無線脳の視点

無線関係のモノ・ヒトに毒された日常を地味に書いてみる。

ハンディ機のSMAコネクタ

2015年08月27日 | 無線機器
業務用無線機器なんかをいじっていると、無線機器の設計思想についてを考えさせられることがある。
バッテリーパックの構造、ソフトケースの形状や材質、ボタンやツマミの配列等々、各社・各機器で機能性能に大きな差は無くても、いわゆる「使い勝手」という部分で好みが分かれることがある。


写真は、ケンウッド製の業務用デジタル無線機器のアンテナ部分である。
最近のハンディタイプの無線機器のアンテナ端子は、コスト削減なのかサイズ重視なのか、旧来多用されていたBNC型コネクタからSMA型に代わりつつある。このケンウッドの無線機の場合、本体側はSMAのP型、接点のピンは相手に挿す側のタイプであるが、アマチュア無線家的目線からすると、一般に普及しているアンテナとは差し込みの極性が逆であるため、少々使いにくい。(社外品のアンテナも売ってない)
そのため、SMA-P型をSMA-J型に変換、簡単に言えばオス・メスを変換するアダプタというものが存在するので試しに買ってみた。
第一電波工業の「SMAJ-SMAJ」という品物、変換したいコネクタずばりそのものが名前になっている。


これにアイコムのアンテナを取り付けてみると、若干の太さの差はあれど、まぁ見た目もすっきり。これで社外品の高利得型のアンテナなどが使えるようになる。

ここで、前出の「設計思想」というところでケンウッド製の機器を擁護しておこう。
業務用無線機器は、ハードな環境で使われることを前提としていて、防水や防塵は当然、落としても物理的に割れたり電気的に壊れたりしない構造であることが通信の信頼性にもつながる…という考え方である。(※諸説あります)
この考え方からすると、少々ハードに使っても、なるべく本体側は壊れないように…というのがベターだ。とすると、なるべく突起物は無い方が良く、もし壊れても修復するコストは最小限でとなれば、本体よりもアンテナのほうが先に壊れてくれればアンテナの交換で済むという訳だ。


このアイコム製のアマチュア無線機の場合、アンテナに強い力が掛かったとき、昔主流だったBNC型ならそこそこ強かったが、SMA型だと本体側は物理的に弱く、場合によってはコネクタの根元から折れてしまう。しかし、同じSMA型でも、SMAの逆が無線機側になっていると、アンテナが折れてもアンテナだけが壊れてくれる。この考え方と構造は、世界中で軍用にも多く使われるモトローラ製の無線機なんかにも当てはまる。
言葉だけでの説明では想像が付きにくいかも知れないが、被害は最小限で、いざというとき命だけは取られまいとするトカゲのしっぽ的な感じ…とでも言っておこう。

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2015/9/1 追記



この変換コネクタは、その気になればモトローラ製のヴァイザー(Motorola VISAR)なんかにも流用可能。
チャンネル設定ボタンや液晶表示の無い単チャンネル仕様のVISARは、日本限定仕向なので海外では入手不可なレアものかも。
コメント (1)
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