無線脳の視点

無線関係のモノ・ヒトに毒された日常を地味に書いてみる。

JARLの会費は「年齢×100円」ぐらいがちょうど良い

2016年05月16日 | 無線系全般
JARLとは、無線をやってる人は既知のことだろうが、日本アマチュア無線連盟の略称である。
最近、JARLが作成した資料「H27年度事業報告」で、会員数や会員を構成する年齢層が公表された。
当然ながら各方面でいろんな論議が持ち上がっていて、当ブログもご多分に漏れず記事として取り上げさせていただく。
資料によると、2016年3月7日現在のJARL会員数は「正員」が56,535名、「社団会員」が1,541名、「家族会員」が1,653名、「准員」が6,589名の合計66,318名となっている。

(グラフは hamlife より引用)

グラフを見ての通り、なぜアマチュア無線をやっている人に、団塊世代とか高齢者がピークとなり著しく偏りが生じているのか。
そもそもの世代人数が多いというのもそうだけど、今のようにネットだの携帯電話の無い若かりし頃、個人同士が使えた通信手段の一つでもあった訳で、当時アマチュア無線を楽しんでいた世代の人達が、そのまま持ち上がった感じだろう。

東日本大震災以降、過去にやっていたという人の復活も含め、アマチュア無線をやる人口は多少増加しているとは言うものの、近頃では、アマチュア無線の免許も持っているのにもかかわらず、免許(資格)の要らない無線機を使ってアマチュア無線のようなことをやっている人(通称:フリラー)も増えており、真面目にアマチュア無線をやる気が起きてないという若年層は少なくない。では、なぜライセンスを取っておきながら、アマチュア無線をやらず、また、JARLに入る人も増えないのか。
ま、ひと言で言わせてもらえば、
「会員個人の費用対効果で考えて、メリットが見えない」とか「単に魅力を感じない」からである。

仕事上で総務省の電波行政に少しでも関わったことがある人ならば、JARLというのは無線業界の中では電波利用のための研究開発や周波数や電波型式の割り当てなどの国際調整を担い、それなりに実力と存在感があるれっきとした圧力団体の一つであるのだが、いちユーザー側の普通のアマチュア無線家からすると、自分が好きなように電波飛ばして使えりゃそれでいい訳で、JARLの裏方さんが何をやっていようが知ったこっちゃないというのが実情だろう。

そもそもの話、年間7,200円という会費は、学生や若者の立場からすると決してお安いものではない。
学生にとって、月額で600円という金額はメシを切り詰めたり1時間分のバイト代を考えればどうにかなるとしても、年に一度にドカンと7,200円ってのはデカイのだ。
そこで陥るスパイラルは、概ねこんな感じだろう。

年会費を一度に払うには高けーよ、そもそもメリットわかんないし
   ↓
QSOしてもカード送れないしもらえない
   ↓
じゃあノーQSLカードでよろしく
   ↓
(相手局に)何でJARL入ってないんだよボケ、QSOしたんだからカードぐらい寄越せやコラ
   ↓
うっせーよ若者はカネねーんだよほっとけじじい
   ↓
めんどくせーアマチュア無線やんのやーめた
   ↓
デジ簡や特小のほうが世代も若いし文句も言われないから楽しいわ


昔も今も、JARLは財政が厳しい厳しいと言っている中で、会員を増やすためには、加入する魅力を明確に打ち出して、広く薄く会費を集める方法を取ってみてはどうか。
私は、JARL年会費は「中学生以下と80歳以上は一律1,000円」として、あとの人達は「年齢×100円」を目安にしたらどうか、ということを提言させていただく。まずは若者を入りやすくし、JARL会員の構成年齢の裾野を広げることが重要だと思う。


AOR AR-DV1雑感

2016年05月12日 | 無線機器
いま、アナログが見直されている・・・という話はかつての音楽の「レコード」ぐらいのお話で、無線通信の世界は何かと効率が良いとか秘匿性が上がるとか多機能だということでどんどんデジタル通信化が進んでいる。
アマチュア無線の世界も同様に、趣味で無線をやってる人間は、団塊の世代が大勢いて、その他は、いいとこ団塊ジュニア世代ぐらいの人達がちょっと多いぐらい。今の若者(笑)はケータイだのスマホだのでコト足りてるという。

