「民、信無くんば立たず」と安倍さんは何度も言う

私が参加している勉強会の「石黒政経塾」で講師の石黒直文さんが、安倍首相が国の財政事情を考えて消費税のアップを言ったときに、論語にある孔子の「民信無くんば立たず」を引用して自らの政策を強調したが、方針どおりの展開をしていない、ことを指摘された。

安倍首相はしばしばこの言葉を引用する。論語が好きなのだそうだ。私もこの一節は知っていた。あらためて論語を読んだ。

こういうことだ。弟子の子貢が孔子に質問。
「政(まつりごと)の根本を教えてください」と。
これについて孔子は次のように答えた。
3点ある。まず民の暮らしを保障すること(「食を満足させる」)、第二は国防だ。そして第三は人民との信頼関係を築くことだ(民に信義が行われるように、という解釈もあるとのこと。こう理解すれば道徳教育を行うことの意味になる)。

子貢が更に問う。この3点についてどうしてもどれかを欠くことが必要としたときに、欠く順番はどうなりますか、と。
孔子は、まず兵をなくすること(軍備をなくする)、次いで「食」を捨てよう、人間はいずれ死ぬのだ。そして最も大切なことは信義、信頼関係がなかったら政治は絶対に成り立たないのだ、と答えた。

「民信なくんば立たずと」というのが孔子の強調したことだった。

安倍首相が好んで使うこの言葉は、自分の政治への基本姿勢として宣言しているのだろう。つまり「私は國民との信頼関係を最も大切にしているのです」と。しかし、これは本当か。いろいろな政治方針、政治手法、國民への説明(議会やよくやる記者会見など)、どれをとっても「信頼されるに値する」ことかどうか、疑問になるがどうだろうか。
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