◆「第3の道」を歩もうとしている菅直人首相は、公共事業を主力とする「第1の道」と
市場原理主義に基づく「第2の道」を基本的に否定しているけれど、「第1の道」と「第2の道」が、海外のなでも米国からの圧力を受けて日本の巨額の資産が収奪されるなかで、辛うじて、日本経済を下支えして、底割れしないように大きな貢献をしてきた事実は、高く評価しなくてはならない。とくに公共事業を主力とする「第1の道」の力を決して侮るべきではない。菅首相がいくら「第3の道」により経済回復と景気浮揚を図ろうとも、鉄鋼業界と建設業界という基幹産業を主力とする「第1の道」を凌駕することはできないからである。
◆私の持論である「景気を押し上げる5つの基礎的条件」に従えば、景気浮揚には、「カネと土地」が大きく動きことが不可欠である。戦後65年の歴史を振り返ってみても、「カネと土地」が大きく動かした国家最高指導は、吉田茂、池田勇人、中曽根康弘の3人の首相しかいなかった。このうち、中曽根康弘首相が就任して直ぐに探し求めたのは、「カネと土地」を動かすためのアイデアを含んだ調査報告書やレポートであった。最初に目つけたのが、大平正芳首相が在任中に新設した24の懇談会が残した報告書だった。しかし、このなかに、中曽根首相が求めるものはなく、いろいろリサーチしているうちに、社団法人日本プロジェクト産業協議会(略称・JAPIC)がまとめた「社会資本整備について」と題する報告書と、野村総研がこの時点より10年も前にまとめていた「都市再開発」と題するレポートであった。これらを参考に中曽根首相は、「都市再開発」に乗り出し、大蔵省理財局に「国公有地有効利用」をテーマとする研究会を立ち上げたのである。国家財政がピンチの最中にあったので、「都市再開発」資金は、民間の余剰資金に求め、「民間活力の活用」と銘打った。資金を動かす役目は、野村証券、住友銀行など金融証券機関に委ね、土地を動かす役目は、鹿島建設、三井不動産、住友不動産に任せた。建設に不可欠なのは、鉄鋼であり、その中心に位置している新日本製鉄が加わった。これらのメンバーが景気押し上げの仕掛人となったのである。
◆しかし、忘れてはならないのが、社団法人日本プロジェクト産業協議会の果たした役目である。「社会資本整備について」と題する報告書がなかったなら、さすがの中曽根首相も「カネと土地」を大きく動かすことはできなかったに違いない。この意味で、これからの経済回復と景気浮揚を推し進めようとするなら、いかなる政権であろうとも、社団法人日本プロジェクト産業協議会の持つ知恵やノウハウは、しっかり活用する必要がある。
◆社団法人日本プロジェクト産業協議会(三村明夫会長=新日本製鐵代表取締役会長、東京都中央区日本橋茅場町3-2-10 鉄鋼会館6階)は昭和54年11月、任意団体として発足し、昭和58年4月、国土庁、通商産業省、運輸省、建設省の4省庁の共管による社団法人に改組。平成13年1月、省庁再編により経済産業省、国土交通省の2省の共管に変更。平成16年11月、25周年を迎えて、今日に至っている。
日本は現在、少子高齢化、地域間格差、地球温暖化など数多くの課題に直面している。こうした課題に立ち向かうべく、新ビジョンとして「日本創生」を打ち出して定款を改正し、「地域の活性化」、「環境の保全」、「産業の国際競争力の強化」といった近年の国家的課題の解決を新たな目的と定め、これまでに数多くのレポートをまとめている。これらのなかに、時の政権が「日本創生」に活用できるレポートが含まれており、たな晒しにしておくのは、実にもったいない話である。
市場原理主義に基づく「第2の道」を基本的に否定しているけれど、「第1の道」と「第2の道」が、海外のなでも米国からの圧力を受けて日本の巨額の資産が収奪されるなかで、辛うじて、日本経済を下支えして、底割れしないように大きな貢献をしてきた事実は、高く評価しなくてはならない。とくに公共事業を主力とする「第1の道」の力を決して侮るべきではない。菅首相がいくら「第3の道」により経済回復と景気浮揚を図ろうとも、鉄鋼業界と建設業界という基幹産業を主力とする「第1の道」を凌駕することはできないからである。
◆私の持論である「景気を押し上げる5つの基礎的条件」に従えば、景気浮揚には、「カネと土地」が大きく動きことが不可欠である。戦後65年の歴史を振り返ってみても、「カネと土地」が大きく動かした国家最高指導は、吉田茂、池田勇人、中曽根康弘の3人の首相しかいなかった。このうち、中曽根康弘首相が就任して直ぐに探し求めたのは、「カネと土地」を動かすためのアイデアを含んだ調査報告書やレポートであった。最初に目つけたのが、大平正芳首相が在任中に新設した24の懇談会が残した報告書だった。しかし、このなかに、中曽根首相が求めるものはなく、いろいろリサーチしているうちに、社団法人日本プロジェクト産業協議会(略称・JAPIC)がまとめた「社会資本整備について」と題する報告書と、野村総研がこの時点より10年も前にまとめていた「都市再開発」と題するレポートであった。これらを参考に中曽根首相は、「都市再開発」に乗り出し、大蔵省理財局に「国公有地有効利用」をテーマとする研究会を立ち上げたのである。国家財政がピンチの最中にあったので、「都市再開発」資金は、民間の余剰資金に求め、「民間活力の活用」と銘打った。資金を動かす役目は、野村証券、住友銀行など金融証券機関に委ね、土地を動かす役目は、鹿島建設、三井不動産、住友不動産に任せた。建設に不可欠なのは、鉄鋼であり、その中心に位置している新日本製鉄が加わった。これらのメンバーが景気押し上げの仕掛人となったのである。
◆しかし、忘れてはならないのが、社団法人日本プロジェクト産業協議会の果たした役目である。「社会資本整備について」と題する報告書がなかったなら、さすがの中曽根首相も「カネと土地」を大きく動かすことはできなかったに違いない。この意味で、これからの経済回復と景気浮揚を推し進めようとするなら、いかなる政権であろうとも、社団法人日本プロジェクト産業協議会の持つ知恵やノウハウは、しっかり活用する必要がある。
◆社団法人日本プロジェクト産業協議会(三村明夫会長=新日本製鐵代表取締役会長、東京都中央区日本橋茅場町3-2-10 鉄鋼会館6階)は昭和54年11月、任意団体として発足し、昭和58年4月、国土庁、通商産業省、運輸省、建設省の4省庁の共管による社団法人に改組。平成13年1月、省庁再編により経済産業省、国土交通省の2省の共管に変更。平成16年11月、25周年を迎えて、今日に至っている。
日本は現在、少子高齢化、地域間格差、地球温暖化など数多くの課題に直面している。こうした課題に立ち向かうべく、新ビジョンとして「日本創生」を打ち出して定款を改正し、「地域の活性化」、「環境の保全」、「産業の国際競争力の強化」といった近年の国家的課題の解決を新たな目的と定め、これまでに数多くのレポートをまとめている。これらのなかに、時の政権が「日本創生」に活用できるレポートが含まれており、たな晒しにしておくのは、実にもったいない話である。