2009年 2月21日(土)
『少年メリケンサック』を観て来ました
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宮藤官九郎氏の才能は凄まじかったです。
随所に散りばめられた‘笑いのエッセンス’に笑わせられました。
「ライダース」に「白いプレベ」と「拡声器」と‘PUNKS三種の神器’もしっかりと揃えてあったり、白のレスポールカスタムなど音楽好きを唸らせるアイテムがたくさん出てきます
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。本当に楽しい映画です。沢山の笑顔とチョットだけ勇気をもらえる、そんな映画でした。
宮崎あおいサンの演技力も凄かったです。あの「篤姫」(2008年NHK大河ドラマ)と同時進行で撮影していたとは驚きです。篤姫を演じたときは‘凛とした美しさ’が画面いっぱいに溢れ出ていましたが、篤姫と対極に位置するであろう今回のゆる~い感じのキャラまで演じた演技力、女優力には脱帽です。可愛い笑顔にヤラれたオッサンはずっと緩みっぱなしでした。癒されました(笑)
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そして、芸術性の高い作品で重厚な演技を披露し続けている佐藤浩市氏が今まで演じたことが無いであろう‘破天荒なパンクおやじ’の演技も素晴らしかったです。所々に入れる小技を効かした細かい演技が、役の‘だらしなさ’をさり気なく演出していました。普通に見ていては見落としてしまいそうな細かい演技を入れられる俳優の演技力は素晴らしい。今までボクが抱いていた佐藤氏のイメージとはかなり違った役でしたが、広い背中で着こなしたライダース姿はカッコ良かったです
面白く笑える場面も沢山あったけど、真面目な風貌の若い新人バンドに罵られた後に少年メリケンサックのメンバー達が我慢できずに、その新人バンドの演奏中に暴れまくってお客もろともブッ飛ばす
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シーンが特に印象に残りました。
「ステージ上がるのにメガネ掛けてんじゃねぇ!」
「お前らはPUNKじゃねぇんだよ!」といったセリフをメリケンサックのメンバー達に言わせたのは、ROCKやPUNKが大好きな官九郎氏が今の日本の音楽シーンに言いたかったことなのかも知れない。
今の日本の音楽シーン、特にROCKやPUNKは、悲しいことだが腐りきっている。
本質が失われかけている。
売上げや金銭面などの汚い事情で、ライヴハウスから叩き上げられてきたクセの強い個性的なBANDや実力あるアーティスト達が行き場を失われている。代わりに出てきた商業主義が溢れる若い新人は、見るも無残なミュージシャンばかりだ。
「Rock'n'Roller」、「PUNKS」とは呼べない人種がRockを誇らしげに語っている。
一見なんら普通の大学生のお兄ちゃんと同じ様な普段着で涼しい顔をしてギターを弾いている姿にはヘドが出る。短髪にメガネにブランド物のこ洒落れたTシャツで平気にステージへ上がる。「普通」の感覚、「普段」の感覚でRockを演じる・・・その神経が理解できないナ。
それは違うだろう!
それはROCKじゃないだろう!
だから薄っぺらなRockしか聴こえてこないんだ!
だからRockの、あの独特な魅力が溢れる「危険な香り」がしないんだ!
人を死ぬほど愛したことがないヤツがLoveSongを歌う。
‘自由’の意味を知らないヤツが自由を求める歌を叫ぶ。
‘勇気’の無いヤツが勇気を出そうよと歌う。
‘悲しみ’の知らないヤツが上っ面の悲しい歌を作って人の涙を誘う。
今や「愛」、「自由」と「勇気」、「悲しみ」「涙」のバーゲンセールだ。
そこには思想も哲学も無い。ありふれた日本語と英語が並ぶ単純な歌詞。
メジャーシーンで安く『言葉』が使われしまうから聞き手も意味を知らずにただ聞くだけになりがち。音楽が、曲が使い捨てにされている。歌っている本人がクオリティの低い歌を口ずさんでいるから仕方が無い。
「音楽は瞬間芸術作品である。」と以前ある音響技師が講演で話していた。その技師は数々の有名なホールの音響設計に携わった方である。技師は「音楽は絵画や彫刻とは違い形で残らない。当たり前の事だが目では感じることができない。耳でしか感じられない。音が耳に入ったその一瞬で、その一音の全てが決まってしまうから、その一音がキチンと聞き手に届くように全てをかける。」と話されていたのが強く印象に残っている。
その一音に、その一文字に、魂を込めているミュージシャンは今のこの時代に何人いる?・・・
話は反れて駄文ばかり並んでしまったけど、色々と思っていたコトが自分一人ではないことを、映画のひとコマを見て感じ取れたので少しだけ嬉しかった。
この映画を観たら久しぶりに革ジャンが着たくなった。
クローゼットの奥に眠るライダースを纏って出掛けよう。
「革ジャンはRock'n'Rollerの皮膚なんだ!」
(追記)
18日にニューアルバムが発売された。映画を観る前にCDショップで彼のCDを手に取った。久しぶりに手にした彼の新作は、隣に並んでいる他のアーティストのCDよりも熱くて重い気がした。今でも第一線で活躍する魅力溢れるRock'n'Rollerの一人。本物の
Rock Starの彼は、ポップアートとしてのロックンロールを極めたギタリストであり、ボクの中での永遠のギターヒーローだ!
グラム・ロック最高!!