「南極越冬隊 タロとジロの真実」

これは、テレビドラマ「南極大陸」で犬係をしている若き学徒である北村泰一さんの著作であり、このドラマの原作である。
南極観測についてのメモである。
昭和31(1956)年11月8日に東京を出航した観測隊は隊員53名、宗谷乗組員77名の他に樺太犬20頭と猫1匹、カナリア2羽がいっしょだった。
そして昭和32年2月に宗谷は南極を離岸し帰国の途についた。そのとき越冬観測に当たったのは11名だった。1年後の昭和33年、第二次越冬隊が到着する。昭和基地から北村さんを第一陣とした越冬隊員たちと、犬6頭と猫1匹カナリア2羽などが宗谷に移った。第二次がすぐに交代することになっていたから、犬たちが逃げないようにとの配慮から鎖につないだままだった。

しかし第二次越冬隊は当時の状況から昭和基地に着任することができなかった。断念された。そして犬たちは基地に残されたまま宗谷は日本へ向かう。15頭の犬たちは基地に残された。

第三次観測隊に北村さんは志願した、犬たちへの思いがあったからだという。昭和34(1959) 年1月14日、宗谷は三度昭和基地に隊員たちを運んだ。この時、基地にたどり着いた北村さんは丸々と太った2頭の黒犬に会う。映画では再会の喜びとして描かれていたが、実はそうではなかった。じっと用心しうなる2頭、しばらくの確かめの時間が必要だった。

どうしてこのタロとジロだけが基地に残っていたのだろうか。首輪から脱出できず死んでいた犬は7頭、行方不明になった犬は6頭だった。それから9年後、雪の状態がよくなってリキと思われる白犬が遺体となって発見されたという。タロ・ジロは当時2歳、リキは7歳だった。この若さがあったから、生きる力を持ち得たのでは、書かれていたい。若い2頭にとって基地が自分たちの「世界」でありここから離れることをあり得なかったのではないかとのことだ。

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