シュテファン・ルキアン
ルーマニアの画家である。自画像らしいが、半女性に対し、半男性というものを描いたとすればこういうものであるという作品だ。
男だが、どこか女性っぽい。
男らしさの仮面の中に隠した、きわどい嫉妬が出てくると、男はこういう顔になる。
嫉妬に狂った女のように、悪いことをして人を馬鹿にし、それを影で塗り隠して平気な顔ができる。
表向きは立派な紳士の仮面と態度で完璧に良い男を演じながら、内部では恐ろしい憎しみがナイフのように燃えている。
その憎しみはこういっているのだ。世界中のなにもかもを馬鹿にしてやる。
自分が、他の男より劣っているのが、あまりにつらいのだ。
男の嫉妬というものは、神の教える自己存在の真実に真っ向から反旗を翻すものだ。何もならない。どんな知恵と情熱を費やしてやりつくしても、残るのは恐ろしい疲労と無駄とあふれかえる借金だけなのである。