てんぱっていきまっしょい。

国内旅行をこよなく愛する人間の日記です。でも最近は出かけてないよねぇ。(現在コメントは事前承認制にしています。)

准教授・高槻彰良の推察 2話(後編)

2021年09月11日 | 准教授・高槻彰良の推察(ドラマ)

こちらは、准教授・高槻彰良の推察 第2話(後編)になります。

翌日の研究室


姉の琴子が昨日の学食での出来事を、「お騒がせしました。」と詫びている。

高槻:お聞きしたいことがあります。あなたが見た人形は、どのようなものでした?
琴子:どのようなって、藁でできた人形ですけど。
生方:(藁人形を持ってくる。)こういうものですか?
琴子:これです。
高槻:これは昨日の藁人形です。貴女が見たものも、こんな風に針だけが刺さっていたんですか?
琴子:はい。
高槻は、ボードに向かい歩き出し、生方は「そうですかぁ~」と藁人形を持ち上げる。

琴子:よく触れますね。
生方:怖がる必要はないんです。これは呪いの人形じゃなくて、「藁でできた単なる人形」ですから。
琴子:へっ?
高槻が、どうみてもヒトデにしか見えない絵に、杭のようなものを刺した図をボードに書き込んでいる。

高槻:藁人形とは、こういうものです。(ドヤ)
尚哉:先生、絵じゃない方が判りやすいです。
高槻:そぉ?
尚哉:はい。
高槻:あ~、藁人形で人を呪うことを「丑の刻参り」と言います。丑三つ時、つまり午前2時から2時半の間に白装束で頭に三本のろうそくを刺し、神社の御神木に呪う相手に見立てた藁人形を打ち付ける。つまり、かなり厳密に作法が決められたものなんです。その作法の一つに、「使うものは五寸釘である」というものがある。

生方:これです。一寸は約3センチですから、長さ15センチの釘です。
高槻:つまり、針じゃ丑の刻参りにならない。それに藁人形が落ちていたという木の周りをまわりましたが、藁人形が打たれた痕も残っていませんでした。この藁人形を作った人物の目的は、呪いをかけることではなく、驚かしおびえさせることだと思います。
琴子:でも。
高槻:ところで琴子さんは、今年でおいくつですか?
尚哉:(え、それ聴く?)
琴子:今年で24ですけど。

キャンパスのベンチ

尚哉がスクラップ記事のような紙を持って、座っている高槻に駆け寄ってくる。どうやら図書館にあった、姉琴子の選手時代の記事のようだ。

高槻:彩音さんがもらっていたメダルと同じだね。
尚哉:へっ?
どうやら、以前尚哉がスマホで見せた彩音の画像と比べているようだ。精神の宮殿よろしく、頭の中のページをめくっている。琴子の年齢から、その当時の大学新聞の記事を探しているらしい。尚哉は、生方が言っていた「彰良先生は、一度見たものは忘れないの。」という言葉を思い出し

尚哉:先生は、一度みたものは忘れなっいて本当なんですか。
高槻:全部記憶をしていて、録画を再生するみたいに記憶をたどれるんだ。「超記憶症候群」とか「瞬間記憶能力」っていうのかな。
尚哉:生まれつきですか?
高槻:12歳から。
尚哉:へぇ~。
高槻:違う。(ふっっとみつけたらしくだから初めてなんだよ。ちょっと確認したいことができたから、先に行くね。19時頃。この前の佐々倉古書店。
と、尚哉を残してベンチを一人去っていってしまった。

19時、佐々倉古書店と書かれた暖簾をくぐって、尚哉がやってくる。
店主の女性が「あぁ、聞いているわよ。」と、高槻から聞いている様子。

ここで、最後まで書いたブログのデータが飛びました。これぞ怪異!(ゴーナキ)

二階にあがると、強面のサングラスの男が本をバックに入れて万引きをしている様子をみてしまい。尚哉は慌ててしたに降りてきます。花江に「警察を呼んだ方がいい」という尚哉。
降りてきた男が「警察?呼んだか?俺は警視庁の刑事だ。」といい
店主は「それで私の息子。」と言った。
高槻がやってきて、強面の男「健司」が高槻の幼なじみであることを尚哉は知る。

