矢沢永吉が生出演したNHKのMUSIC SPECIAL。
150回目の武道館ライブが喉の不調で中止になったのを受けたスペシャル番組、「矢沢永吉激白!超えられなかったあと1本」が急遽、放映された。
NHKの番宣で知りライブで観た。
広島出身ということもあって、キャロル時代から聴いてきた矢沢永吉の曲。著書「成りあがり」の生き様は面白い。理不尽な差別に対する不屈の魂にも共感していた。
生番組は司会の雰囲気のせいかニュース番組かのよう。だが、永ちゃんが喋りだすと、一気にYAZAWAワールドへと引き込んでいく。
YAZAWAステージが最も盛り上がる定番曲「トラベリン・バス」が、30代、40代、50代と年代を追って映像で紹介される。不思議なことに、今年のライブでの歌声が聴かせる。成熟した深みといい、一番いい。
「今、見てて思ったんだけどね、若い頃の矢沢の声って、よくないね」と、笑う矢沢永吉だった。
「矢沢はね・・・」と表する独特の喋り。矢沢永吉のなかに「YAZAWA」が存在するのだ。その「YAZAWA」を自身ですべてをプロデュースしてきた矢沢永吉がいる。
人生の「迷い」も赤裸々に語った。歌以外にも何かやらねばと迷ったこともあるのだと。48歳のとき知人の裏切りで、当時のお金で36億円もの負債を抱えたエピソードも笑顔でサラッと語る。
「でも今は、ひとつもらって、『神様、ありがとうございます』って気分ですね」と穏やかに話した。ひとつのことを貫いてきた「ひと」の、人生の深みが語りから溢れた。
武道館ライブ150回という節目の1本を、自分で中止を決断した矢沢永吉。来年、その1本を超える日が来る。なおも日本のロックシーンのトップを走り続けている。こんなカッコいい73歳は他にいない。
「ひとつやれることがあったら、十分です」その言葉に、熱と道標を得た。