ライブドア・堀江貴文社長の「メディア・インターネット・ファイナンス・コングロマリット事業」に期待する

2005年05月21日 18時39分59秒 | 経済
ライブドア、金融事業に500億円投資…フジ和解金で (読売新聞) - goo ニュース

 ライブドア(堀江貴文社長)が、金融事業に500億円投資すると報じられた。ニッポン放送株買収劇でフジテレビから得た和解金約1470億円のなかから金融事業に投資するという。
 約1470億円の使い途の内訳は、
 ①インターネット銀行の設立や証券業務の拡大など金融事業-500億円。
 (西京銀行と共同で新たにインターネット銀行「西京ライブドア銀行」を設立-100~200億円投資。インターネット証券「ライブドア証券」の取引拡大に伴う資金-200~300億円投資) ②無線LAN(構内情報通信網)事業に100~200億円投資 ③投資ファンドなど--数百億円。
 ④手元資金-200~300億円。
 ⑤新たなM&A(企業合併・買収)-400億円程度。
 (本業のIT(情報技術)関連事業との相乗効果を図るため、消費者金融業や単価の高い商品を扱う電子商取引事業などにM&Aをかける)
 堀江貴文社長はニッポン放送株買収からフジテレビまで意欲的にM&Aをかけ、「メディア買収」の真の意図と目的について、様々な憶測を呼び、マスメディアやジャーナリスト、あるいはM&A専門家などから「何をしようとしているのかビジョンがはっきりしていない。堀江社長は説明責任を果たすべきだ」などと厳しく批判されていた。だが、堀江社長は、「メディア・インターネット・ファイナンス・コングロマリット事業が、大きなビジネスになる」と何度も発言し、詳しく説明しようと試みていたのに、大半のマスメディアやジャーナリスト、あるいはM&A専門家は、聞く耳をもとうとしていなかった。
 堀江社長の言葉通り、「メディア・インターネット・ファイナンス・コングロマリット事業」の全貌がようやく明らかになってきたのである。要するに、堀江社長が「メディアの集客力」を最大限に利用して、インターネットという武器を活かす「金融事業」をやりたかったのである。
 しかし、実業家として「金融事業」に真っ先に突進する経営者としての目は、「慧眼」の一言に尽きる。
 経営資金をしっかり確保して、経営基盤を強固にしておけば、経済や景気変動に巻き込まれても、それに翻弄されることが少なくなるからである。このことは、経営の歴史を振り返ってみれば、明らかである。
 三井財閥の基礎を築いた三井高利は、「呉服業」を表に、裏で「両替商」を行い、これが後に「三越デパート」と「三井銀行」(現在は、三井住友銀行)に発展している。
 住友財閥の始祖・住友政友は、「南蛮吹き」による「銅吹き業」から「銀」を抽出して巨利を得た。住友家は「銅山採掘利権」を独占し、別子銅山を経営するかたわら、金融業を営み、後に「住友銀行」(現在は、三井住友銀行)を創立している。
 鴻池財閥は、山中鹿之助の長男・鴻池新六が「清酒醸造業」で巨利を得て「回船問屋」から「運送業」を開き、「両替商」をはじめ「大名貸し」を行い、後に「鴻池銀行」を生み、「三和銀行」(現在は、UFJ銀行)に発展している。
 三菱財閥は、岩崎弥太郎が海運業から軍需産業を手がけ、貿易商社に進み、三菱銀行(現在は、東京三菱銀行)を生んでいる。
 安田財閥は、安田善次郎が両替店で「金銀の鑑定眼」を磨き鍛え、小額資金で「露店の両替店」から身を起こし、「厳しい経済的変化に対応するためには、自分の自由になる個人銀行が必要」と痛感し、安田銀行を創立、これが後の「富士銀行」(現在は、みずほ銀行)へと発展する。
 野村財閥は、「証券業」から「野村銀行」を起こし、これが後の「大和銀行」(現在は、りそな銀行)になっている。
 ライブドアの堀江社長が尊敬し目標としているソフトバンクの孫正義社長は、「あおぞら銀行株」を大量に取得して、一時「銀行業」に参入していた。
 このように、経営者が事業を拡大しようとした場合、安田善次郎が「厳しい経済的変化に対応するためには、自分の自由になる個人銀行が必要」と痛感したように、必ずや「景気変動」に巻き込まれて、最悪の場合、資金ショートを起こして倒産に追い込まれる危険がある。銀行型でスタートして発展してきた日本資本主義は、資金調達の道を「銀行中心」にしてきた。家屋敷を担保にして融資を受けざるを得ない。逆に担保がなければ、融資を受けられない。これが「投資型」で発展してきたアメリカ型の資本主義社会とは決定的に違う点であった。
 景気変動に巻き込まれても、潤沢な資金があれば、安定経営できる。それには、自らが「金融業」を営み、「銀行経営」に携わるに越したことはない。
 堀江社長は、まだ32歳の青年実業家ではあるが、このことに早くから気づいていたのであろう。インターネットを利用する報道の方法により、既成のマスメディアに衝撃を与えるとともに、「メデイアとインターネット融合」という新しい報道のあり方と将来への可能性を考える機会を与えてくれただけでない。堀江社長の頭の中には、「金融事業」という壮大な儲け口と「宝の山」が描かれているようである。
 日本の資本主義が「銀行型」から「投資型」へ急激な変化を迫られている状況のなかで、堀江社長が起こした「超弩級の衝撃」は、計り知れなく大きく、「革命的」とも言える。
 「義経」の「奇襲戦法」にも似た快進撃が、「義経」のような「悲劇」に終わることがないことを祈るばかりである。世の中には、「頼朝」のような「政略家」がウヨウヨいるからである。
「頼朝」の側には、「孫子の兵法」を家学として受け継ぐ直系の「大江広元」がいて、政治参謀として「策謀」をめぐらした。
 この「孫子の兵法」を経営の基礎においている経営者の一人が、ソフトバンク・グループの統率者「孫正義」であり、マイクロソフト社の総帥「ビル・ゲイツ」であることを、堀江社長は、見逃すべきではなかろう。