健司が「視聴草」と書かれた古書を、高槻に渡す。
自分の考えていたとおりの状況だったらしく
残念だけど、そう簡単に本物の怪異とは出会えないみたいだ。と人差し指を鼻に充てる高槻。

今日の用事はこれまでで、店主花江のオイシイ手料理をみんなで食べようと高槻が言い出す。
花江が尚哉をお手伝いに指名し、二人は奥のキッチンに向かう。
健司は、高槻に
あいつなのか、ついに見つけたってことか、あいつはどんな経験をした。
と尋ねるが、高槻はそれは本人の口から健司に言うまで、自分からは言えない「いくら健ちゃんでもね。」と答えるだけだ。

翌日、研究室に彩音と琴子の姉妹が来ている

高槻:琴子さんも優秀な選手だったんですね。貴女は初めてここに来た時、大変緊張していて(研究室なんて初めてで緊張してしまって、と言っていた。)高校時代の恩師に話を聞いたところ、琴子さんは大学進学で競技を続けることを希望していたが、家庭の事情でそれを断念し就職した。青和大学にスポーツ奨学金制度ができたのは翌年のことで、あと一年遅ければあなたは大学に進学できていたかもしれない。

琴子:今日は呪いの話なんですよね。
高槻:この視聴草(みききぐさ)という本は、元は江戸時代に書かれていた本で、その中には「奇病」という話がある。薬屋に奉公していた14歳の梅は、身体のあちこちが痛いといい、痛いところをさすってやるとそこには針の先端が飛び出していた。(高槻はボードに歩みだし「怪異」「現象」「解釈」と書き始める。)いくら治療しても効果がないため、梅は実家に帰され、家に戻ると病気は出なかったという。母親はこれを「イタチの仕業かも」と答えたそうだ。怪異というのは、現象と解釈で成り立っている。身体から針が出てくるという現象を、当時の人々は「イタチのせい」と解釈したわけだ。これは江戸時代の解釈で、僕たちは現代人として解釈をしなければならない、梅の身体は、奉公先では治療の効果が見られなかったのに、実家ではそうならなかった。通常はいじめか虐待を考えられるが、でも僕はもうひとつ別の可能性があると考えた。梅が自分で自分の身体を刺していた可能性。家に帰りたかった少女は、自分で自分の身体を刺していたのではないかな。

というものだ。高槻は彩音にどう思うか尋ねる。

彩音:どう思うって。
高槻:梅の気持ち、わかるんじゃないかな。
彩音:わかりません。
尚哉が苦痛に顔を背けている。高槻は、藁人形も針も彩音が自分でやったことではないかというのだ。

琴子:彩音がそんなことする理由がありません。
理由は梅と同じで、逃げ出すためだと言う高槻。

琴子:何から逃げるんですか。念願の大学進学ができて、自分の才能を存分に伸ばせる環境にいるんですよ。
高槻:そう、そのうえ夢を諦めたお姉さんが、必死で自分を支えてくれている。なのにどうも調子が出ない。人は説明のつかない事態を恐れる、だから彩音さんは解釈を無理に作り出した。「自分が呪われているからだ」って。チームメイトが話していましたよ。琴子さんが彩音さんの練習につきっきりで、誰かが彩音さんのシューズに針を入れることは無理だって。だとすれば針を入れられる人間は、二人に絞られる。彩音さんか琴子さん。二回目に藁人形が出てきたとき、そこに琴子さんはいなかった。もうこれ以上、言う必要はないね。チームメイトが「彩音さんが本気を出せていない」と言っていたよ、プレッシャーで集中できなくなっているんじゃないかな。

琴子:そうなの。どうしてそんなに自分を追い込むの。
彩音:お姉ちゃんが、自分を犠牲にしてるから。自分が恵まれているのは分かってます。でも、チームメイトにはもっと恵まれている人もいて、新しいシューズも買えて、そんな人と戦う自信ない。最初にタオルに針が紛れ込んでたとき、そのあと思うように記録が出なくても、お姉ちゃんそのとき「さっきあんなことがあったもんねぇ。」って言ってくれて、すっごく楽だった。
琴子:あたしは、自分が犠牲になってるなんて思ってないよ。

高槻:そうだろうか。あなたは僕が「藁人形は呪いではない」と言ったとき、不満がある様子だった。なぜなのか、私がここまでしてるのに彩音の不調は呪いくらいしか考えられない。そう思っていたから。
あなたもまた、解釈を求めていたんです。

