鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

小さな国際親善(4回シリーズその3)

2013年03月31日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 訪問者の難しい名前をようやく覚えた後、室内を案内することになりました。
始めは仏壇のある部屋へ、電気こたつに足を入れ、仏壇をバックに、はいポーズで写真を撮りました。一通り室内を案内した後は食事です。
 宗教の制限から来る食事メニューについては事前に連絡していたのでOK。

 メインは鳥料理です。畳に座り、箸を手にして日本料理に舌鼓しながら楽しむ姿は、「This is pure Japanese!」時のたつのも忘れ、次々に出る新語、各国の話題に花を咲かせました。最後に、記念写真を全員で撮り、別れを惜しみながら再会を約束し、予定の時間を大幅にオーバーして初めての訪問を終わりました。いざ終わってみると、始め予期していたことは必ずしも的を射ておらず、取り越し苦労のことが多かったようです。第2回目は約1週間後、残りの研修生が参加しました。このときは始めから通訳は加わらなかったことが幸いしてか、第1回目よりリラックスした中で行われました。訪問したお宅ではそれなりの準備をされ、日本の良さを強調する余裕も生まれました。帰路の車中でスリランカの校長先生がいみじくも「仲間は言葉ではなく心です。」といわれた言葉を思い出します。
 言葉は意志を伝える手段の一つですが、言葉以外にも相手に意志を伝えることができることです。言葉の障壁は、訓練することにより解消しますが、心は言葉のようにはいきません。この2回のホームビジットを通じて大切なことを学びました。後日、受け入れていただいたお宅の方々に今回の印象を聞いたところ、2時間近くの訪問時間がまるで10分か20分ぐらいにしか感じられず、研修生の帰った後のしばらくは、外国旅行をしている気分に浸ったそうです。また、生の英会話はほんとうになま身にこたえたとのこと。

 しかし、1回目に比べ2回目は、特に、通訳が居なかったことで、各自で質問を必死で考え、辞書を引き引き話したことは、大変勉強になり、度胸がついたと話してくれました。また、2回目の時、ビルマの男性が生まれて初めて振り袖を着たときに、前から手を入れ、丁度チャイナ服のような着方をし、みんなで大笑いをしたエピソードなどを思い出し、再度大笑いしたと語ってくれました。いずれにしろ、訪問したお宅ではホームビジットを大変喜んでいただけたということでした。(次回へ続きます)

小さな国際親善(4回シリーズその2)

2013年03月30日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 訪問日は某年11月7日午後5時30分から8時までの2時間半を予定し、八王子の研修センターから訪問宅までは調査役の車に便乗することとしました。
 当日、研修員6名のほかに、万一の場合に備えて、八王子研修センターのベテラン通訳女史の応援を仰ぎ、調査役と小生の全9名が訪問することになりました。午後5時50分目的地に到着し、緊張をかくしきれないホステス役の奥様に出迎えていただきました。奥様の第一声「グットイブニング、レディスアンドゼントルメン ウエルカム。」 訪問者の中には靴を脱ぐ場所がわからず、玄関のたたきに素足で立ち往生、何とか一同、リビングルームのソファの上に腰を落ち着けることができました。ホスト役のご主人、子供4人も揃い自己紹介が始まります。This is Mr. ○○○○、 ……、はじめは通訳の女史の助けを借りました。

 次は海外からの訪問者の自己紹介です。さすが2ヵ月余の滞在成果でしょうか、流ちょうな日本語での自己紹介、英語でと思ったホスト、ホステスは少々とまどいながらも歓迎の意を伝えます。タイの女性からバラの花たばを受け取った奥様は、机の上に置いたまま何をしてよいのかわからない様子。調査役からすかさず「花びんに入れて、飾って下さい」、「Would you like drink? Tea or other's?」「Ladies & Gentle men all green tea, please 」せんべいをつまみながら緑茶をすすり、ようやく一段落です。次第に緊張もとけ、カタコトの英語による会話が短大英文科の2番目のお嬢さんから始まりました。「マイネーム…… ,21イヤズオールド , 何だっけ ?」なかなか思うように 言菜がでません。日本語と英語のサンドイツチ。マレーシアの女性から「Don't Speak Japanese,English Only.」(次回へ続きます)