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映画「アビエイター」に感動していたライブドアの堀江貴文社長のこれからが楽しみだ

2005年04月19日 18時20分55秒 | 経済
「想定内の中でも良い方で決着できた」ライブドア堀江社長 (INTERNET Watch) - goo ニュース

 ライブドアとフジテレビ・ニッポン放送が「和解」し、日本は、いよいよ本格的な「21世紀・デジタル情報革命」は、「新たなステージ」に踊り上がり、いよいよドラスティックな展開の幕が切って落とされた。
 東京都の石原慎太郎知事が、19日のテレビ朝日の番組「ワイド!スクランブル」で大和田獏氏に直撃され、ライブドアの堀江貴文社長の今回の行動に対して、「若いからといって抑えてはならない」などと高く評価する発言をしていた。さすがに20歳そこそこで「太陽の季節」を書き、「若者文化」「大量消費時代」の幕開けを告げて芥川賞を受賞した大作家だけに、慧眼である。
 若者がしっかり頑張ってもらわないと日本の明日は開かれない。坂本龍馬は、「船中八策」を書き、大政奉還の道筋をつけた直後に凶刃に倒れたのが、32歳(奇しくも慶応3年11月15日の誕生日に暗殺された)だった。堀江社長は、昭和47年10月生まれ、現在32歳である。革命児は、これくらいの年齢で、大業を成す。 ちなみに、ソフトバンクの孫正義社長は、昭和32年8月11日生まれで47歳。創業は、昭和54年9月2日、カリフォレニア大学バークレー校近くで「ユニソン・ワールド」を設立したときで22歳だった。日本ソフトバンク設立は、昭和56年10月、24歳のときである。
 テレビ朝日株をオーストラリアのメディア王・マードックとともに買収したのが、平成8年6月20日、38歳のときで、朝日新聞社による企業防衛にあい、平成9年3月3日、テレビ朝日株を売却して撤退。つまりM&Aに失敗したのが、39歳のときだった。
 あれから8年。孫正義社長は、ライブドアを「ミニ・ソフトバンク」と評しているが、堀江社長の方が、「フジテレビ・ニッポン放送」との「資本・業務提携」により、「メディア・インターネット融合ビジネス」の橋頭堡を築くことができ、ソフトバンクを一歩リードした形となった。
 今回のM&A劇の最中、テレビやラジオなどメディアに経済専門家やM&A専門家が何人か出演して様々なコメントや解説をしていたが、堀江社長について、一つだけ見落としていることがあった。 それは、いま上映中の映画「THE AVIATOR(アビエイター)」(飛行士)である。「映画」と「飛行機」の二つの分野のパイオニアとしてアメリカの歴史に名を残した実在の実業家「ハワード・ヒューズ」の物語である。1929年の世界大恐慌のころから、第二次世界大戦が終わって間もなくのころまでの時代に、自らも航空機製造会社を買収し、逆にライバル社である「パンナム」から激しい買収攻撃にあいながら、飛行機を開発し、「未来への道」を切り開いていく姿を描いている。
