苫野一徳氏「教育の力」を読む

若い教育学者である苫野一徳という人が書いた「教育の力」(講談社現代新書)を、私としてはかなり丁寧に読んだ。メモを取りながら読んだ書物はここ数年なかったかも知れない。

教育を構想するポイントとして同氏は2つあげる。一つは、学びのあり方を、今のような画一的・一斉型のものから、学びの「個別化」「協同化」「プロジェクト化」の融合型へと転換していくこと。もう一つは、閉鎖的になりがちな学校をさまざまな仕方で開き、子どもたちが多種多様な人たちと交われる空間をつくること。

そして公教育は、すべての子ども(人)が「自由」な存在たりうるよう、そのために必要な『力』-これを「教養=力能」とよぶ、を育むことで各人の「自由」を実質的に保障するもの。

この苫野氏の論は、まさにフリースクールがもつ特性、すなわち教育構想の2つのポイントにぴったりである。そしてわたしたちが進めているフリースクールの教育実践の特性もまた氏の公教育の意義に波長が合っている。

私が、フリースクールの実践、あるいはわが学園の教育実践を理論的に整理していきたいと言ってきたのだが、その骨子を組み立てることができそうである。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« PCの交代 「暑い」どこ... »