◆石破茂防衛相が、イージス艦「あたご」の航海長をヘリで防衛省に呼び、漁船衝突事故について海上保安部が現場に到着する前に事情聴取していたことがバレてしまったという。誠にお粗末な出来事である。防衛相が率先して、不都合な事実に口封じし、証拠隠滅を図ろうとしたと疑われても仕方がない。
領海内での海難事故の捜査は、海上保安部が担当するのが当たり前であり、これは、陸上での交通事故の捜査を所轄の警察署が行うことを考えれば、交通警察が急行する前に事故を起こした運転手が、現場を離れてしまうのと同様に、たとえ上司から命令されたとはいえ、航海長の行為は犯罪的である。石破防衛相はじめ海上幕僚長ら高級幹部も非常識であり、同罪である。こんな違法行為がはっきりしたからには、防衛相はじめ海上幕僚長ら高級幹部は、このこと自体で、即刻クビである。
◆石破防衛相はじめ海上幕僚長ら高級幹部が口封じ、口裏合わせ、証拠隠滅を疑われるこんな違法行為を行った要因について防衛庁記者クラブにかつて所属していたことのある某全国紙の政治部記者であった某政治ジャーナリストが、民放テレビで「防衛大学校を卒業したエリート自衛官は、縦横の団結が緊密で、お互いをかばい合おうとする習性があるので今回のような行動を取ったのだろう」というような趣旨の発言をしていた。確かに自衛隊高級幹部も「官僚」であるから「組織防衛」に走り勝ちになるのは、その通りである。
しかし、このコメントは、あまりにも一面的な見方であり、本質を捉えていない。むしろ防衛大学校・自衛隊の習性について、無知も甚だしく、素人論の域を出ていない。石破防衛相はじめ海上幕僚長ら高級幹部の違法行為は、単に「組織防衛」から行われたというよりは、海上自衛隊と海上保安庁の積年の確執に起因していると言った方が、より正確である。海上自衛隊は創設以来、50年以上にわたり、海上保安庁に「敵意」を示してきた。根本的には、海の守備範囲をめぐる争いがある。
◆公海における警備・警察活動は、海上自衛隊、領海内のそれは海上保安庁と峻別されているのだが、海上自衛隊は、「純然たる警察」でもない、かといって「純然たる海軍」でもない。言うなれば、「庶子」あるいは「まま子」として生まれ、成長してきた「いかがわしい存在」でもある海上自衛隊は、現在曖昧なままにされている「使命・任務」あるいは「守備範囲」に納得も満足もしていない。
◆そういう一種の劣等感から、領海内で活躍している海上保安庁をむしろ、馬鹿にしてきた面がある。それにもかかわらず海上保安部の捜査陣は、これ幸いにデカイ顔をして、取り調べに当たっている…と内心苦々しく思っているのが海上自衛隊の深層心理といったところだ。要するに海上自衛隊にとって最も屈辱を感じる相手なのだ。これが正式な「軍隊」であるなら、事故捜査は「憲兵隊」の役目であり、「軍法会議」で裁かれる筋合いの事故である。
だから、今回の衝突事故では、イージス艦「あたご」自体に完全に非があるのは、だれの目にも歴然としているのだが、それでもいつも毛嫌いし、対抗意識を燃やしている海上保安部の捜査陣に乗り込まれて、「軍事機密の塊」のような艦内を隈なく捜査されるのが、海上自衛隊には死ぬほど我慢ならない。これは、口封じ、口裏合わせ、証拠隠滅とは、質の違う問題なのである。
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領海内での海難事故の捜査は、海上保安部が担当するのが当たり前であり、これは、陸上での交通事故の捜査を所轄の警察署が行うことを考えれば、交通警察が急行する前に事故を起こした運転手が、現場を離れてしまうのと同様に、たとえ上司から命令されたとはいえ、航海長の行為は犯罪的である。石破防衛相はじめ海上幕僚長ら高級幹部も非常識であり、同罪である。こんな違法行為がはっきりしたからには、防衛相はじめ海上幕僚長ら高級幹部は、このこと自体で、即刻クビである。
◆石破防衛相はじめ海上幕僚長ら高級幹部が口封じ、口裏合わせ、証拠隠滅を疑われるこんな違法行為を行った要因について防衛庁記者クラブにかつて所属していたことのある某全国紙の政治部記者であった某政治ジャーナリストが、民放テレビで「防衛大学校を卒業したエリート自衛官は、縦横の団結が緊密で、お互いをかばい合おうとする習性があるので今回のような行動を取ったのだろう」というような趣旨の発言をしていた。確かに自衛隊高級幹部も「官僚」であるから「組織防衛」に走り勝ちになるのは、その通りである。
しかし、このコメントは、あまりにも一面的な見方であり、本質を捉えていない。むしろ防衛大学校・自衛隊の習性について、無知も甚だしく、素人論の域を出ていない。石破防衛相はじめ海上幕僚長ら高級幹部の違法行為は、単に「組織防衛」から行われたというよりは、海上自衛隊と海上保安庁の積年の確執に起因していると言った方が、より正確である。海上自衛隊は創設以来、50年以上にわたり、海上保安庁に「敵意」を示してきた。根本的には、海の守備範囲をめぐる争いがある。
◆公海における警備・警察活動は、海上自衛隊、領海内のそれは海上保安庁と峻別されているのだが、海上自衛隊は、「純然たる警察」でもない、かといって「純然たる海軍」でもない。言うなれば、「庶子」あるいは「まま子」として生まれ、成長してきた「いかがわしい存在」でもある海上自衛隊は、現在曖昧なままにされている「使命・任務」あるいは「守備範囲」に納得も満足もしていない。
◆そういう一種の劣等感から、領海内で活躍している海上保安庁をむしろ、馬鹿にしてきた面がある。それにもかかわらず海上保安部の捜査陣は、これ幸いにデカイ顔をして、取り調べに当たっている…と内心苦々しく思っているのが海上自衛隊の深層心理といったところだ。要するに海上自衛隊にとって最も屈辱を感じる相手なのだ。これが正式な「軍隊」であるなら、事故捜査は「憲兵隊」の役目であり、「軍法会議」で裁かれる筋合いの事故である。
だから、今回の衝突事故では、イージス艦「あたご」自体に完全に非があるのは、だれの目にも歴然としているのだが、それでもいつも毛嫌いし、対抗意識を燃やしている海上保安部の捜査陣に乗り込まれて、「軍事機密の塊」のような艦内を隈なく捜査されるのが、海上自衛隊には死ぬほど我慢ならない。これは、口封じ、口裏合わせ、証拠隠滅とは、質の違う問題なのである。
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