 この映画をみるだけで、アメリカという資本主義社会が、いかに「M&A社会」であるかを教えられる。「企業乗っ取り」が平気で行われるこうした風土は、日本ではつい最近まで「悪」と見られてきた。
 だが、「外資襲来」が激しくなり、これからも一段と激化してくることが予想される今、「アビエイター」という昔のアメリカの物語が、いまの日本に与える衝撃は大きい。否応なく、日本も遅れ馳せながら、「M&A社会」に変質していかざるを得ず「買収」を怖がってばかりはいられない。
 この点、堀江社長は、さすがである。ニッポン放送株買収劇の渦中にありながら、3月26日に「アビエイター」を鑑賞し、その感動を自分のブログに「ハワード・ヒューズすげー!感動した」と書いていたのだ。堀江社長の感動はともかくとして、「3社和解」の「記者会見」に至っても、この映画について触れたコメンティターは一人もいなかったのは、淋しい。
 さて、世の中には、同じような風景を見ていても、新しい変化が「見えたり、聞こえたりする人」と「見れども見えず、聞けども聞こえずの人」に分かれる。見えもせず、聞こえもしないような人たちが、勝手な戯言を言っている場合が多いけれど、耳を傾けるのも煩わしい限りである。
 堀江社長が、フジテレビ・ニッポン放送にいかなる「新しいビジネス・モデル」や世間を「あッ」と驚かす「コンテンツ」を提案、提供するかが楽しみである。堀江社長は、和解交渉の最中も、渡米しGoogleとの提携話をまとめてきており、これが和解にアクセルをかける好材料になったともいえよう。
 ①「メディア・インターネット産業」は、フジテレビ・ニッポン放送・ライブドアのグループ企業体が、リーディング・カンパニーとなり、「メディア・インーネット・コンプレックス(複合体)」特有のビジネス・モデルを構築し、豊かなコンテンツを武器に壮大な市場を占有していく。このなかでもフジテレビが、メディア業界の最先端を走る。
 ②「メディア・インーネット・ファイナンス・コングロマリット」による新しいビシネス・モデルを構築する。ライブドアの堀江貴文社長がその先駆けとなり、資本主義社会における「利子生み資本」が、最高度に発展し、日本が名実ともに「金融大国」にのし上がる。
 ③「メディア・インターネット産業」におけるM&A劇に触発され、日本のあらゆる産業が、「M&A時代」に突入し、「アメリカ型の経営」が、常識化していく。「ストラテジック・バイヤー」「ファィナンシャル」の二つのタイプの買収が、活発化する。そのなかでとくに製薬業界などの合併、買収が盛んに行われるようになるだろう。
 ④堀江社長には「見えて、聞こえている新しいビジネス・モデル」が、日本だけでなく世界の「未来の道」を切り開いていくことが大いに期待される。日本の若者たちは、孫正義、三木谷浩史、堀江貴文に続こう。否、700万人といわれる「団塊の世代」も負けてはいられない。「2007年問題」を吹き飛ばそうではないか。

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ライブドアの堀江貴文社長の「和解」は、「戦勝五分」で買収劇に実質的に勝利!

