クロスバイクで元気

念願叶った定年退職の身は、先立つ物は細く時間は太くの狭間。
歩いて、自転車に乗って感じたことを、気ままに書き続けます。

「素描展」の作品から発する静かな気は、見る者の心を落ち着かせてくれます

2016年03月10日 13時43分57秒 | 美術展
今年も「素描展」を見てきました。
例年通り精魂込めた力作の数々から発する静かな気は、見る者の心を落ち着かせてくれます。

河野楓さんの「North Pole」。
年老いた女性の左手が大きく描かれ、指先に持つのはアザミの花でしょうか。
3つに分かれた枝と、枝先につく花弁が今を暗示しているのでしょうか。
女性の左手には指輪が4つ、人差指と小指に1つずつ、そして中指には2つがはめられ、今ある女性のこれまでの時を累積しているかのようです。

杉浦なるみさんの「Begonia」。
夥しい数の花弁が、びっしりと画面に描かれています。
優しく光を取り込み、花弁の柔らかさがゆっくりと波打つかのようです。
永遠の生命力が、静かに潜行し広がって見えます。

長嶺知代実さんの「Chay」。
鼻から上が描かれた兎の正面からの顔。
右目はつむってウィンクしてる様が、兎の躍動感を凝縮しています。
大きく広がって見える左右の耳に流れる何本かの血管が、小動物の肌合いを見る者の手に移してくれます。

井村和寛さん「或る鳥についての考察」。
鷹でしょうか、鷲でしょうか、まだ幼い風貌に、鋭い威力の眼差しが光ります。
振り向く先に見つけたのは、何でしょうか。
両足の指先に込められた力と、この鳥の羽毛から発する光が、緊張感を際立たせています。

「素描展」は、愛知芸術文化センター地下2階のアートスペースXで13日(日)まで開催中です。

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