琴子:そう、かもしれません。ごめんね。
彩音:お姉ちゃん。ごめん。
涙ぐみ手を取り合う二人。

彩音:お姉ちゃんにはこれからも応援して欲しいの。
琴子:もちろん、ずっと応援するよ。
尚哉は二人の声の歪みに、この二人ないわーと苦しみ。高槻はそれを見ている。

天神様の境内を歩く高槻と尚哉。

高槻:二人の最後に言った言葉が嘘だったってわけだ。

尚哉が残念そうに、それは嘘だったことを伝えると「それは良かった。」と高槻が言った。どうしてかを尋ねる尚哉。

高槻:二人はこれからもお姉ちゃんに応援して欲しい、ずっと応援するっていったよね。その言葉が歪んだのは、彩音さんはお姉さんの重圧を跳ね返す決意ができたし、琴子さんは妹に干渉しないって決めたってことだと思う。

少なくとも僕はそう解釈する。と、高槻は言った。

高槻:ここは菅原道真をお祀りする天神様だ。天神様では「鷽替えの神事」という行事をやるんだけど、知ってる?
菅原道真が蜂に襲われたとき、この鷽(うそ)という名の鳥が飛んで助けたことが由来していて、この鳥の名前:うそ と嘘本当のウソが、同じ音だから生まれた神事だ。前の年にあった嫌なことは、全部うそだったことにして、新しい年はいい年になることを願うとても前向きな行事だよ。
現象と解釈だ。うそという現象にも、いろいろな解釈が成り立つ。いつも失望する必要なないよ。

高槻はそういって、境内を歩き出すのだった。

ここで、データが合計三回飛びました。

高槻:改めて、僕の助手をしてくれないかな。嘘が判るからじゃないよ。今回みたいなことをして欲しい。
尚哉:俺なにかしました?
高槻:僕は怪異のことになると興奮して、常識が判らなくなってしまうんだ。そんなとき止めてくれたじゃない。あと、ものすごく方向音痴だから、これからは道案内もお願いしたい。
尚哉:俺でいいんですか?
高槻:深町君がいいんだよ。
尚哉:それなら。
良かったと嬉しそうに歩き出す高槻。
この少年みたいに喜ぶ人が、俺を探し当てたのかもしれない。俺の方が引き寄せられたのかもしれない。そう考える尚哉だった。

鳥居にさしかかるころ、カラスが枝から飛び立っていき、驚いた高槻が頭を抱えてしゃがみこんだ。

先生、大丈夫ですか。

尚哉が近寄ると、「鳥が苦手なんだ。」という高槻の両眼は、一瞬だけ色が青く変わっていた。
立ち上がり、そのまま境内から去って去っていく高槻たちを、木陰から男がタブレットで撮影している。

(尚哉の声)

どちらにしても、この人が怪異を探す理由を僕が知るのは、もう少したってからのことだった。

 

第2話はここまで
ワシ、もつだろうか。この1本作るのに11時間かかりました。

いや、データ飛びすぎでしょうがっ!

第2話

黒木(高槻の父の秘書) - 夙川アトム(第4話)

山崎綾音(青和大学陸上部の新入生) - 山田杏奈

山崎琴子(綾音の姉) - 金澤美穂

細木まりな(青和大学陸上部員・1年生) - 喜多乃愛

夏目春(青和大学陸上部員・1年生) - 三浦理奈

相沢香織(青和大学陸上部・マネージャー) - 石川萌香

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准教授・高槻彰良の推察 2話(前編)

2021年09月11日 | 准教授・高槻彰良の推察(ドラマ)

青和大学陸上部
青和大学の陸上部の山崎綾音(青和大学陸上部の新入生) - 山田杏奈が

練習で他の学生と一緒にトラックで練習をしているが、思うようにできていない。
男性コーチ(青和大学陸上部・コーチ)- 森渉から
「彩音、高校時代のお前の成績からしたら、もう少しいける筈だ。スポーツ推薦の意地を見せてくれ。」と言われる。