2005年04月18日 17時30分35秒 | 経済
ライブドア・フジテレビ、きょう和解を発表 (読売新聞) - goo ニュース

 ライブドアの堀江貴文社長が18日、フジテレビとの「和解」を決めた。2月8日にニッポン放送株にM&A攻撃をかけてから「70日」の買収劇に幕が降ろされた。
 この勝負、仕掛けた堀江社長が、武田信玄の名言の「戦勝五分を以て上となす」のような結果になり、「大人の解決」を図ったと高く評価してよい。
 今後、フジテレビとの「業務提携」が、具体的に進むならば、「メディア・インターネット・ファィナンス・コングロマリット」への大きな前進とも言えよう。
 フジテレビ側から見ても、多額の費用がかったにしろ、テレビ業界において、「メディア・インターネット融合ビジネス」の面で、最先端を走れる条件を手にしたことになる。これに成功すれば、業界トップのテレビ会社になるのは間違いない。
 堀江社長が、あくまで「メデイアの所有」を切望するなら、「TBS」が良い買い物になろう。株価のそれほど高くなく、毎日新聞社は、すでに親会社ではなくなっているので、「M&A攻撃」するなら、格好の獲物である。今回の経験が、教訓になり、練習にもなって、今度こそ、うまくいくはずである。


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ライブドアの堀江貴文社長は、武田信玄の「軍勝五分」を以て「和睦」による真の「戦略的勝利」をめざせ

2005年04月14日 19時42分29秒 | 経済
和解か、瓦解か ライブドア・フジ和解案、決着は不透明 (朝日新聞) - goo ニュース

 読売新聞が「ライブドアとフジテレビ 月内にも和解へ」と報じた「特ダネ」記事(13日付朝刊)が、本当になりそうである。報道各社は、疑心暗鬼のようだったが、14日になって後追いし始めている。「和解」の条件をめぐって詰めの交鈔を進めていると見られる。
 ライブドアの堀江貴文社長は、記者団にこのことを聞かれ「魑魅魍魎」と肯定も否定もしない、文字通り「魑魅魍魎的」な答え方を煙に巻いているが、ライブドアとフジテレビの双方が納得できる条件で折り合い、「和解」が成立するなら、ライブドアにとって、「大勝利」である。1000億円でニッポン株を引き取ってもらい、なおかつ、フジテレビから第三者割当増資分を引き受けてもらい、実質的に出資を得て、さらにそのうえに、業務提携してもらえるなら、これほど「有利の条件」を獲得することはめったにないこととなる。
 相争う二つの勢力がぶつかるとき、絶対に譲れないところで勝つことを「戦略的勝利」といい、多少の譲歩をして勝つことを「戦術的勝利」という。ライブドアが目標としていたのは、「メディアとインターネットの融合ビジネス」であるから、この戦略目標が、達成不可能となるなら、堀江社長の「完敗」である。だが、「業務提携」にしろ、目標達成に一歩踏み出すことができるなら、「大勝利」と言わなくてはならない。資金調達が行き詰まったり、6月の株主総会が近づいたりして、「時間」との勝負を迫られていたために、ニッポン放送株の買い取り、第三者割当増資分の引き受けという条件で折り合いをつけなくてはならなくなったための「戦術的な敗北」と見えても、実質的には、「勝利」である。リーマンブラザーズからの融資を原資として勝負を挑んだ堀江社長にとって、手にする物は、大きい。和解が正式に決まった後は、徐々に実績を積み、メディアを縦横無尽に活用すればよいのである。
 徳川家康が最も恐れ、最も尊敬をした武田信玄の有名な言葉に「およそ軍勝五分を以って上となし、七分を以って中となし、十分を以って下となす」(「甲陽軍鑑」)というのがある。相手をとことん叩きのめすというのでは、本当の「戦略的勝利」ではない。
 堀江社長が、見事に「和解」できれば、真の「大人」と認められるに違いない。


