◆日本郵政の社長人事をめぐり、登場人物の関係構図が炙り出されてきた。というよりは、「頭隠して尻隠さず」という具合に、誰と誰との確執か、すなわち、対立の本質が、はっきりしてきたとも言える。
一見すると、鳩山邦夫総務相と西川善文社長との対立に見える。だが、これは、饅頭の皮、それも薄皮にすぎない。
◆西川善文社長は、元三井住友銀行の頭取である。金融機関トップの西川社長が、この間にさせられてきたのは、元々国有財産であった日本郵政の資産(土地、建物)を誰かの指示で売却させられてきた。それも、ほとんど激安で売り飛ばす。バナナの叩き売りも同然であった。西川社長は、いわば、パシリである。国民にとって大事な資産の売却によって、総体としての国民は、大きな損害を被った。売らせたのは、言うまでもなく、郵政改革を断行した政治家、学者である。
鳩山邦夫総務相は、西川社長が背後の黒幕にいつまでも、手先にされているのを見て、
気の毒に感じているようなのである。西川社長の再任を「認可しない」と言っている相手は、西川社長ではなく、背後の黒幕に向かってである。鳩山総務相は「もういい加減、悪事に手を貸すのは、止めて下さい」と言っているのである。老体のやつれた姿を見るのが、忍びないのである。
◆この問題は、自民党町村派内の二つの勢力による対立に本質がある。ズバリ言えば、「小泉純一郎元首相―竹中平蔵元総務相―中川秀直元幹事長」VS「町村信孝元官房長官―森喜朗元首相」である。これに「かんぽの宿」などの資産売却益の奪い合いがある。二つの勢力のどちらが、利益奪い合いの勝利者となるか。その結果によって、次期政権の主導権の掌握者が決まる。
そのために、魑魅魍魎、百鬼夜行、化け物たちの血みどろの争いが延々と続く。これまで町村派内で、劣勢だった中川秀直元幹事長が、「鳩山総務相は、閣内から去れ」といよいよ本性を剥き出しにしてきている。森喜朗元首相は、押えつけたはずの中川秀直元幹事長が、俄然、元気を取り戻してきたので、慌て気味である。しかし、「正義」を振り翳す鳩山総務相は、西川社長の退陣を求めて、断固として持論を下げようとはしない。その鳩山総務相は、森喜朗元首相をバックにしていながら、森喜朗元首相が日々、精気を失ってきているので、なぜか嬉しそうである。西川社長がクビになれば、悪事がバレる恐れがあるからだ。とうも鳩山総務相に妙なささやきをしてやぶ蛇になったようである。
◆肝腎要の麻生太郎首相は、もっと嬉しそうである。元々、郵政民営化には賛成でなかったから、当然である。最大派閥の町村派が、内部抗争を激化させ、二つの勢力が共倒れしてくれるのを高見の見物して楽しんでいる感がある。だから、何も決断しようとしない。否、決断はとっくの昔にしているのである。それは、郵政利権の横取りである。漁夫の利ということである。
だが、残念ながら、日本郵政が管理しているはずの「350兆円」は、とっくの昔にアメリカの巨大金融機関、そのなかでもとくにゴールドマンサックスにそっくり持っていかれているという観測もある。要するに、食い散らかされた後の祭りの郵政利権を争奪しているのは、日本の馬鹿な政治家たちという情けない話である。
板垣英憲マスコミ事務所
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