他の部員や女子マネ

(細木まりな(青和大学陸上部員・1年生) - 喜多乃愛
夏目春(青和大学陸上部員・1年生) - 三浦理奈
相沢香織(青和大学陸上部・マネージャー) - 石川萌香

達からは「「彩音」だって。私たちとは期待値が違うから。」「スポーツ推薦だからね。」と、冷ややかに言われてしまう。

彩音がベンチで休憩をとっており、山崎琴子(綾音の姉) - 金澤美穂 に足のメンテナンスをしてもらっている。仕事はどうしたのかと尋ねると「彩音が心配だから、早退させてもらった。」という。彩音は「ごめん。」と謝っている。
姉は心得があるらしく、彩音は「うん、いい調子」と伝える。
姉がシューズを渡して彩音が履こうとすると、シューズに違和感があるらしく痛がっている。

シューズには「長い針」が入っていた。

他のベンチにいる学生(まりな達)は気づかず、タイムがいいらしいので「絶対選手確定じゃん。」「そうかな。」「ここまで来たらメンタル勝負だよ。」とはしゃいでいる。

それを眺めていた姉は「私がなんとかする。だから(彩音は)集中して。」と告げる。

「わかった。」改めてシューズを履きなおした彩音は、ベンチから離れて練習に戻る。見送ってベンチの手荷物の場所に戻る姉。大木を囲むように設置されているベンチ。手荷物のあるベンチの下に、足に数本の針が刺された藁人形を見つけて、驚くのであった。

尚哉が大学構内の階段を上がり、高槻の部屋へやってくる。
高槻は自身のサイト「隣のハナシ」を見ている。
どうやら最近は、新しい怪異の書き込みがなく退屈しているようだ。
生方(高槻の研究室に所属する大学院生) - 岡田結実は、
「ついこの間「コックリさん」の話で盛り上がっていたじゃないですか。」と、高槻に背を向けたまま作業をしている。

その言い方、母親が子供に「この間新しいおもちゃを買ってあげたでしょ?」と言っているみたいだという高槻。
「先生は子供みたいなもんですから。」という生方。
ノックする音に「新しい怪異の相談かも。」と、立ち上がりドアを見る高槻。
入ってきたのは尚哉(青和大学文学部の新入生) - 神宮寺勇太 だった。
この前のコックリさんの件で、小学生が「もうコックリさんが怖くなくなった。」と礼を述べてきたそうで、それを伝えにやってきたのだ。
高槻のサイトにもお礼の書き込みがあったそうで、

(生方演じる)かわいい巫女さんが、お祓いをしてくれたのでロッカーのコックリさんはもう怖くなくなりました。ありがとうございました★

報告に来ただけだからこれで失礼しますと、尚哉が告げる。高槻は「深町くんは、サークルに入ってるの?」と聞いてきた。
尚哉は「僕はみんなで盛り上がるとかできないんで。」と告げると、どうしてか高槻は尋ねる。

幼い頃の尚哉が母親と一緒にいる。
尚哉:僕、だれかがうそをつくと、声がぐにゃっと曲がるからわかるんだよ。(10歳時:嶺岸煌桜)
母:でたらめ言わないの。
(尚哉の母 )-小林さやか は怒っている。
(どうやら、第1話でも高槻にそれを伝えていたらしい。)

尚哉は、生方をちらっと見る。不思議そうにしている生方に(サークルは)どうしてもです。」という。

高槻:じゃあアルバイトは?
尚哉:それは探さなきゃと思っています。
高槻が、それじゃ自分のサイト「隣のハナシ」で、怪異にまつわる相談が寄せられるので、助手としてバイトをしないか?もちろん報酬は出すよ。と誘う。

生方:助手なら私がいますよ。
高槻:君は(院生なんだから)論文を書かなきゃいけないだろ。
生方(スマホの巫女に扮した画像を出し)貴方、お祓いできる?
高槻:お祓いは瑠衣子君に頼むから、助手は深町君に頼みたいんだ。

尚哉はその動機が、「高槻は自分の能力が採用の理由だろう、それくらいしか価値がない。」と解釈していた。

オープニング

教室に向かう高槻、花壇に目をやっていると、受講している女子学生からは「先生、早くしないと遅れちゃいますよ。」と急かされている。

201号教室 3限 授業連絡表 民俗学Ⅱ 文学科 高槻彰良 (連絡事項)鬼と雷様

雷の現象について、講義を行う高槻。
昔の人の雷に対する解釈は、雲の上に和太鼓を打ち鳴らす鬼:雷様がいて地上に雷を落としている。怪異として解釈していた
という。
人は、説明のできない事態を恐れる。だから現象を解釈しようとする。

