自分がモンゴルや中央アジアに深煎りする原動力になっているのがSUM41という人気パンクバンドである。
6年前ラジオを聴いていたらUnderclass hero「底辺の英雄」という曲が流れた。人生の中で今まで聞いた事のない旋律だったので戦慄が走ったのが(ダジャレか?!)キッカケ。そしてSUM41についてググったら、出身がモンゴル国エルデネト出身という記事が出てきた。それはウィキペディアでも何でもなかった。
SUM41に目を向けたのはコロナ禍。遊牧民のような生き方がこれからあるべき姿であるというような風潮が出てきて、モンゴルといえばSUM41!ということで、サムを聞き始めた。
他のモンゴルロックを聞くとまるで演歌ロックというような感じのものが多くて、SUM41とは掛け離れていると感じた。SUM41の容姿は完全に東洋人という訳ではなく、ロシア人やタタール人のような見てくれだった。同じモンゴル籍だとしても、東洋人の見た目のハルハ人(モンゴル国の主流民族)とは違う民族のようである。
ロシア人かと思ったが、動画で見たロシアライブの際、ロシア語が全然喋れない為、ファンとの交流に苦労している。ロシア人でもないのか。そして思ったのが、彼らはモンゴル国で生まれ育った*トゥバ人なのではないか?と考えている。トゥバ人には金髪もいる。東洋の見た目の人もいる。そしてトゥバ人はモンゴル国内にも居住している。北部の都市エルデネトは、ウランバートルよりはトゥバ人が多いのかも知れない。エルデネトはモンゴル北部や北西部の諸都市とウランバートルを結ぶ要衝。エルデネトから更に北西へと続く道は、エルデネト→モンゴル北西部→ロシア連邦・トゥバ共和国→ロシア連邦・アルタイ共和国やロシア連邦・ハカス共和国に続いているのかも知れない。
SUM41彼らは、トゥバからモンゴル国エルデネトに流れて来て出会ったのかも知れない。彼らの先代を辿ると、アルタイやハカシアに行き着くのかも知れない。テュルク系民族は、西へ行く程西洋人的な容姿になる。
トゥバ語、アルタイ語、ハカシア語は、「シベリア・チュルク語群」という、チュルク語族共通チュルク語派の5つの主要な語群のうちの1つ。アルタイやハカシヤは、西洋的に見える容姿の人がトゥバ以上に多い。
自分は歴史アディクトなので、SUM41の音楽の民族的ルーツを探しまわって様々な遊牧民族の音楽を聴きまくった。SUM41に近いものはないか?と探していた。トゥバ、アルタイ、ハカシアあたりが最もSUM41に近いような気がした。モンゴルの民族音楽にも、SUM41と似ているノリのものがあるし、タタール音楽にもSUM41と似ているような気がするものもある。
《トゥバ人: ロシア連邦内共和国の一つであるトゥバ共和国の主流民族。トゥバ国内では8割型の人がトゥバ語を話す。トゥバ人はテュルク系民族》
《テュルク系民族:突厥国の末裔。トルコ系とも言われる》
実際にSUM41のメンバーとトゥバ人を見比べてみた時、随分似ているなと感じる。デリック氏(歌い手)とコーエン氏(長身でベース担当)は多分トゥバ人。
昨年SUM41のプロフィールをウィキペディアで見た。出身国が北米という事になっていた。(モンゴル国エルデネトではないのか?) SUM41というグループとして登録している国が「北米」である為、Xでも「北米が母国」と書いてあった。SUM41は公人なので、グループの登録がある国の人間として振る舞う。そして周囲からそのように扱われる。北米に取り込まれてしまったように思える。彼らは英語が非常に堪能である。パンクロックという仕事柄、これはしょうがない。歌詞はMa Poubelleという曲以外は全て英語である。Ma Poubelleは何語だか分からない。多分フランス語だと思う。多分トゥバ語ではない。Ma Poubelleをフランス語→日本語でグーグル翻訳してみた。意味は「私のゴミ箱」という割とマトモな訳になる。フランス語も違和感なく歌いこなす。歌い手のデリック氏は言語モンスターだ。
(世界地図をまだ見た事がない人がこの記事みたら、トゥバ共和国とは北米に位置し公用語が英語とフランス語であるかのように誤解され得る可能性があるがトゥバ共和国はロシア連邦内にあり、アジアの中央に位置する。)
トゥバ共和国何処だ?といきなり振られて探せと言われて探すのは容易ではない。
SUM41は洋楽ではない
民謡を離れた突厥(テュルク)音楽というものが非常に嬉しい。突厥人が自由にオリジナルで作り出した音楽を世界中が聴いている。テュルク系民族ってこんな音楽を造るんだと、感慨深かった。洋楽の楽器(ロック用の楽器)のみで演奏するが、テュルク系のエスニシティが色濃く滲み出ているように感じられた。
SUM41は日本人が大好きなタイプの旋律でもある。同じアジア人だから琴線に触れるのだろうか?SUM41の音楽は世界中の琴線に触れる。
これから書くモンゴル音楽、トゥバ音楽、アルタイ音楽、ハカシア音楽、タタール音楽は、SUM41以外は全てその民族固有の言語で歌っている。そして遊牧民カラーを前面に出しているものが多い。SUM41は、パンクロックという仕事柄と、北米に拠点を置き、北米に取り込まれていることから、トゥバ語やモンゴル語で歌う事がない。そして、民族色を出すことがないため、遊牧民らしさを前面に出すことはない。非常に残念なことこの上ない。
彼らは仕事柄パンクロックなので、発祥の英国に対する敬意が感じられ、英国的な要素もあるように感じる。英語で歌うから英国的になってしまうのかも知れないが、不思議と米国的ではない。(北米に取り込まれていると書いておきながら米国的ではない?!どういうこっちゃ?!)
