毎年、四旬節(レント)の三月第1金曜日に、世界各地でキリスト教の超教派の女性たちで世界祈祷日が守られます。
札幌では日本キリスト教団札幌北光教会に市内34教会の336名が集い、南アメリカにあるガイアナ協同共和国のクリスチャンが作成した式文に従って礼拝を守りました。異なった民族・文化・伝統を知り、国際的な交わり、互いの理解を深め合い、祈りと行動を続けるのがこの運動の目的です。
ガイアナとは先住民の言葉で「豊かな水のある土地」と言う意味。多くの大河、美しい湖、広大な湿地帯と沢山の滝があります。しかし、この美しい土地に16世紀末からイギリスやオランダ、フランスなどが砂糖きび農園などの植民地を開き、アフリカから連れてきた人々を奴隷として働かせました。1834年に奴隷制度は廃止されましたが今度は労働力の不足を補うため新たにポルトガルやインド・中国などから25万人もの契約労働者がやってきました。こうしてこの国の民族構成はバラエティに富んだものとなりましたが、それだけに、社会基盤がなかなか整備されず、成長や発展を阻む非人間的な社会組織に女性たちは勇気ある挑戦をしてきました。HIV/エイズで亡くなる人(子供も)も多いという現実に声を呑みます。
ガイアナ世界祈祷日委員会は旧約聖書のヨブ記から、私たちに「知恵の理解」を深めるよう準備してくださいました。また世界祈祷日国際委員会のアイリーン・キングさんは次のようなメッセージを寄せています。
「正しい人が苦しむということはありうるでしょうか。~神はヨブの嘆きを肯定され激しい怒りを注ぎだすことをも赦されます。神が示されるのは、答えのない葛藤から抜け出る道、新たな方向です。ヨブは答えを見出せませんが、神との新たな深い関係を取り戻し、神の神聖さを強く意識します。「あなたのことを、耳にしてはおりました。しかし今、この目であなたを仰ぎ見ます。」(ヨブ記42:5)
このようにして、知恵は私たちが学習するものではなく、むしろ経験や疑問や、もがきを通して、神との関わりの中で育つものだと、ヨブ記は語ります。どんな困難に出会おうとも神は近くにいてくださり、私たちとともに道を歩んでくださいます。
「主を畏れ敬うこと、それが知恵、悪を遠ざけること、それが分別」(ヨブ記28:28)
*引用と参考資料は2008年度世界祈祷日式文「天上の知恵-新たな理解」より