と高槻は言うのだった。

講義後、山崎琴子(綾音の姉)が高槻を訪ねて教室にくる。
准教授とはいえ、まだ若い高槻に琴子は驚く、案内した学生たちは離れていった。自分が学生ではないが、相談に乗って欲しい。と琴子が頼むと是非。(捕まえた尚哉)助手も一緒に。と、高槻は快諾するのだった。

准教授である高槻の研究室。独特の口調で、毎回ココアを推しているようだが来客にはいつもコーヒーを選択されているらしい。
お客様には青いカップ。自分のカップがない学生の深町には「大仏柄のカップ」で、コーヒーが出される。(一話をちらっと見たときには、これにより生方から「大仏君」と深町は呼ばれていた。)

琴子:すいません。研究室なんて初めてなんで、緊張しちゃって。誰かが妹を呪っているようなんです。
尚哉は、その声が歪んでいないことに気が付いているようだ。

高槻:なぜそう思ったんですか。
琴子:妹は(陸上部の)山崎彩音なんです。
怪異にしか興味のない高槻が理解できないでいると、尚哉がスマホで画像を見せながら、スポーツ推薦で入学した自分たちの学年では一番の有名学生であることを説明する。

スポーツ推薦で大学に入った妹が、入学して2週間目から記録が伸びなくなったという。
高槻は、姉が「二週間目」とはっきり述べたことから、理由に心当たりがあるのではないかと、琴子に尋ねた。「二週間頃ではなく、二週間目」とはっきり時期が判っていると。

琴子:はっきりそれだとわかっているわけではないのですが、自分が練習を見学していた時、彩音が自分のタオルで汗を拭こうとしたところ、タオルに針が混入しており、それは女子マネージャーがゼッケンをつけるときに誤って混入したもので、マネージャーさんは何度も謝ってくれて、その日はいいタイムがでなかったのですが、私もあんなことがあったからだなと。なのにそれから彩音の記録が全く伸びなくなってしまって。
すると、昨日これ(針)がシューズの中に と、ハンカチに包んだ針を見せた。

尚哉:それ、呪いっていうより、嫌がらせじゃないですか?

琴子:(首をふり)私、藁人形を見つけたんです。
高槻:素晴らしい。
琴子:素晴らしい?
高槻:人を呪う動機は何か?それは古来より「恨みと嫉妬」です。人は許せない相手、そして手に入れられないものを持っている相手を呪ってきた。平安時代、人は役職や住んでいる場所で呼ばれ、本名は隠していました。それはなぜだと思いますか?
琴子:さぁ?
高槻:(琴子の手を取り立ち上がらせ)名前を知られると、呪いに使われる可能性があるからですよ。それほど人は呪いを恐れていたんです。
琴子が引いているのを恐れる尚哉が、やきもきしている。高槻に落ち着くよう促し、高槻は琴子の手を離した。

高槻:ということで、呪いを軽んじてはいけません。
と、琴子に告げるのだった。その藁人形を見せて欲しいと頼むと、琴子は「そんな恐ろしいもの触れません。丁度お掃除の人がいたので、片づけてもらいました。」と言うと、高槻は「もったいない。」と残念がるのであった。妹の彩音もこの部屋に連れてきて欲しいと頼むが、「妹をこれ以上不安にさせてたくない。」というので、彩音へのヒヤリングは助手とされた尚哉が行うことになった。

構内掲示板で、アルバイトの掲示を見ている彩音をみつけた尚哉、さりげなく接しようと意気込んでいるが、怪しまれて上手くいかない。そこへコミュニケーション能力の高そうな 難波要一(尚哉の同級生) - 須賀健太 が現れ、うまく状況を聞き出してくれていた。奨学金をもらっていても、シューズ代や身体のメンテンナンスにお金がかかるらしい。一人親で、姉が必死で働いてくれているから、頼れないという。難波が「人ってなんでも持っているわけじゃないんですねぇ。」というと

彩音:最近記録が伸びなくなっちゃって、うまくいかない理由がわからないんだよね。

その声は、確かに歪んでいたのだった。
去っていく彩音を明るく励ます難波、その肩を叩き尚哉は「お前が(先生の)助手をやるべきだ。」と、掲示板の前を離れていくのだった。