まずは
SUM41- Underclass hero
《Insanity Would-order YouTube 》
1.モンゴル国 (公用語:モンゴル語)
首都:ウランバートル
CHONO - UUHAI
《Chono公式 YouTube 》
いかつくて格好いい!モンゴルという国を意識したプロモ作品になっている。
SUM41のこれに似ていると思える曲
Pain for Pleasure
《SUM41公式 YouTube 》
モンゴル人は意外にも、こういう、ド田舎でモテそうなキャラの出立ちを好む傾向にあると言われている。しかし撮影場所は米国のようである。何故って?貨車。米国のタキ(石油タンク車)が走っている。
モンゴルの民謡、チンギスハーン讃歌
《Moco YouTube 》
SUM41のこれに似ていると思える曲
Welcome to Hell
《SUM41公式 YouTube 》
また、こういうのもある。
Uuhai - Khar Khulz
《UUHAI公式 YouTube 》
SUM41のギター音が似てると思えるもの
The Bitter End
《SUM41公式 YouTube 》
ChonoもUuhaiも、演歌カラーの少ないグループである。
2.トゥバ共和国(公用語:トゥバ語、ロシア語)
首府:クズル
Alash - Tuvan Throat Singers
《TEDx Talks YouTube 》
9:30頃から始まる曲はお勧めです
Chirgilchin - Kaldak Khamar - 2009 - Full Album
《Το φιλί της Πεταλούδας YouTube》
47:10頃の最後の曲が大好き。これは冬聴くと風情がある。
Siberian Music of Tuva
《A World Of Music YouTube 》
18:17から始まる曲はSUM41の楽曲にも有りそうである。
Dagaym-Huun Huur Tu ft.Sainkho
《JARO Medien GmbH-Bremen YouTube 》
トゥバの音楽には天国的なものと地獄的なものがある。この曲は民族音楽なのかオリジナルなのか分からない。
トゥバの曲はどれにどれが似ていると特定できないが、全体的にSUM41に近い気がする
SUM41 - The People Vs…
《SUM41公式 YouTube 》
3.アルタイ共和国(公用語:アルタイ語、カザフ語、ロシア語)
首府:ゴルノ・アルタイスク
Бай Терек - Ӧбӧкӧлӧрдиҥ тыны. Altai Throat Singing. Bai Terek.
《BAI-TEREK公式 YouTube 》
SUM41ではこれを連想する
Black Eyes
《SUM41公式 YouTube 》
Бай Терек - Altai throat singing. HAPPY NEW YEAR OUR FRIENDS!
《BAI-TEREK公式 YouTube 》
Бай Терекは民族楽器だが、民族音楽そのものではなくてオリジナルである。
トゥバよりもSUM41に近い気すらする。
SUM41
Waiting On a Twist of Fate
《SUM41公式 YouTube 》
4.ハカス共和国(公用語:ハカス語、ロシア語)
首府:アバカン
Горловое пение. Этника. Хакасский ансамбль при республиканском театре им. А. Топанова.
《Неофициальная Хакасия YouTube 》
Фольклорный ансамбль «Тигiр Хуры»(г. Абакан, Республика Хакасия)
《МИР Сибири фестиваль YouTube 》
SUM41 - Rise Up
《SUM41公式 YouTube 》
5.タタールスタン共和国(公用語:タタール語、ロシア語)
首府:カザン
タタール語の歌 |ミシャール・タタール 民族音楽1
《Turkbodn Langue Run トルコ言語ラン YouTube 》
タタール語の歌 |ミシャール・タタール 民族音楽2
《Turkbodn Langue Run トルコ言語ラン YouTube 》
SUM41 - This is Goodbye
《Insanity World-order YouTube》
動画三昧で、しかもアルバムクラスの長い動画も多く、まともに聴ききれないと思います。
大体こんなもんだと触り程度でも良いと思います。
作業BGMが欲しい時などは、ガチで聴いても良いと思います。
彼ら全てに共通することは、騎馬遊牧民であること。リズムの刻み方がザッザカ ザッザカと馬が駆ける音を連想させられる事。弦楽器による演奏が鋼のように力強い事。
ホーミー(フーメイ)などの喉歌も多い。SUM41のデリック氏の発声方法とホーミー(フーメイ)の発声方法が似ている気がするのは自分だけだろうか?
トゥバ、アルタイ、ハカシヤなどは、天国的な曲と地獄的な曲があるような気がする。
そんな感じです。SUM無き後どうしようか。
SUM41 は翌1月を以て解散する。
長文をお読み頂きまして、ありがとうございます♪
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