大阪府教育基本条例案(知事が決める教育目標)1

今日の朝日新聞朝刊の「教育」ページに大阪府教育基本条例案に関する記事が特集されている。これは3回の連載という。この第1回目。驚きの内容だ。まさに正気の沙汰ではない。知事を辞職して大阪市の市長に鞍替えする橋下氏の提案という。

同紙がまとめていることを記すと、
【6条】知事は、府教委との協議を経て、府立高校が実現すべき目標を設定する。
【7条】府教委は、(これを実現するために)具体的な…指針を校長に提示する。
【8条】校長は(府教委の指針に従い)学校の具体的・定量的な目標を設定したうえ、…学校運営を行う。
【9条】教員は組織の一員という自覚を持ち、教育委員会の決定、校長の職務命令に従うとともに、校長の運営指針にも服さなければならない。

朝日新聞は、これが決まったら、として次のようなシミュレーションを掲げる。

この教育目標は、「グローバル社会を勝ち抜く世界標準で競争力の高い人材を育てる」ことだ。これを具体化した府教委は指針として「難関大への進学者数増」「英語力の向上」「ディベート力の強化」の3つを決めた。

いわゆる下位の高校の校長は悩んだ末、次のような目標を発表した。
「生徒の自尊心を高め、中退率を下げる」。文句をいう先生たちはいなかった。教員は校長の職務命令に従うと条例で決められているからである。
そして同紙は「本当にこれでいいのだろうか…」と結ぶ。

教育の中立性の原則などどこに行った? 
子どもたちと共に喜び悩む教師たちの姿など、知事の頭にはコレッぽっちもないだろう。
こんなことで大阪の教育がよくなると思っているのだろうか。「よくなる」とは何だ? ただ教師たちは上の者に従うことだ、と強制するファシズムの一面がいきいきと描かれているというのは間違いか。

今、たまたま読んでいる竹内一正という人の「スティーブ・ジョブズ 危機を突破する力」の中で、こういう説明があった。
アップルを大きく成長させたジョブズは、信念をぶつけ、相手も信念で戦いを挑んでくることを期待する。「黙って上司の言うことを聞き、いやな仕事も我慢すれば、そのうちいいときもくる」などと毛ほども考えない。「自分の意見を出さないエンジニアは無能」とされた、という。

学校とビジネスとは違うかも知れない。しかし上意下達を徹底することが「いい教育をつくる」ことになるなど、ジョブズでなくても笑うべきことだし、こんなことをいうトップがいることは悲劇なのではないだろうか。
選挙結果はどう出るか。

 

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