NHK「邪馬台国を掘る」

日本の古代史や日本史に関心のある人なら大なり小なり「邪馬台国」に興味関心をもっている。今日(23日)NHKスペシャル「邪馬台国を掘る」はこの興味関心に応えるべく制作された番組だった。

奈良県桜井市にある纒向(まきむく)遺跡は大和朝廷の発祥、ひいてはその前段の「邪馬台国」の女王卑弥呼の都と深い関係があるというのが、関係者の意見で、昨年来の発掘調査はこれを証明するものだった。この調査に密着した番組である。

これを見て私はどう考えてもこの遺跡が卑弥呼の居城であったという気はしなかった。
番組はいくつかの例をあげる。例えば、大きな力を持った者の居城(建造物)、全国からの生産物(植物や動物)、銅鐸をたたき壊したこと、そして桃の種約3,000粒。

解説者は、銅鐸が破壊されていたということは「倭国の大乱」後、新しい支配者の卑弥呼が登場した証拠だという。つまり古い権力の象徴である銅鐸をたたき壊し新しい力すなわち「鬼道」による政治力を作り上げた。(銅鐸は容易には壊せない。たたき壊すことが必要とあった)。しかし仮にそうだとしたら、この地域の銅鐸を壊してこれを何に作りかえたのか、を言わない。剣ではない。そういう跡はないからだ。
大量の桃の種は中国の呪術でも使われたという。この地で桃の種を使った呪術がおごそかに執り行われていた。しかし、もしこの纒向遺跡が卑弥呼の居城跡もしくは邪馬台国の中心であるとしたら、そこには大量の武器の跡があるはずだろう。魏志倭人伝には、卑弥呼は兵に守られていたことを明記している。「倭国大乱」後に成立した新しい勢力が桃の種の呪術で30か国を統括できるだろうか。
「宮室・楼観・城柵、厳かに設け、常に人あり、兵を持して守衛す」。武器は矛、盾、木弓とある。また鉄鏃なども文字もある。

番組の最後に、発掘調査の担当者が、文字(例えば「親魏倭王」の金印など)が出てくれば決定的になるのですが…、という意味のことを言っていたが、そういうことにはならないだろう。

私は卑弥呼は大和地方にいたと考えることは難しいと思っている。またそもそも魏志倭人伝には「邪馬臺(台)国」ではなくて、「邪馬壹(壱)国」である。今回の放映でもこの映像ははっきりしていた。(「やまたいこく」でなく「やまいちこく」と読むか?)。
いろいろ立証を我田引水、牽強付会の視点でやっているように思える。「邪馬台国誘致運動」的な発想?失礼かな。しかしほんのちょっとだけの知識しかない人にも納得のいく説明をしてもらいたいものである。  

                                                           

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