最近HP(ヘリコバクター・ピロリ)除菌療法による除菌率低下が問題視されている。新3剤併用療法が保険収載となって9年目になるが、ここ数年除菌率の低下(70%前後)が認められている。除菌率低下の原因としてCAM(クラリスロマイシン)耐性化(30%)が言われており、年々増加傾向を示している。また地域格差が認められ、関東・東北では低く(17%前後)、関西・九州では高い(30~40%)とされている。一方、AMPC(アモキシリン)の耐性化は進んでいないようある。基本的に抗生剤は乱用すればするほで耐性化は避けられず、まさにCAMも耳鼻科や呼吸器内科で汎用されている薬剤の一つである。また食生活の欧米化により脂っこい食品が多く食され、胃酸分泌の増加が認められているのも事実である。そんな中、強力な胃酸分泌抑制剤であるPPIが現在3剤市販されているが、その制酸効果の違いが注目されている。つまり肝チトクローム代謝のサブタイプであるCYP2C19の遺伝子多型により、それぞれ薬剤の制酸効果に違いがあるとされている。OMZ(オメプラゾール)とLPZ(ランソプラゾール)はこのCYPサブタイプによって代謝されるが、代謝の早い高度代謝(EM)の症例では血中濃度が十分維持できず、安定した制酸効果や除菌効果得られないとされる。一方RPZ(ラベプラゾール)はほとんどこの代謝を受けないため、高い制酸効果と除菌効果が期待される。実際に臨床ではRPZ(パリエット)投与群において高い除菌率(80~90%)を達成しているのである。したがって当院でもこれからのHP1次除菌はパリエットを主軸としたレジメンを施行したいと考えている訳であります。
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