昨夕北秋田医師会主催の学術講演会があり出席しました。特別講師は
千葉大学細胞治療内科教授の横手幸太郎先生でありました。演題は「長
寿社会の心血管病予防」であり、DMや高血圧およびCKD症例、いわゆる
メタボリック症候群の病態と治療に関して興味深く、判り易い御講演でした。
その中で早老病の一つであるWerner症候群について興味深いお話があり
ました。Werner症候群は常染色体劣性遺伝疾患で第8番目の短腕に局在
するWRN遺伝子の変異(ホモ)のため、思春期以降、老化が急激に進展して
早期に死亡(平均寿命:約43歳)する遺伝疾患である。この特徴は重度の内
臓脂肪蓄積を主体とする全身の重度動脈硬化にある。早期の白内障発症や
骨粗しょう症や難治性皮膚潰瘍など,および全身の脂質蓄積に起因する身体異
常および癌腫の高頻度発生のため早期に死亡する。いわゆる遺伝性メタボリ
ック症候群(重度)ともいえる疾患である。その発生頻度は100万人に2人前
後とされているが、全世界では1200例ほどが報告されているが、なんと日本
人がその8割を占めるとされる奇病である。横手先生のお話ではアキレス腱の
石灰化像が特徴的であり、積極的メタボ治療にて10~20年の実績では約10
年ほど寿命が延びているとされる。つまり先天的な重度メタボ症例でも積極的な
予防治療によりはっきりとその効果が期待できるということになろう!プライマリ
ー・ケアーを担う一般内科医としては改めてメタボ症例に対する熱い指導や治療
が重要であると痛感したのであります。横手先生!有難うございました!