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ライブドア堀江貴文社長の「次の一手」が待ち遠しい

2005年04月09日 13時02分34秒 | 経済
亀渕ニッポン放送社長、6月に退任…買収問題で引責 (読売新聞) - goo ニュース

 堀江社長は、6月に行なわれるニッポン放送の株主総会で取締役11人(全体は19人)を送り込み、経験権を握る方針を決めているようだが、これに成功すれば、たとえ「ラジオ」からとはいえ、日本のメディアの一角における買収が成功する。
 メディア史上初の快挙となる。「メディアとインターネットの融合ビジネス」をめざす堀江社長の功績はきわめて大きい。。
 SBIの北尾吉孝CEOが「テレビ朝日」の買収に失敗し、「ラジオ」さえ手に入れていないのに比べれば、堀江社長は「先陣争い」の勝利者といえよう。

 その北尾CEOが、朝日新聞のオーナー村上家り株を狙っているという報道から察するに、「朝日」によほどご執心らしい。
 大手新聞各社は、ニュースをインターネットに配信しているが、ほとんど収入にはならず、人件費ばかりタレ流しているのが実情のようだ。やはり、インターネットビジネスは、堀江社長のIT技術に詳しいプロフェッショナルに任せた方が得策といえよう。
 この事実に巨大メディアのどこが一番先ら気づき、堀江社長と若手と手を組めるかが、「メディアとインターネット融合ビジネス」の真の勝利者となり得る。
 フジテレビの経営陣は、案外に顔が堅そうであり、堀江社長はフジテレビだけにこだわらず、ライバルのチャンネルで柔らか頭の経営陣探しにも意を用いた方がよさそうだ。  本当にこのビジネスは「早い者勝ち」なのだ。

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悲劇の戦艦「大和」撃沈60周年「追悼式」に思う~ライブドアとの類似性

2005年04月08日 15時19分44秒 | 経済
戦艦大和の沈没から60年、呉の旧海軍墓地で追悼式 (朝日新聞) - goo ニュース

 戦艦大和が1945年4月7日に米軍機に撃沈されて60年周の追悼式が7日、広島県呉市の旧海軍墓地で行われた。
 戦艦大和が建造された旧呉海軍工厰を眼下に見下ろす「宮原10丁目」というところで戦後間もなくして生まれた私は、子どものころこの辺りをよく散歩したものである。母の知人や隣人が大和の出撃の前に「海のモクズになるのよのう」と冗談まじりの挨拶をして、勇ましく出征して行き、それらのほとんどの人が大和と運命を共にしたという話をよく聞かされたのを思い出す。
 霞ヶ浦で航空隊を養成した山本五十六海軍大将が、爆撃機によりパールハーバーを奇襲して大勝し、軍事戦略思想が、「航空戦」が主流に変わっていたにもかかわらず、ミッドウェー海戦では、頭の固い海軍軍人たちが、時代遅れの「大艦巨砲主義」に固執し、遂に帝国海軍を壊滅させてしてしまった。航空母艦を失った海軍は、「大艦巨砲主義」の最大の傑作とも言うべき戦艦大和を「片道の燃料だけ」で自殺的とも言える沖縄決戦に向けて出撃させ、案の定、米軍機から銃弾や爆弾を雨あられのごとく叩き込まれ、潜水艦からは魚雷をあちこちから撃ち込まれて、八岐大蛇がのたうち回るようにして、巨体を反転させながら、海中に沈没していった。
 戦艦大和の悲劇を聞くたびに、軍事技術の大革命が、戦略思想の変化をもたらすという歴史的教訓は、果して、今日の日本で生かされているだろうか。
 
 いま急速に進展しているメディアとインターネットの融合も、技術変化がもたらす効果の一つである。ライブドアの堀江貴文社長がこのことを多くの国民に思い知らせてくれたのであるが、新聞、テレビ、ラジオなどのメディアに関わっている人々の多くが、すでに「時代遅れ」になっていることに気づいていないのではないか。あるいは、気づいていても、「大艦巨砲主義」に固執しているのではないか。戦艦大和追悼式の報道を見聞きしながら、ふと疑問に感じた。
 
