ヤシャブシ(夜叉五倍子)
学名:Alnus firma 英名:Japanese green alder
科名/属名:カバノキ科 ハンノキ属 落葉広葉/小高木
別名:ミネバリ ガケバリ ツチシバリ
分布:本州の東北南部 以西の太平洋側 四国 九州の低山帯
花ことば:穏やか 忍耐(榛の木に由来する)
樹高:1~1・5m 花の色 黄色 緑色
鹿田山フットパスで見た木の実(2022.1.17)
足元に落ちていた実の付いた枝を拾いました。
葉も花も見た事が無くここにこの木があるのも知らなくて
落ちている実を見つけ見上げたらこんな木に実が付いていました。
ので調べて見ました。
多分ヤシャブシ(夜叉五倍子)だと思い書き留めて置く事にしました。
↑ 鹿田山フットパスで見つけた実
ヤシャブシは日本が原産の高木の植物で塩害を始めとするさまざまな
環境変化に強く庭木や街路樹として植えられる事が多いです。
又やせた土地でも栽培しやすい為緑化を目的とした植樹にも活用されています。
↑ 鹿田山 フットパスで見つけた実
名前の由来
ヤシャブシは3月頃に開花した花が枯れて行くと10月頃に果穂になります。
この果穂がインドの神様「夜叉」に似ている事から名付けられました。
また黒色の顔料になる植物「フシ」の代わりとして使われた事も名前の由来です。
↑ 写真集からお借りした花の写真
ヤシャブシは3月頃に葉が成長するより先に黄緑色の花を咲かせます。
開花後は雄花は下方向へ垂下り雌花は直立するのが特徴的です。
葉は卵形で縁にギザギザの鋸状をしており13~20枚対になっています。
↑ 写真集からお借りした葉と実の写真
ヤシャブシは根粒菌(こんりゅうきん)と言う菌を根に共生させます。
この菌の影響を受けて空気中の窒素を取り込む事が可能です。
窒素は植物に欠かせない成分と言われている事からヤシャブシは
肥料の役割も担う肥料木とも呼ばれています。
↑ 写真集からお借りした実の写真
ヤシャブシの代表品種・種類
〇オオバヤシャブシ
オオバヤシャブシは高さが15mほどあり本州の太平洋側の
海岸近くに多く自生しています。
葉の大きさが12cm程でヤシャブシよりも大きい事から
名付けられました。
ヤシャブシととても良く似ていますが雌花が枝先に
付いているとう違いがあります。
〇ヒメヤシャブ
ヒメヤシャブは樹高が7m葉の大きさが10cmほど
ヤシャブシの中では小柄で葉が20対以上あるのが特徴的です。
江戸時代末期に滋賀県で発見され現在は風よけ等を
目的に日本全国に分布しています。
〇ミヤマヤシャブシ
ミヤマヤシャブシは樹高が葉の大きさ葉の形状などヤシャブシと
大きな違いはありませんが葉の裏側に細かい産毛が生えています。
日本全国に分布しており特に山地で見かけられる事が多い
ヤシャブシです。
※ヤシャブシ染
古来より染められた染料でしたが特に江戸時代頃に五倍子
に代わる黒染めの材料として使われる様になりました。
五倍子が紫味がかった黒色になるのに比べてヤシャブは
緑味がかった黒になります。
秋前に青い球果を採取し乾燥させるか松笠状になった
乾燥球果を保存して一年中染色する事が出来ます。
枝や葉も染色に使用できますがタンニン分は少なく
黄色や茶色に染まります。
※草木染 ヤシャブシ鉄媒染
ヤシャブシはタンニンが多い植物なので良く染まります。
染める布をたんぱく処理せずに染められます。
ヤシャブシを拾って洗って乾かして置けば何年かは保存可能です。