ベンチを囲む大木を調べている高槻

ヒアリングの内容を伝えた尚哉をほめる。また尚哉は、彩音が、不調の原因がわからないという声が歪んでいたことを伝えた。「この(能力の)ために、自分を助手に誘ったんですよね。」とも言うと、高槻は「それだけじゃないよ。」という。

尚哉:いままでずっと、うそが判るってバレると(相手に)警戒されてました。嫌がられるよりずっといい。先にお伝えしておきますけど、本人にウソをついているという自覚がない場合は、声が歪みませんのでお役に立てません。(彩音が)「うまくいかない理由がわからない」という声が歪んだので、彩音さんは理由をわかっている。つまり呪われている自覚があるんだと思います。
高槻:だとしたら、身近な人間であるという可能性が高いね。今日の放課後時間ある?
尚哉:ありますけど。
夕方、大学の食堂で綺麗目女子の格好で生方が、尚哉の隣の席にやってくる。これが彼女のバイトスタイルらしい。彼女は尚哉のことを「大仏君」と呼び、ここのメニューのおすすめはナポリタンで、蕎麦もなかなか美味しいという。最初、生方であることに気づかず、生方に自分が「大仏柄のカップ」を高槻の部屋で出されているため「大仏君」と呼ばれていることを説明される。塾のバイトに出るときの格好には37分かかるので、研究室ではやっていないそうだ。ここで、高槻に報告するフィールドワークの内容があるらしい。そこへ高槻がやってくる。

食堂の離れた席には、彩音を含む陸上部の女子たちがいる。一緒にいるのは彼女の中距離走のライバルや彩音と奨学金を争って負けた女子。そして、2年生の女子マネージャーは、元は選手だったがケガで競技を断念したという。生方の報告に、「全員気になるね。」と高槻は言うのだった。

食事をしている彩音が、急に口に刺さった針を掌に載せた。床には複数の針が散らばり落ちる。

歩み寄った高槻が、ハンカチに針を受け取る。シューズにも針が入っていたことを尋ねる。他の女子たちも顔を見合わせている。彩音が荷物を取って帰ろうとすると、今度は頭部と左腕に針がたくさん刺さった藁人形が、荷物から床に落ちるのだった。驚いた彩音は、荷物を持って食堂から走り去る。
藁人形を拾い上げた高槻は、残った女子学生たちに話を聞かせて欲しいという。
「これは、あの場所にいた人なら誰でも置くことができた。」と高槻。「自分たちを疑っているのか?」と一人が尋ねると、「事実を言っているだけだよ。」と高槻が言う。

高槻:そこでもうひとつ検証したい。彩音さんのシューズに入っていた針は、誰なら入れられたと(君たちは)思う?
ライバル学生:誰にも入れられないですよ。彩音のお姉さんは彩音にべったりだから、気づかれずになにかするなんて、不可能。
高槻:物理的に針が入れられるのが不可能ってなると、考えられるのは「呪い」だけど。
奨学金に敗れた学生:呪い。入学してからすぐ、彩音がケガするよう神社にお参りに行こうかって言ってたよね。
ライバル学生:はぁ?冗談ですよ。それにもう呪いなんかに頼る必要ありませんから。
高槻:必要がないって?
ライバル学生:彩音明らかに本気出せてないし、あれならそのうち実力で勝てます。
生方:なつめさんは彩音さんにスポーツ奨学金で負けたって噂があるけど。
奨学金に敗れた学生:うち親が会社やってるんで、別に奨学金なくても関係ないの。彩音の方は、奨学金が決まらなかったら大学進学諦めてたらしいから、必死だったと思うけど。
高槻は、尚哉が皆うそを言っていないと首を振っているのを見る。

生方:相沢さんはケガをする前は選手だったんですね。
女子マネ:はい。でも私は選手を支える方が向いてたなって思ってます。琴子さんと同じ。
高槻:琴子さん?
女子マネ:元選手だったんでしょ。だから彩音のメンテナンスとかも指導してる。にしても彩音心配だよね。
ライバル学生:やめるとか言い出しちゃうかも、それは寂しいですね。
女子マネ:彩音には皆を引っ張ってってもらいたいし。
奨学金に敗れた学生:彩音はみんなの希望だしね。
学生たちのウソに苦痛を覚える尚哉。ついには食堂で倒れてしまうのだった。