 もう一つ、かつて朝日新聞の名物記者と言われた笠信太郎さんの著書「なくて七癖」が、思い浮かんだ。
 日本人の「七癖」の一つに「上へ登る癖」というのがあった。日本人は、むかしから「高いところへ登りたがる癖がある」というのである。富士山登山、伊勢参り、京へ上るなどである。
 明治維新以降、日本人は、「欧米列強を追いつけ、追い越せ」というかけ声で文明開花と近代化に励んできた。その過程で、「3流5流国から一等国を目指す」という気概が発揮され、日清日露戦争に勝利してからというもの、「世界の一等国」になったと増長し、うぬぼれてしまった。その結末が、敗戦であった。
 戦後は、「軍事大国への道」を捨て、「経済大国」への道に邁進し、遂に「世界第2位の経済大国」を築き、再び、増長するようになり、「バブル経済崩壊」という惨劇を経験した。
 いまは、「国連安保理事会の常任理事国」になろうとしている。戦勝国である米、英、仏、ロ、中の仲間入りしたいのである。これも「勝ち組」に入ろういう意味で、「上へ登ろうとする癖」の成せる業であろう。中国に反対されるまでもなく、「常任理事国」などにならなくてもよい。これからは「米中対決」が激化する時代であるから、日本が巻き添えを食わない方が、国益に叶う。財政負担や人命を損なう危険が目に見えている大変にことは、須らく「お節介焼き」のアメリカと「中華思想」に取りつかれた「物好きな国」の中国、そして何かと日本に対してライバル意識をムキ出しにしてつっかかってくる韓国に任せておけば十分である。
 
 もう一度、「吉田茂元首相」の平和戦略を思い出して欲しい。日本を守るのは、「日本の番犬・アメリカ」であり、米ソ対決時代は最前線の「韓国」だった。これは、日本国憲法の理念に最も適った「軍事戦略」だったはずである。この構図は、多少変形したとしても、崩すべきではない。大事なのは、日本の若者たちの貴い命を守ることである。すなわち「血の犠牲」に供してはならない。血を流すのは、「他国の若者たち」でよいのである。これこそ、狡猾で巧妙な高等戦術だった。日本は、危ないところにわざわさしゃしゃり出て、若者たちを犠牲にすべきではない。それでなくても、「少子高齢化」が進んでいるのだ。ヘタをすると若者たちの代わりに「65歳以上の高齢者」で編成する「老人部隊」まで創設しなければならなくなる。

 次に、新入生を迎える入学式が終われば、高校生は、一流大学を目指して「偏差値の上位」に向かって上昇のための勉強に励む。大学生は1部上場企業への入社を目指して、競争に突入する。
 上昇志向は、決して悪いことではない。「上」を目指し、日々向上していくことは、よいことである。
 だが、源平合戦の「先陣争い」ではあるまいし、また、「二〇三高地」を目指したような兵隊でもあるまいし、「一番乗り」したところで、何が得られるというのであろうか。「自己を見失う」のが関の山ではないだろうか。日本人も、そろそろ、「上に登る癖」から解放されて、各々が地道でもしっかり大地に足の着いた生き方を生き甲斐を求めてもよいのではないだろうか。

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ライブドアの堀江貴文社長の戦術を宮本武蔵の「五輪書」に照らし合わせてみると面白い

