昔コンビーフの缶を開けたように、
鍵状になっている金具でクルクルと
巻きながら缶を開けると
なめらかに光る栗ようかんが現れた。
まずカーブのある端っこは写真向きじゃないから
すぐさまパクリ。
うんまーい!!!
ふんわり口の中に広がる栗の香り。
上品な甘さ。
端っこ好きな向田邦子さんは
自分の性分をこう分析していたらしい。
「何だか貧乏たらしくて、
しんみりして、うしろめたくていい。
苦労の足りない私は
そんなところでせいぜい人生の味を噛み締めている」
向田さんはソーセージのしっぽとか、
パンの耳とか、海苔巻きの端っことか、
カステラの焦げ茶色になって紙にくっついてる部分が
好きだったとか。
ほんと、向田さんはうまいこと言うよなあ。
とはいうものの、小布施の栗ようかんの端っこは
端っこと言えども貧乏たらしい感じではなく、
むしろリッチ(笑)
もちろんわたしは栗ようかんの端っこだけじゃなくて
すぐに「本体」も食べ(笑)、
鎌倉の空の色を思い浮かべながら、
人生の幸せの味を噛み締めた。