Dr. Jason's blog

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経験不足?「未来」のビジネスのために必要なものは?

2005-03-14 | Business
 ライブドア/ニッポン放送/フジテレビに関わる報道で,自宅で購読している 産経新聞 フジサンケイ ビジネスアイ(日本工業新聞刊) の,バランスを欠いた報道は,ちょっと目を覆うばかりである.

 3/11のサンケイビジネスアイのある作家のコラムなどは,「片側にえこひいきしていると見られるから心外...」などといいながら,ライブドアの堀江氏に関して「...社会に出てやな上司にいびられたと,世の中が自分の思い通りにはゆかなくて忍耐をしいられるといった,修羅場を経ていない経験不足」と書いていた.この作家は,彼が今回のニッポン放送の件の前に,プロ野球への参入を楽天の三木谷氏と争って「思い通りにはゆかなかった」事実を忘れているのかな?いずれにしても,このタイミングで,こんなコラムを出してしまうとは,ちょっとセンスないと思う.

 確かに,堀江氏は学生時代に自分の会社を作ったので,日本的な企業での「サラリーマンの経験」はないだろう.私の周りにも,若くして創業社長となって「サラリーマンの経験」が少ないことが,人事や組織運営などの判断の面で,経営者としての弱点になっていると感じられる社長さんもいる.
 今回の件も「ニッポン放送の従業員の気持ち」については,あまり考えられていないかもしれない.しかし,M&Aに限らず,企業の事業拡大のための大きな投資の判断には「従業員の気持ち」以外にも考慮すべき項目が沢山あるはずだ.将来,人事や組織面については,その道の専門家を役員クラスとして雇い入れるということもできよう.
 企業のM&Aに関する経営者としての「経験」という意味では,堀江氏は,実績からみて,フジテレビやニッポン放送の幹部のだれよるも多くの経験をもっているはずだ.産経やビジネスアイでは,その「経験」の差をどう評価するのだろうか?
 また,普通のビジネスでも,科学技術でも,ITでも,新しいことをやる場合には,「経験」あまり訳に立たないことがある.過去の「経験」に頼りすぎると,「新しい状況」では正しい判断ができないこともある.往々にして,過去の成功「経験」に頼りすぎると,未来には対応できない.

 日本では「経験」に多くの価値をおきすぎるのではないだろうか?それに「新しいことに挑戦する若者(経験不足と見えるもの)を,もり立ててやろう」という風土が少ないように思う.どうしても,「生意気な若造」は「出る杭」として,まわりから打たれることが多い.
 もちろん「人間相手」の問題については,「歴史」に学ぶことは非常に重要だ.堀江氏は経営やビジネス全般に関して歴史も含めて相当勉強していると思う.ただ「運がいい」だけでは,ライブドアはここまで急激に大きくはならない.

 この件に関しては,自宅へ届けられる新聞の報道があまりに偏っているので,昨日(3/12)は,オフィスに出る途中で, 日経 の朝刊 を買った.日経の報道は,非常にニュートラルに感じられた.
 一昔前は,日本工業新聞は日経産業新聞にない情報がある重要なメディアだと考えていた.しかし,今回の一連の報道で,フジサンケ イビジネスアイの購読をやめて日経に変えることを検討することにした.
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1 コメント

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日本が求めた米国型キャピタリズムの限界 (けいすけ)
2005-03-17 11:41:50
この騒動は、アメリカ在住の日本人ビジネスマンの間でもホットな話題になっているようです。NYNYにいる僕の知人は亀淵社長を評して「オールナイトニッポンの元パーソナリティーだけあって分かりやすい口調だけど、話の運びに無理がある」「乗せられた団塊世代の本心はどこにあるのか興味深い」と辛口だった。米国型キャピタリズムに浸っているあちらからみた状況としては、日経2/25日付けの記事が一番共感を覚えたとのこと。
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