小さな国際親善(4回シリーズその1)

2013年03月29日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 海外から我が国の職業訓練について研修にこ来られる方々に、日本の家庭を見ていただきたいという希望は、国際協力に従事している職員の誰もが抱く思いです。
 あたりまえのことですが、ホームビジット(家庭訪問)は受け入れを希望する家庭と、日本人家庭を見たいという海外の方々の双方の考えが一致することが前提となります。間に入って調整する役は、さまざまな配慮を必要とします。というのは日本人の多くは、ホームビジットの経験が乏しく、語学が十分ではなく、部屋が狭く、他人に部屋を見せることに対して、恥ずかしいという感情を持つことなど、内面的な問題を含んでいるからです。

 今回、2回のホームビジットを計画し、実施できたことは、曲がりなりにも受入れ側と訪問側の両者の考えが一致したことに他なりません。
小生の親しく交際している方の中に、以前から「なまの英会話を子供達にできないものだろうか」と希望する方がいました。この方は過去に数回家族で米国、東南アジア等の海外旅行を経験され、4人の子供はそれぞれ英会話を学びたいという強い意志を持っていました。経済的にもかなり裕福であり、世話好きの家庭ですが、ホームビジットを受け入れたことは、過去に一度も経験がありません。しかし、先日この方にお会いしたときに再度希望されたので、さっそく大学校の国際協力部に勤務している専門役と連絡をとりました。

 彼に受入れ側の希望を伝え、研修生の調整をお願いしたところ、数日後に了解の返答をもらい、受入れ側にその旨を伝えました。初めてでもあり、今後のこともあるので、やはり一度、下見をし、受入れ側との調整を直接行う方が円滑に進むであろうと判断し、専門役と共にご自宅へ伺いました。結果的にはこのことがホームビジットを成功に導いた要因となったと思います。
 この計画には、国際協力機構八王子研修センター(現在は横浜へ移転)に研修にこられている14名のメンバーの中で、男性2名、女性4名計6名の方を第1回のホームビジターとして調査役から選出していただきました。メンバーの出身国はインドネシア、タイ、マレーシア、ケニヤ、ガーナ、ナイジエリアで、すべて英語を第2国語とする方達です。(次回へ続きます)

異文化の理解(4回シリーズ4/4)

2013年03月28日 00時00分01秒 | 緑陰随想

その3 (生活指導・危機管理・メンタルヘルス)
【留意すべき傾向】
3.食文化の違い
1)食費を切りつめ、研修手当を自国へ送金する。そのため、粗食をし、日々やせ細り、いずれ栄養失調状態になる研修生が多い。

2)自国の料理に執着する傾向が強い。冷蔵庫の保管や部屋への持ち込みによって腐敗が発生し、食中毒を起こすおそれがある。

3)イスラム圏では左手は不浄のため、右手だけの使用で直接食べる。ベジタリアンが多いことも留意する。箸の強要はしない。

4)イスラム圏ではアルコール類は厳禁、また、宗教上豚肉を食さない。日本の豚は清浄といっても通用しない。特に焼き鳥は豚の臓物や豚肉が使われるため注意を要する。鶏肉や牛肉であっても宗教上の処理をしていないため、信者によっては食さない。特に寮生活で食事を出す場合には食器や調理具を別にする配慮が必要である。

5)香辛料の違いを認識する。一般的に冷凍設備の普及が悪く、食物流通に時間を要するため、新鮮な魚介類は口にできない。保存用に香辛料を多量に用いる傾向が強い。日本人にとって、研修生の香辛料の多量摂取による体臭は不快感となって現れる。

4.その他
1)印鑑による押印、我が国のビジネスマナーである名刺交換の強要、強制的に顔写真を撮影すること、撮影前にイスラムのスカーフを取り去るよう指示することは人道的に許されない。