2005年03月31日 18時31分58秒 | 経済
フジとの資本提携が必要 堀江社長、休戦協定求める (共同通信) - goo ニュース

 さすがに福岡県出身である。ライブドアの堀江貴文社長は、若いのに戦い上手である。
 フジテレビの用心棒、ことソフトバンクの北尾吉孝CEOが現れ、「もはやこれまで」と勝負あったかと思えた瞬間、ヒラリと身を交わして、「6月の株主総会後に会う」と上手に逃げたのには、感心させられた。「海千山千」の北尾CEOの術中にはまるのを嫌った戦術は、お見事。そのうえ、フジテレビとの交渉を「一時休戦」に持ち込んでいる。
 福岡県ばかりではなく、九州は宮本武蔵にゆかりの土地である。堀江社長が、小倉の沖に浮かぶ「巌流島の決闘」と無縁であるわけがない。土地柄や伝統というのは、一種のDNAに刷り込まれている。
 さて、能書きはこのくらいにして、宮本武蔵の名著「五輪書」に照らし合わせて、堀江社長の戦いぶりを分析してみると、なんと、武蔵が教訓として遺していた戦法にピッタリ当てはまっているではないか!
 五輪書は、「地水火風空」の5巻にまとめられている。戦い方の極意である。「火の巻」で武蔵は、「火は大きくも小さくもなり、変化が激しく際立ったものである」として、「変化が激しく一瞬を争う戦闘、勝負」について実戦に臨んで敵に勝つための「要諦」を「27」に集約して書き著している。
 北尾CEOが、「13番目の要諦」である「むかつかせる」(相手の心の平衡を失わせる」戦術を露骨に見せ、堀江社長の勝算について「99・9999・・・%勝てない」と恫喝したのに対して、堀江社長は、まず、「その手にはのらないよ」とこれをサラリと交わし、機先を制したのである。
 そのうえで、「23番目の要諦」である「新たになる」(方針転換を思い切ってやれ)の戦術を打った。「もつれるような状態になって決着がつかない場合、それまでの自分の狙いを捨てて、物ごとを新しく始める心持ちで、その拍子に乗って勝つ道を選ぶ」ということである。孫子の兵法で言う「臨機応変」の術である。
 北尾CEOは、「暖簾に腕押し」に拍子抜けしたことだろう。武蔵は勝利の極意について、「五輪書」の「地の巻」のなかの「拍子の事」の項で、「いずれも巻にも拍子の事を書き記すなり」と述べて、「勝負に勝つには、一にも二にも、拍子が大事である」とわざわざ力説している。堀江社長は、とりあえず、北尾CEOの「拍子」を狂わせるのに成功した。北尾CEOの次の一手が、楽しみである。


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成功のカギは執行部の有効活用にあり

2005年03月29日 19時09分41秒 | 経済
発行済みでも過半数確保 ニッポン放株をライブドア (共同通信) - goo ニュース

 ライブドアの堀江貴文社長が、この聞きを突破できるのは、「弥生会計」を買収したときのように、ニッポン放送の亀渕執行部の大半を有効活用することである。
 ディスクジョッキーで有名な亀渕社長は、サラリーマン社長ではあるが、この道の「プロ中のプロ」である。「モチはモチ屋」という言葉があるように、大事に活用すれば、この恩は「信返し」されるに違いない。
 堀江社長は経営者としての「度量の大きさ、広さ」を示し、国民の支持をさらな拡大してほしい。

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テレビとインターネットの融合ビジネスは早い者勝ち

2005年03月28日 19時30分50秒 | 経済
「北尾氏から出資要請」と日テレ会長 ITファンドに (朝日新聞) - goo ニュース

 テレビとインターネットの融合ビジネスは、いまや「早い者勝ち」の様相を示している。いまの段階で、テレビ業界では、ライブドアに狙われたフジテレビがトップランナーということになる。
 ソフトバンクインベストメント(SBI)の北尾吉孝CEOが、日本テレビの氏家齊藤一郎会長に投資ファンドへの参加を2月下旬に申し込んでいたことを氏家社長が28日明らかにした。
 氏家社長が消極的で、その後、北尾CEOがフジテレビの要請に応じて、投資ファンドを設立することになったという。
 テレビ業界は、テレビ朝日(朝日新聞社系)、日本テレビ(読売新聞社系)、TBS(毎日新聞社系)、フジテレビ(産経新聞社系)、テレビ東京(日本経済新聞社系)の大手により、系列化されているが、ライブドアの堀江貴文社長が提案した「テレビとインターネットの融合ビジネス」においては、皮肉なことに、「フジテレビ」が先陣を切っている形となっている。
 ソフトバンクはテレビ朝日とは「いわくつきの関係」にあり、いまさら手を結ぶのはムリ。日本テレビは野村證券の瀬川元社長以来の深いつき合いがあり、しかも野村ホールディングスの氏家純一会長と、日本テレビの氏家社長とは縁戚関係にあり、野村證券出身の北尾CEOが日本テレビに一番先にアプローチしたのは理解できるが、相手の感度が悪かった。TBSは貧しい毎日新聞社が親会社なので、ハナから相手にされていない。
 ということで、結局「フジテレビ」が幸運をつかむ可能性が高まってきた。堀江社長も、あまり焦らず、テレビとの融合を図っていったほうが得策かも。
 ちなみに、産業界というのは、ひとつの業界を一社が市場独占するというのは、独占禁止法で禁止されている。少なくとも、3社くらいがお互いに拮抗しながら競争することが必要である。ソフトバンク一社がダントツで市場を独占することは、許されない。テレビとインターネット融合ビジネスにおいても、ソフトバンク、楽天、ライブドアの3社が競争する状態が最も望ましい。この意味においてライブドアの堀江社長を潰す必要はなく、むしろ育てるほうが業界にとっても、また日本にとっても、利益になる。
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ホリエモン「現代版・義経」となるか

