【クリック】
罪を犯した人の家族を支える NPO法人 8月、九州で相談会 過酷な現実…「一人で悩まないで」
一部引用
罪を犯した人の家族を支援するNPO法人「ワールド・オープン・ハート」(仙台市)
が8月7~9日、九州では初めてとなる相談会を福岡、熊本の両市で開く。
加害者の家族は誹謗(ひぼう)中傷にさらされ、自殺を考える人も少なくないという。
理事長の阿部恭子さん(40)は「一人で悩まず相談してほしい」と呼び掛けている。
「息子が人を殺しました」。阿部さんのもとに、九州に住む60代女性から電話がかかってきた。
息子は交際相手の女性を殺害したとして逮捕され、妹である娘の結婚は破談になった。
娘の交際相手の両親は、家に来てこう告げたという。
「心配しているのは、娘さんからの復讐(ふくしゅう)です。
お兄さんがあんな事件を起こしているんだから…」
「殺人犯の家族は、みな人を傷つけるというのでしょうか。悔しくてたまりません」。
女性は誰にも言えない胸の内を、こう吐き出したという。
加害者側の支援をしていることに対し「被害者家族の苦しみを考えないのか」
と正面から非難されることもある。
阿部さんは「被害者の支援はまだまだ不十分で、そちらが大事なことは言うまでもない。
でも、社会から孤立し、誰にも相談できず悩む加害者家族がいることも知ってほしい」と力を込める。
熊本大法学部の岡田行雄教授(刑法学)は、
「罪を犯していない家族に制裁が加えられ、普通に生活できなくなる社会はおかしい」と指摘。
家族が精神的、経済的に困窮すれば、加害者は更生の大きな支え手を失うとして
「再犯防止の観点からも加害者家族の支援は非常に重要だ」と話す。
インターネットの普及によって、加害者家族を取り巻く現状は厳しくなる一方だ。
ネット上に出た情報を消すことは難しく、事件の影響は世代を超えて及ぶこともある。
阿部さんは「これまで支援してきたのは、ごく普通の家族。身内が犯罪者になることは、人ごとではないと気づいてほしい」と話している。