斑爾里(カルガリー)ちゃんねる

平和ボケのただの日本人が、中央アジアのネタと、日本に残る遊牧遺構の記事など書いた。

カネディアンの宿営地について2

2023年10月19日 | 自己満

先日投稿した記事で貼り付けた「図3 遊牧民の1年間のライフサイクル」の画像の文字が小さくてボヤけて見え辛かった事に対してお詫び致します。

字が見えづらく💧読みづらくてさぞかし気持ち悪かっただろうと思います。

 

この図をいくら拡大しようとも、あれが限界でした😵

 

先日の記事の

夏営地☀️(ゾォスラン)

秋営地🍂(ナマルジャ)

冬営地☃️(ウールジョ)

春営地🌷(ハウルジャ)

の下にそれぞれ書かれている内容が、「図3 遊牧民の1年間のライフサイクル」と全く同じ内容です。

 

安心して下さい。書いてます🩲

 

先日の記事

カネディアンの宿営地について - 斑爾里(カルガリー)ちゃんねる

 

カナダホト🎪の場所の地図で終わっていたと思いますが、カナダホト🎪はホト・アイルと言われる一時的な村落共同体だったと思われる。

 

記事によく出てくる「ホト・アイル」という言葉について。

ホト・アイルにピタリと来る日本語はありません。

 

ホト・アイルはモンゴル語である。

 

ホトとは宿営地集団。牧民のゲルテントと家畜が群がる場所。

アイルとは、世帯と定義される事が多い。

 

ホト+アイルで近隣協働体と定義づけている書物もある。

 

先日の文献は近隣協働体と定義づけているが、これは一時的なホト(宿営地群)で親族以外の他人と近隣になった場合、濃厚な近所付き合いをし、祭祀の準備や家畜の世話、子供の面倒、ゲルを作る、解体する、井戸を掘るなどの様々な仕事を協力して行うような、一時的な集落と定義づけている。

これはウランバートル近郊の事例であり、ゴビなどではまた違うホトの在り方がある。

(ウランバートルから50km-80km)

 

Tuv aimak () Zuunmod sum()

 

Tuv aimak Bayanchandamani sum

 

ウランバートルの場所

 

ゴビ地方は砂漠地帯で植生が乏しい為、牧民は緑草原よりも分散して生活している。

ゴビ: モンゴル語で砂漠

 

ホト構成員も、核家族のゲルが2つなど、これはホトと言えるのか?というような数であることが多いらしい。

ホトの規模は宿営地の植生に左右される。

植生が豊かだとホトの規模は大きくなり、乏しければ、小さくなる。

ゴビのケースでは、ウランバートル近郊のように夏営地では集合する傾向、それ以外の季節では分散する傾向というパターンはあまり当てはまらないらしい。

ゴビ地方の牧民は世帯毎に飼育している家畜が違い、家畜によって宿営する場所が違う為に、春夏秋冬の営地は世帯毎に違う。

 

(南ゴビ県(ウムヌゴビ県)ゴルバンサイハン地域 ホンゴルオボーとノヤンの2)

 

ではカナダホト🎪はどうか?

 

カナダホト🎪をゴビやウランバートル近郊などと同じ土俵で扱うと自分でも倭国での話をしているのか蒙古国での話をしているのかよく分からなくなる。

カナダホト🎪はゴビ地方のように砂漠地帯でもなければ、高低差の激しい山岳地帯でもない。カナダホト🎪周辺の環境になんとなく似ている記述が文献の中にあった。

 

ハルハ族居住地域の中央部に位置する南ハンガイ県での現地調査に基づいて言及する(中略)彼は「数名の年寄りたちの回想をもとにして、できるだけ個別的なものは避け、共通する属性に留意して、一般的な概念に抽象するように心がけたつもりである」(小貫1985:47)と断った上で、次のようなモデルを提示している。

森林におおわれた山岳地帯(ハンガイ)があって、その南麓からは広々とした半砂漠性の草原が広がっていて、その10キロ〜20キロのところには川が流れているといった地形を想定していただきたい。

このような地形は、遊牧が行われる土地としては、モンゴルでは典型的なものとみてよいだろう。(中略)

山中の南斜面に冬営地が選定される。(中略)

ここを起点に、半砂漠性草原を南に向かって移動しながら、10キロ〜20キロのところにある川筋の草地に、夏営地をおくのが普通である。この冬営地と夏営地の途中の南麓に春営地を選び、夏営地から再び冬営地にもどる途中に、秋営地を選ぶことになる。

天候の一大異変がない限り、このような冬営地-春営地-夏営地-秋営地の遊牧循環を毎年繰り返すことになる。(小貫:48-49)

《参照: モンゴル牧民の移動ルート選定の安定性-モンゴル国スフバートル県の事例- 尾崎孝宏》

 

ハンガイ山脈

 

 

ハンガイ山脈のような森林に覆われた山岳地帯に該当するものは、この地図上では丹沢山塊。それに近接する小山塊。山脈と川の関係は南北ではなく、北西に丹沢山塊、東に相模川。

半砂漠草原に該当する平原は、国道129、圏央道、国道412、県道60が走る、相模川、中津川、小鮎川、荻野川の流域に広がる平原。

愛川町の丹沢山塊麓からカナダホト🎪までが約20km30km

厚木市上荻野、まつかげ台、みはる野などの山麓からカナダホト🎪までが約10km20km

厚木市飯山、宮の里などの山麓からカナダホト🎪まで約5km10km

小鮎川、荻野川は馬で越えるのは簡単そうに見える。中津川は少し難易度が上がるが、場所によっては馬で越えるのは可能であるが、相模川を馬で越えることは容易ではない。

 

川筋の草地はたくさんあるのに何故、カナダホト🎪この場所を夏営地(ゾォスラン)に決定したのか?

SUMMER LOVER

さすが夏営地

長文のご精読ありがとうございました。

つづく


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