「坂の上の雲」

ご存じNHKの準大河ドラマ。原作は司馬遼太郎さん。これまでマジメに見てきたわけでもないので詳しいコメントを書くということにはならないのだが…。
明治期の知識人軍人たちの友情とか明治期という近代日本の勃興期に精一杯生きた人間像とか、ということも分からないでもないのだが、今回の日露戦争前半を見た限りでは、ちょっとした「あれ変だな」という感じが生まれることを禁じ得なかった。これは日露の対外拡張政策の衝突から起こった戦争の描き方が「明治国家の発展にとってやむを得ない日露戦争」であり、この戦争の結果(これは次回・一年後の話のようだが)大国ロシアを叩いた日本の前進を拍手をもって描き出していくのではないだろうか、これへの違和感から来るものだった。

私たちの幼少期、軍神ともいうべき東郷平八郎、まだ登場していないが、やはりその後神になった乃木将軍、などの懐かしい人物像がまさにヒーローとして活躍していく。ドラマの主人公は必ずしもこれらの人物ではないが。

今日は広瀬中佐の死がスジの基調だった。すごい戦争シーン。この中で杉野兵長が行方不明になる。「杉野はいずこ、杉野はいずこ」と叫ぶ広瀬の行動は、60数年前軍国少年だった私の脳裏にかすかに残る「広瀬中佐」の歌が浮かび上がってくる。

とどろく砲音(つつおと) 飛び来る弾丸
荒波洗うデッキの上に
闇を貫く 中佐の叫び
「杉野はいずこ 杉野はいずや」

今はとボートにうつれる中佐
飛び来る弾丸(たま)に たちまち失せて
旅順港外恨みぞ深き
軍神広瀬と その名残れど

こういうノスタルジーは自分的にはあり得るだろうが、天下のNHKが巨費をとおしてつくる意味はいずこにありや?

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