バスに乗って街の中心部に向かう途中に見た光景です。
”矢〇豚”という、今ではとんかつで全国的にも有名になった店の前に行列が出来ています。土日は大抵このような行列が出来るようです。
矢〇豚という店は随分昔からあった店で、これほど有名になったのは、ここ10年位と思います。
以前は今の場所よりもう少し西の路地裏の小さな店で、知る人ぞ知る、とんかつの美味しい店でした。
それこそ50年ほど前に父親が連れて行ってくれたことがありますが、カウンターの向こう側の目の前で年季の入った老齢の店主がとんかつを揚げていました。
揚げ立てのとんかつをカウンター越しに受け取り、アツアツのとんかつが美味しかったことを覚えています。
それから年月か経ち、代替わりしたのでしょうか、今のように大きな店に変わりました。最近では海外にも出店しているという話も聞きます。
店が新しくなった後、息子夫婦と一緒に一度行ったことがあります。
行列を並び、やっと席について、又しばらく待たされてから出て来たとんかつに昔の味の面影はありませんでした。
店が大きくなり大勢の調理人を雇います。当然当時の店主のような、いわば職人の味を求めることは出来なくなります。
大きくなるのは、店にとっても客にとっても良いことなのだろうか・・・。
年季の入った職人のような店主が作った本物の味を、もう一度味わいたいと思いながら行列を眺めました。