2005年03月28日 14時49分32秒 | 経済
ライブドア堀江、SBI北尾両氏の会談が中止に (読売新聞) - goo ニュース


 ライブドアの堀江貴文社長とソフトバンクインベストメントの北尾吉孝社長とのトップ会談が、キャンセルとなった。
 このニュースを耳にしながら、現在放映中のNHK大河ドラマ「義経」の映像がだぶってきた。
 ライブドアの堀江貴文社長が2月8日にニッポン放送株を35%取得したと報道がされたとき、「これは奇襲攻撃だ!」と叫んだ人が少なくなかった。
 「奇襲」と言えば、日本の戦史上の「元祖」は源義経である。源平合戦の末期、源義経が、「一の谷の奇襲」と「屋島の奇襲」により、平家を滅亡に追い込んだ。その「義経」をNHKが大河ドラマで放映中というのも奇遇である。
 ところで、「一の谷の奇襲」に成功した義経に対する当時の評判は決して芳しくはなかったという。「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にもの見よ」と、まず、双方が名乗りを上げ、どんな家柄の者であるかを先祖から順々に述べ合った後に、一騎打ちで勝負を決めるのが作法だった。義経はそれを無視して、いきなり背後から平家を襲った。「誠に卑怯で汚いやり方」と不評を買ったのだろう。
 しかし、その後、「奇襲」が、有効な戦法として評価されるようになり、後世に引き継がれていく。
 【奇襲戦法の戦史】
□源義経の「一の谷の合戦」〔1184年(寿永3)2月7日未明〕:平家を断崖絶壁から夜陰→奇襲
□源義経の「屋島の合戦」〔1185年(寿永4)3月24日〕:平家を屋島の背後から暴風雨に紛れ→奇襲
□毛利元就の「厳島の合戦」〔1555年(弘治元)10月1日未明〕:陶晴賢を厳島の背後から暴風雨に紛れ→奇襲
□織田信長の「桶狭間の合戦」〔1560年(永禄3)5月19日〕:今川義元を田楽狭間で風雨に紛れ→奇襲
□大石内蔵助の「吉良邸討ち入り」〔1702年(元禄15)12月15日午前4時〕:吉良上野介を吉良邸宅に夜陰と雪に紛れ→奇襲
□山本五十六の「真珠湾攻撃」〔1941年12月8日午前8時〕:米国真珠湾で、夜陰に紛れ→奇襲

 しかし、これらの奇襲を行った英雄や子孫は、いずれも悲惨な最後や悲運にさらされている。本人が悲劇的にならないまでも、その子孫に災いが及んでいる。
 義経は、兄・頼朝に殺され、毛利就成の孫は、関が原の合戦に敗れ、祿高を120万石から35万9千石に減らされ、明治維新までの265年間、萩に遠ざけられた。織田信長は、明智光秀の暗殺され、大石内蔵助以下47士は、切腹・打首となり、山本五十六は、戦闘機で移動中に米軍により撃墜されて戦死している。
 悲劇の英雄は、悲劇なるが故に、後世まで語り継がれている。義経に向けられた人々の「判官贔屓」の心情は、現代にまで引き継がれている。
 さて、近鉄の買収に失敗した堀江社長は、ソフトバンクインベストメントの北尾吉孝社長の登場により、今回も失敗すれば、「悲劇の人」となって世間からの同情を向けられるに違いない。
 堀江社長が、「現代版の義経」となるか否か、推移を注視したい。

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コメント (2)
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