野の隅の
小さな薔薇のような君よ
君ははかない藪の陰で
誇らしげに咲いているのだ
小さな五弁の花弁は
濃い紅色をしていて
目に染みるようだ
香りはかすかだけれど
甘くて
そばにいるだけで涙が出そうになる
君に出会えて幸せだ
君を見ているだけで
幸せだ
なんて君はかわいいのだろう
ぼくはただの通りすがりの風で
君の夫にはなれないことが
とても悔しい
深く愛したいのに
愛することはできないのだ
なぜなら君には
一番好きな夫がいるから
その人に愛されるのが
気味には一番幸せだから
君に愛されている夫ほど
幸せなものはいない
なんて君はかわいいんだろう
もうぼくは
これっきり君に会えないけれど
神さまの胸にある風の故郷で
またいいことをしていくのだ
そうすれば愛が流れて
誰かが君を幸せにしてくれる
野の隅の小さな薔薇よ
濃い紅の光の
小さな花よ
心から愛しているよ