2)健康保険制度がない国が多く、病気した場合に市販の売薬ですませ、医者に行くことを拒む傾向がある。言葉が通じないことから医者に症状を伝えにくい。医者に連れて行く場合は現地語もしくは英語を理解する医師に引き合わせ、通訳との同行が望ましい。

3)民間療法が行われる。煎じ薬や効能がわからない処方を行い、かえって症状を悪化させることがある。風邪でベビーオイルを全身に塗るなど理解の範囲を超える。

4)入国後は緊張のせいばかりでなく水や食物にあたることがあり、生ものは特に注意する。腸内細菌が入れ替わるとも言われている。

5)出入国に関する手続き、移動手段・交通ルール、携帯電話やパソコンの使い方、キャッシュカード、身分証明書、運転免許の取り方、風呂の使い方、畳での生活、スリッパの使い方、水洗式トイレや、日本式トイレの使い方等基本的な生活ルールのほとんどが異なっているので十分指導する。

6)健康管理面ではメンタルヘルスケアについての理解を深め、ホームシックになりがちな研修生にとって、精神的な病に陥らないよう関係者との接触の機会を増やし、ホームステイをするなど日頃の対応が望まれる。

7)機密情報の流出の防止や災害等の危機管理については緊急連絡網の整備、避難場所の指示、非常時の対応等日頃から模擬訓練を行うなど、管理体制を設け、パニックに陥るのを避ける。

8)直ちに国際問題に発展しやすい、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントを与えないもしくは与えたと感じさせない対応が必要である。

異文化の理解(4回シリーズ3/4)

2013年03月27日 00時00分01秒 | 緑陰随想

その2 (不安の除去・信頼関係の構築)
【留意すべき傾向】
2. 生活の信条・基盤の違い
1)日本人ほど雇用された会社に帰属意識が高い国はない。日本以外で外国企業のロイヤリティの低さは著しく、このロイヤリティを研修生に求めるべきでない。日本流企業の人事制度や従業員教育制度がむしろ特別である。外国企業の従業員は労働力提供の対価としての賃金を求めて働いているという倫理観がすべてと思ってよい。

2)日本以外の国は年功序列賃金制度や企業内労働組合を持たない。従業員の福利厚生制度もない。従業員は転職を重ね自らの技量を売り物にする。外国企業は企業内訓練制度を持たないので、だめな従業員を雇用期間が途中でも解雇し、能力のある人材を雇用する。最近は例外もあるが、我が国のように正規社員が定年まで雇用期間の定めがないまま働ける環境にない。また、企業側が雇用している間に従業員の能力向上のための資格取得や研修制度を持たず、それを実施することはほとんどないと言ってよい。能力向上は自己責任との考え方である。

3)一神教ほど排他的である。宗教観の違いが全面にでることがある。(無神論者はいないに等しい)従って宗教論争は避けるべきである。

4)同族、家族、信頼した仲間間の連帯が強い。日本人が信頼を得るまでには時間がかかる。

5)多くの国は密告社会である。秘密警察の存在があり、諜報行為は正当化される。信頼できることがわかるまで本音を言わない。(言論統制)

6)相互扶助・共存関係が強い。富める者が貧する者を助けることが当たり前で、貧者の側にあってもそのことによって自己を卑下することはない。貧者がもっと下層の者に施しを行うことがある。(喜捨精神)

7)一般に物質的に質素であり、生活苦もあり、我が国の消費文化を経験していない。日本の歴史年代20年から30年過去を意識されたい。

8)研修なれがあり、ODA等の国際援助になれていて、この面の比較力が鋭い。特に研修手当や研修生活環境の良否についての研修生どうしの情報交換は仲間同士の日常的話題であり、至って目ざとい。日本ばかりでなく、韓国、中国などの同様な援助を受けた経験を持つ。

9)鍵社会であり、基本的に他人を信用しない。物がなくなるのは杜撰な管理のせいにされる。

10)契約社会で、文書による確認がいる。曖昧さが多い日本の契約とは大違いで、ゆとりや余裕がない。特に金銭の貸し借りはしっかり契約するか研修生には担保がないので、たとえ小額であっても貸借行為は避ける。

