ひょんなことからふたりを思い出し、
本棚からこの二冊を取り出して、パラパラとページをめくっていると
今まで知らなかった事実が判明。
ふたりとも1929年生まれだった。
アンネフランクの隠れ家生活を綴った「アンネの日記」はあまりにも有名だけど、
ヘプバーンもまた異父兄弟が強制収容所に入れられたり、
戦争中には飢えをしのぐためにチューリップの球根を食べたりした経験があることは
あまり知られていないかもしれない。
彼女がユニセフの活動に熱心だったこともその経験があったからこそ、でしょう。
向田邦子さんが書いた東京大空襲のときのエッセイにしてもそうだけれど、
人は自分の力ではもうどうすることもできない試練を目の前に突き出されても
できるだけ普通に近い日常を過ごそうとするものなのかもしれない。
どんなことがあっても朝が来て、夜が来て一日が終わり、また朝が来る。
無意識に精神のバランスをとろうとする人間の底力なのだろうか。
アンネフランクの日記もそんな人間の底力を感じる。
絶望の反対はユーモアだと誰かが言ったらしい。
本当の辛さ、悲しみを知るものが心の底から笑える、と誰かが言ったらしい。
思いやりも優しさもそういうところから生まれてくるのかもしれない。