身近な自然となかよくblog (旧「菊名エコクラブblog」)

自然環境と調和した持続可能な社会を!

by NACS-J認定 自然観察指導員 松田 照之

緑化と花壇づくりの違い

2018年04月28日 08時00分29秒 | 6-2.思ったこと・考えたこと
緑化は緑のないところ、緑の必要なところに緑を定着させるために行ないます。
緑とは植物すなわち木や草花のことで、木や草を植えたり、種子を吹き付けたりするのです。
定着させることによって様々な効果を得ることが目的なので、枯れてしまって定着させられなかったら、その緑化は失敗。適切な緑化ではなかったということになり、経費が無駄になってしまいます。
この場合、補償として植え替えが行われることがあります。

緑化によって得られる様々な効果は、今私の頭に思い浮かぶだけでも次のとおりで、これらがそれぞれ緑化の目的となります。
これらの目的からも、緑すなわち植物が様々な機能を持っているということがわかるでしょう。

・緑の景観の形成
・緑陰の形成、緑陰による夏場の暑さの軽減
・根による土壌流出防止
・窓などの外側に植えることによる目隠し機能
・防音防風防塵(音や風、埃の飛散を和らげる)
・小鳥や昆虫たちを呼び寄せることによる生きものたちの賑わいの形成
・剪定や雑草むしりなどによる植物や土とのふれあい
・緑化に使用される植物の種類によっては花も咲かせますから花も楽しめます

私は花を否定するわけではありません。
個人的にはチューリップも好きですし、育てています。
けれども、植物によって得られる重要な機能の多くは花ではなく、緑の葉を中心に幹や枝、また根など植物全体によって得られるということが重要な着目点となります。
その機能とは主に実用的な環境調節機能です。

一方、花壇は、植え替えが前提となっています。
花壇に使用される花の多くは一年草であり、多年草であっても花を咲かせた翌年は綺麗に花を咲かせてくれないので、季節ごと一年ごとに植え替えが必要となるからです。
花壇の草花は基本使い捨てなのです。
苗や球根の値段はバカになりませんから、花壇を続ける限り多額の経費をかけ続けなければなりません。
花を育てることはガーデニングとして市民権を得ていますが、彩り鮮やかな景観の形成が大きな目的であり、植物の持つ様々な機能を求めるものではありません。

・花による彩り鮮やかな景観の形成
・植え替え作業、雑草むしり、枯葉や花殻の除去作業による植物や土とのふれあい
・根による土壌流出防止(効果としてはあるが、それ自体を目的としてはいない。年に1~2回植え替えをするので、その点では効果は弱い。)
(・セイヨウミツバチの吸蜜による蜂蜜の生産)・・・花壇では花以外の生きものを排除するケースが多いので()付けとしました。

緑化の緑と比べると花壇の効果や目的は限定されていることを考えると、花壇は花の少ない緑化の緑に彩りを添えるくらいの程度で行なうのがベストというのが私の考えです。
工法的な技術で、花で緑化のような効果を引き出すにしても限度がありますし、何より経費がかかります。
また環境問題は現代社会の大きな問題となっており、その改善は重要な課題。向き合う必要があります。
その場合、改善策として期待されるのは花壇というよりも緑化であり、緑の回復であると考えます。

まとめると
⓵目的、効果、機能
⓶経費(対費用効果)
⓷環境問題
の三つを総合的に考えて、広い面積で花壇を何年も継続するのは、いかがなものかと思います。


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