異文化の理解(4回シリーズ2/4)

2013年03月26日 00時00分01秒 | 緑陰随想

その1 (技術研修生のバックグラウンド)

【留意すべき傾向と対策】
1. 技術研修生の傾向
1)研修目的を正しく理解しているか、研修制度が悪用されていないか、研修の制限事項に異論はないかの確認が曖昧な場合が多い。⇒ 正しく理解させる。

2)一般的に個別指導を好み、集団指導を嫌う。己にとって必要なことだけを求める。⇒ 制度上難しいことを納得させる。

3)学歴が異なるものどうしや、異なる部族どうし、更には互いの国が戦争状態にあり、関係が悪いところの出身者どうしの接触を避ける。⇒ ペアを組ませない。

4)宗教の違い、身分差別や男尊女卑が依然として強い。イスラム圏の男女共学はない。⇒ 我が国がそれによる差別がないこと伝え、実情を理解させる。

5)作業後の後始末や清掃はエンジニアの仕事ではない。⇒ 研修が職務実施のプレトレーニングであること、職務記述書による業務の範囲や責任の範囲を明確にする。

6)後継者の育成は困難。極度の競争社会で、自己の持っている技術を他人に教えることによって、己の存在が悪くなるのを嫌う。自己防衛本能が強い。⇒ 意図的に研修生相互が教えあうことを避ける。全員のミーティングに切り替える。
7)自己の能力を実際以上に誇張する。頭で理解しできるというがやらせてみると全くできない。⇒ やらせてみて評価する。経歴を信じない。

8)基礎教育が十分でなく、それぞれ教育体験・教育基盤が異なる。⇒ 基礎教育からチェックを始める。義務教育を敷いていない国もある。
9)一般的に共同作業に向かず、単独主義でアイデンティティが強い。自己の行動や対応を自己判断で処理する。⇒ 職場における協調性やホウレンソウ(報告・連絡・相談)を徹底させる。

10)要求内容がきつく、要求が通らないと思っていてもダメモトで言う。⇒ できることとできないことをはっきりと伝える。
11)研修と自己の行動との損得を天秤にかけ、得する方に恣意的に動く傾向がある。 ⇒ 研修の重要性を何度も伝え、技術習得の最短の道であることを伝える。宗教や体調不良を理由にしたサボタージュを鵜呑みにしない。

異文化の理解(4回シリーズ1/4)

2013年03月25日 00時00分01秒 | 緑陰随想

はじめに

 グローバル化によって、外国人と接する機会が増えたことは、大いに歓迎すべきことである。純粋培養された日本人にとって、果たして相手を理解し、コミュニケーションをとれていれば問題ないが、観光目的等パックツアーなどで海外を馴染んでいても、いざ仕事や研修関係で外国人に接すると、とまどうことも多い。今回、技術研修生や技能研修生の受け入れの経験を通して知った事項について、日本人が知っておくことによってトラブルを未然に回避できることが多いと考え、情報提供することとした。発言の仕方によっては、非常に微妙な反応もある。また、研修員の中には他の先進国への留学経験や、数度の来日経験を持ち、高度の知識や、礼儀作法をよく知っている者もいるので、すべてに当てはまることではないことを始めに申し上げておきたい。

 特に重要な視点を申し上げれば、日本が特殊な国ではなく、日本人が優れているわけではない。まずは、異なることを第一に認めることで、日本人に基準を据えるのではなく、日本人にあわせ、日本人化させようと決して思わぬことである。宗教はもちろんのこと、風俗、習慣、考え方、食生活、教育に至るまで、すべてが異なることを認め合うことのスタンスを継続し、胸襟を開くことが大切である。

 通常の会話は英語が基本であるが、我が国と同様に英語が苦手な国も多く、通訳を介することで、意思疎通はクリアする。技能研修生の場合は、相手が日本語を学習しており、日常会話程度は理解していることが受け入れ条件としているが、決して十分でない。機会があればこの問題を考えたいと思うが、今回は割愛する。