神宮の森
一歩足を踏み入れた瞬間、
しっとりぴったり肌にくっつくような空気と
湿った木の幹と緑の匂いがまわりを取り囲む。
両脇の巨樹にほとんどの光が遮られ
僅かな光が空の真上から薄緑色の木の葉を通して射し込んでいる。
踏みしめる小石の音だけが耳に響く。
そこはまるで、時間が止まっているか、
おそろしくゆっくり流れているかのどちらかという趣で、
おそらく長い長い間、この空間において
同じ空気と匂いが漂っていたに違いなく、
ふとタイムスリップでもしたかのような感覚に陥ってしまう。
変わらずに、いつもいつもそこにあった巨樹たちの
揺るぎない力と優しさは、どっしりとして、ほんのりあたたかい。
言葉や音などいらない。
そこに存在する静寂に感謝する。
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