<このドキュメントはすべて事実に基づいて書いています。
登場する人物・場所等はすべて実在するものです>
10月21日(日)午前11時過ぎ
友人の彫刻家Kさんからの電話
「あっ どうも ご無沙汰しています Kです
実は今 うちにある啓さんの版画を見て 是非欲しいと言う人がいまして えぇ
これから そちらへ伺いたいと言っているのですが.....」
私
「おやまぁ それは それは....
でも 今から.... Kさんの八王子から電車でうちまで来るのは 大変でしょう
その方へ私のカタログを近々送りますよ
それにwebで私の名前を検索しても作品を見られますし.....」
Kさん
「いや 是非実物をいろいろ見たいし
この際啓さんご本人にもお会いしたいという要望でして
(小さな声で)
場合によっては かなりの量を買い上げたいらしいです.....」
私
「本当ですか?
でも私の所まで3時間以上はかかるでしょう
それに駅から家まで遠いし...... どうしましょうかね.....」
Kさん
「その方本間さんと言ってかなりお忙しい方で
今日しか時間が取れないそうなんですよ
何でもすぐアメリカに戻らなければならないらしくて
一端 電話を切って こちらで本間さんと相談してみます じゃぁ 後で」

数分後にまた電話
Kさん
「うちにある啓さんの作品をひどく気に入ったようでして
やはり是非 今日中に会って版画を見たいそうです どうでしょう?」
私
「判りました それにしても うちに来ていただくのは時間がかかるので
途中の大宮の駅あたりで待ち合わせて 駅近辺のレストランかなにかで
作品を見ていただくというのは」
Kさん(そばにいると思われる本間さんと相談している様子)
「あっ それで結構だそうです
これからすぐ行くそうです
新宿駅で乗り換える時 啓さんの携帯へ連絡するそうです
そうそう 黒っぽいスーツで 黄色の事務封筒を持った70歳位の方です」
私
「わかりました
連絡お待ちします よろしくお伝え下さい」

突然入って来た願っても無い話しと 急な展開に
私は興奮し 慌てて見せる作品をかき集め始めました。
でも かなりの量を買うといっても どれくらいか検討がつかないので
取りあえず近作20~30点を用意する事にしました。
そこへまたKさんから電話
「たった今 本間さんがそちらへ向かいました」
私
「いやぁーー 大変結構なお話をいただいて ありがとうございます!
ところで 本間さんって どういう方なの?」
Kさん
「本間さんって 酒田ゆかりの人で
アメリカの銀行の役員を長く務めているているそうです」
私
「酒田の本間って 昔のあの豪商の 本間宗家の?
へぇーー すごいじゃない!
どうして 知り合いになったの?」
Kさん
「いやーー それがねぇ
かなり昔に本間さんが佐藤忠良さんの作品を買いに アトリエに行った時
忠良さんが私の事を随分誉めていたのを想い出して
突然訪ねてこられたそうなんですよ」
(だんだん 興奮気味に)
「それでですね 実はね 私の彫刻を1点300万で買ってくれたんですよ!
山形の会社の玄関に飾るって!」
「だから 水落さんも 高く言って バンバン買ってもらったほうがいいですよ!
これはチャンスですよ!」
つづく

<注釈>
ご存知の方も多いと思いますが
一昨年3月98歳で亡くなった佐藤忠良さんは
かつて 北海道の全道美術協会の彫刻部の会員でもありました。
Kさんも同じく彫刻部の会員です。
このブログでも忠良さんのお話書いています。こちら
http://blog.goo.ne.jp/kei-print/e/af149ab27cd012c76b68533a1bdc9435
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