目が覚めると、そこは高槻の研究室のソファーだった。「嘘をつくと声が歪んで聞こえて不快であることを理解していたのに、ごめんね」と藁人形を触っていた高槻が謝る。

尚哉:いえ、先生が運んでくれたんですか。
高槻:そう。
尚哉(羽織っていた高槻の上着を、丁寧にソファーにかける。腕時計は21時を過ぎている。)先生、ご家族とかはいらっしゃらないんですか。俺はもう大丈夫なんで、先生もう帰ってください。
高槻:独り暮らしだから、気にしないで。
尚哉は、高槻が「僕も独り暮らし。自由でいいよね。」と言っていたことを思い出した。

尚哉:先生のご実家は遠いんですか?
高槻:(グラスに注いだ水を尚哉の前に置きながら)世田谷だよ、ここから電車で一時間ぐらい。両親も健在だけどほとんど連絡は取っていない。親といるより、独りでいる方が楽だというのは同じだね。
尚哉:俺、こんな自分が嫌なんです。
高槻:どうして
尚哉:人って簡単にうそをつきます。保身のため、見栄のため、親しいと思っていても平気でこっちを欺きにかかる。声が歪むたびに、俺は人に失望するんです、勝手に。傷つきたくなかったら、誰とも親しくならねければいい。線を引いて、うわべだけの話をして、空気にあわせて笑って、絶対に線の向こうには踏み込まない。だから、サークルも入りません。親友を作る気もない。楽しい大学時代なんて、俺には縁がないんです。でも・・・でも。
高槻:お腹すいたでしょ。インスタントスープくらいなら作れるから、一緒に食べようか。

校外で、高槻は「本当に大丈夫。歩くのが辛かったらほら。」とおんぶの姿勢を作る。尚哉は遠慮するが「さっきはこれで運んだんだよ。」という。ご迷惑をおかけしましたと、帰ろうとする尚哉に首をふる高槻。歩き出しながら尚哉が尋ねる。

尚哉:結局あの三人は呪いに関わっているんでしょうか?
高槻:三人とも言っていることに筋は通っていたし、呪うほどの強い動機はないと感じた。彼女たちじゃないと思うな。
尚哉:そうですか。あぁ、すいません。解決しなきゃいけないのは分かってるんですけど、なんか・・・。
高槻:なんか?
尚哉:俺なんて、何百人もいる新入生のその他大勢だから、彩音さんみたいに目立った人がいると、嫉妬すると思うんです。あの三人が呪いに関わってなくてよかった。
高槻:(微笑みながら)深町君、君は本当に優しいね。
尚哉:それ、やめてください。恥ずかしいんで・・・。
高槻:だってそう思うんだもん。今日分かったことで確認したいことができたんだ、明日調べてみようと思うんだけど、明日も助手やってもらえるかな。

尚哉がうなずいたのを喜んで、高槻は先を歩いていく。尚哉も嬉しそうにその後をついていくのだった。

gooブログに、テキストは3万文字までと、制限がかかったため2話を前後編に分けました。

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准教授・高槻彰良の推察 1話

2021年09月11日 | 准教授・高槻彰良の推察(ドラマ)

こちらについては、レコーダーの設定が機能しておらず

視聴しておりませんので、再放送でもありましたら

起こさせていただきたいと思います。

★キャスト

・高槻彰良(青和大学文学部の准教授) - 伊野尾慧(Hey! Say! JUMP)
(幼少期:高橋來)

青和大学文学部の准教授。
学校の怪談や都市伝説、地方の伝承などを扱う「民俗学」を専門にしている。「隣のハナシ」という様々な怪異現象や都市伝説を募ったサイトを運営しており、そこに持ち込まれる不思議な事件の解決に乗り出す。「怪異」に触れると理性が吹っ飛び、常識的な大人の対応が出来なくなる残念な一面がある。見たものを全て一瞬で記憶できる「完全記憶能力」の持ち主。極度の方向音痴でもある。

・深町尚哉(青和大学文学部の新入生) - 神宮寺勇太(King & Prince)
(10歳時:嶺岸煌桜)

