1で、現在、ステラケミファ、森田化学工業、ダイキン工業といった日本企業しか製造できていないとされる。
また、半導体シリコンウエハーの世界シェアのおおよそ半分は、信越化学工業とSUMCO(サムコ)の日本勢2社で握っている。
現在半導体は「ナノサイズレベル」の世界に突入しているが、これは分子や原子を1個ずつ扱うのにも等しいような精度だ。これほど微細なものを扱うのは「日本のお家芸」と言えるであろう。 (人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩) =敬称略
【2021年11月25日発行紙面から】