無線の世界に脚を突っ込むにしてみても、遠方のラジオを聴こうとすれば、ネット経由で「ラジコ(Radiko)」が使えて苦労いらずだし、どっかに遊びに行ったときに連絡用に・・・と思えば、資格の要らないデジタル簡易無線やら特定小電力無線機などがあるから、敢えて道のりが遠いアマチュア無線を選ばずともお手軽な通信手段はたくさんある訳で、無線や通信に興味を持っても機械いじりが楽しいとかいう方向に進むような話にはなりにくい。

そうは言ってても、アナログ頭のオジサンとしては、出来るだけ新しいモノへの興味は持ち続けたいぞということで、入手したのが受信機メーカーでおなじみのエーオーアール製のデジタル通信対応受信機「AR-DV1」なのである。
写真を上げてもしょうが無いので手間は省かせてもらうけど、第一電波のD-130AMディスコーンを繋いでざっと受信してみた感じは以下の通り。

・そこらで使われているデジタル簡易無線の登録局や免許局への割り当て電波が普通に受信出来ちゃう
だけど受信した音は少々甲高めで、少々音圧が足りない感じ≒薄っぺらいかな?という感じ

(秘話通信受信中にメインダイヤルボタン押してDCR秘話コード入力状態にし、MODEボタン長押しすると5桁の謎の数字を表示をしてくれる裏機能が)
・周辺の環境ノイズには弱い感じで、車載で使った場合はスケルチ深めにしないとガサガサ言う
(SDRだからしょうがないかも)
・デジタルモードを指定選択してスキャンさせるとアナログFM時よりもスキャンが遅い
(モードをAUTOにしてアナログスキャンにしておけば、信号が入ってスキャンが止まった時点からデジタルを判断する)
・デジタル化された166/168MHz帯の放送連絡波が受信出来るかもしれない
(NXDN判定して音を出そうとはしてるけど、秘話がケロケロかかってて聞こえなくないか?(注:聞こえる通信もある)DCRのコード(裏)入力状態で何か考え込む動作はする=ファームウェアに期待)
・当然ながら、デジタル消防無線なんぞは受信出来るわけもなく
(勘違いというか思い込みで買っちゃう人いそう(笑)。M-CELPコーデックのチップ載ってないから聞こえませんよー)
・実は機能性能はファームウェア次第だったりする
(ひょとすると、どんでん返しで大バケする可能性もある。特に、TDMA方式の東京消防庁公共無線なんかはソフトウェア次第)
・AMラジオや短波帯を受信させると、意外や意外、実は感度は悪くなくて思いのほか良く聞こえる
(使うアンテナ次第だけど、普通のアナログ受信機のように使えてデジタル的なケロケロする感じは全くない)
・モードをまたいだスキャンをさせるとスケルチの設定がネック
(デジタル簡易と航空無線を混在させてスキャンさせると分かる。スレッショルドレベルが違うというかノイズスケルチとレベルスケルチの差というか何というか)
・D-STARや八重洲のC4FMなんかは全く違和感なく音を出してくれる
(だけど、上記の通り音圧は足りない)
・SDカードに呪文のような文字列を書いたカラのファイルを入れておくと何かが起きるとか起きないとか
(SDRはこういうのが楽しい)
・デジタル簡易無線の512通りのグループ設定は出来ない
(同じ周波数で出現する局数が多い中で、選択受信が出来ないのは少々つらいかな)

ファームウェアは結構頻繁に更新されているので、アップされ次第対応しておくことをオススメしておく。



参考まで、消費電流を計測したのでメモ。
但し電源電圧は13.5V、菊水実験用電源の電流計の直読。

 電源オフから電源ボタンを押して起動させ、AR-DV1オープニング画面の表示中 = 約500mA
 スケルチが効いた受信状態かつ無入感時 = 約750mA
 FMモードでスケルチオープン、音量最大 = 約900mA

例えば出先で、一般的なシールドバッテリーの12V7.2Ahあたりを使って受信活動をしたら、6時間は遊んでいられるということだな。