ソメイヨシノが満開となり、将に陽気といい、薄曇りの春おぼろ、小中学校を始め、入学・進学時期、新入生は新調したランドセルに、ちょっと大きめの制服姿、新学期を迎え、心躍る日々が生まれる。すでに就職が決まった新入社員も、新たな門出にエールを送りたい。自分にもそのような時期があったことをほろ苦い気持ちで思い出す。日々変化するというか、新しい環境や、同級生、担任の先生、うまくなじむことができるのかどうかの不安に駆られる。初心があったかどうかは覚えていないが、鮮烈な印象があったことはかすかに覚えている。
新年ではなく新年度が始まった。この時期に新年度が誕生したのは、我が国にとって草木が芽吹き、冬の寒さとお別れし、日々暖かくなる。躍動するにふさわしい時候なのである。会計年度の切り替わりで、すでに会計機関からは新年度の経費が示達される。この時期までに予算が決まらなければ、暫定予算を組まなければならず、一手間余分にかかる。幸い今年度は年度内に予算が成立しているので、スムースに運ぶことができる。
新入社員には歓迎会が付き物で、花見を兼ねて夜桜見物に興じることも多い。新入社員が場所取りの役割をもらい、仕事を早仕舞いすることもあった。春の陽気といっても、夜間は冷える日もあり、三寒四温である。先輩から飲まされ、平素と異なる人物模様を発見でき、仕事の話もさることながら、組織の一員への洗礼にはショックが強い場合もある。馬鹿騒ぎして深酒をしている光景は少なくなったが、羽目を外さずに通過儀礼をこなしたい。
最近では正規雇用より非正規雇用の社員が多くなっているため、歓迎会なども少なくなっているのかもしれない。先輩や上司に誘われることも同様で、仕事とプライベートをきっちり分ける傾向が強くなっているようである。自分の時代は組織人を強調しすぎた傾向はあるが、それがなくなるとかえって寂しく思う。酒の席は人間関係を保ち、組織との一体感を醸成してきたように思う。家庭を顧みないのも問題ではあるが、仕事の根幹は共同作業が多かったし、合意形成が古くからの当たり前の行為であり、我が国特有の意志決定プロセスは未だに変わりがない。芸術家や芸能人でもなければ個人プレーは御法度であった。
新年度は一年の計をたてる絶好の機会でもある。正月とは異なる仕事上の計画である。その意味で、前年度の反省にたち、自己評価してみる。弱点を補強し、改善の道筋をつけることが大切であると思われる。