青和大学文学部の新入生。地味な服装で眼鏡姿。十歳の時に母方の実家の村で不思議な体験をした。以来、他人が嘘をつくとその声が歪んで聞こえるようになり、嘘が見抜けるようになってしまった。そのことが尚哉を孤独へ追いやることに。常にイヤホンをして人の声を遮断し、他人に対しては踏み込まず、踏み込ませない距離感で接する。たまたま受けた講義で高槻と知り合い、怪異事件の解決を手伝うことになる。

生方瑠衣子(高槻の研究室に所属する大学院生) - 岡田結実

高槻の研究室に所属する大学院生。
研究第一の生活を送っているボサボサ頭の眼鏡っ子。ただし塾バイトの時は、綺麗目女子に変身する。頭脳明晰で心根も優しい高槻を尊敬している。根が明るく誰とでもすぐ仲良くなれる性格。実地調査(フィールドワーク)が得意で、助手として高槻の調査を手伝っている。

難波要一(尚哉の同級生) - 須賀健太

青和大学文学部の新入生。尚哉とは語学で同じ講義を受けている。
一見チャラそうだが、実は大学デビューの根は真面目な青年。社交的で尚哉にもフレンドリーに接する。裏表のない性格のため一緒にいても声が歪むことがなく、尚哉にとっては唯一といっても良い大学で会話をする相手。若干、おっちょこちょいなところもあるが、そこはご愛敬。

佐々倉健司(警視庁捜査一課の刑事・高槻の幼なじみ) - 吉沢悠

警視庁捜査一課の刑事。高槻の幼なじみ。
強面で老け顔。不器用な性格だが、内面は情に厚く、何かと高槻や尚哉の手助けをする。怪異にのめり込み過ぎる高槻をある理由から心配しているが、ひとりの人間として尊重し、見守っているナイト的な存在でもある。実は怖がりで幽霊など怪異が苦手なかわいい一面もある。

佐々倉花江(健司の母) - 和泉ちぬ

健司の母。おしゃれな古書店を経営している。
健司と幼馴染の高槻のことは幼少のころから知っており、面倒見のよい親のような存在になっている。古書店では食事も出している。得意料理は和食。

谷村愛美(尚哉の同級生) - 吉田あかり

青和大学の一年生。高槻が担当する「民俗学Ⅱ」の講義を受講している。
イマドキの女子大生で、イケメン高槻を「カオツヨ(顔が強い)」と目の保養にしている。

第1話あらすじ

8年前、青い提灯の怪しい光りに包まれた祭りに紛れ込んだ一人の少年。誰もがお面をつけ、無言で踊り続けている。それは人が決して立ち入ってはいけない祭りだった。少年はそこで死んだはずの祖父に出会う。

「尚哉、おまえはこんなとこりに来ちゃいけなかったんだ・・・。」

大学生になった深町直哉(神宮寺勇太)は、孤独を抱えて生きていた。青い提灯の祭りの日以来、人のうそが判るようになってしまった尚哉。人が嘘をつくと、その声が歪み奇妙な音になって聞こえてしまうのだ。尚哉の能力に気づいた両親は尚哉を遠ざけ、尚哉もまた親しい人間を作ることなく生きてきた。
そんな中、なんとなく受講した「民俗学Ⅱ」のイケメン准教授・高槻彰良(伊野尾慧)に興味を持つ尚哉。高槻の言葉は「ウソ」が全くなく、心地よく耳に届いたのだ。
見たものを全て瞬時に記憶できる「完全記憶能力」を持ち、世の中の怪異現象にしか興味がないという高槻。そんな高槻に、尚哉はなぜか惹きつけられていく。

そんなある日、第四小学校5年2組担任:平原まりか(志田未来)、副校長:真鍋和夫(温水洋一)が勤める小学校で「コックリさん」をめぐる怪異事件が起きる。

「コックリさんに連れていかれる。」

たまたま出会った児童の言葉に驚く尚哉。その声は、一切歪まなかったのだ。
つまり、本物の怪異が起きている!?

「素晴らしい!」

思わぬ怪異現象にテンションが上がる高槻と、そんな高槻を保護者のように見守る大学院生・生方瑠衣子(岡田結実)とともに、なぜか助手として一緒に謎を追うことになる尚哉。
果たして、本物の怪異は存在するのか!?
完全記憶能力を持つ准教授と、うそが判る孤独な大学生の凸凹バディが送る。
ヒューマンミステリー。堂々開幕!

 

 

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