古今輪風@自転車ふぁん

わからない事だらけのレストア&メンテナンス備忘録

スギノPXトリプル BB軸(考)

2018-06-22 05:06:59 | レストア&オールドパーツ

手持ちのBB軸達。

ナット止めのタイプが多いですし高価な物ではありませんが、自分の使いそうなサイズを残してあるので貴重な物です。古い自転車のレストアに嵌った10年程の間、残っている物以外にもよく集めました。

今回のスギノPXトリプルに使えそうな軸は3本で、上から3R‐B、3R、3T。PXの前身プロダイ(プロダイナミック)指定の軸はPT-68ですが既に入手困難で、あったとしても非常に高価。TAのトリプル用で374という軸が互換として有名ですが、こちらも入手が難しくなっているのと、やはり高価でこの二本は下手するとクランクより高くつきそう。今、比較的安定して入手可能でPT-68や374に近いとされる軸に3‐TBというのがあるけど残念ながら持っていないので、とりあえず除外。手持ちでダメそうなら3-TBを入手するつもりでした。考察はweb上で知り得たPT-68の寸法を視野に入れながら、3R‐B、3R、3Tで実施。

写真(上)は比較する3本の寸法をノギスで測って書きとめた物。測ったのは全長と左右で、左右は一般的にD1,D2値と呼ぶみたい。このD1,D2値以外の中央部は記載していませんが、フレームのBBシェル幅が68mmだと約52mm。70mmだと約56mm。今回は全て68mm用ですが、D1+D2+52mmで書いてある寸法にならないのは測り方の誤差範囲。

測ったD1,D2値は写真(上)の赤い矢印の間。

そして本題の考察。最終的に使った3Rは軸長129.1mm,左35mm,右41.5mm。PXトリプルで使うとチェーンラインはほぼドンピシャで、ダウンチューブ(=トップチューブ)端からトリプルのセンターギア中央が31.5mm。

これに14.3mm(チューブ径28.6mmの半分)を足すと45.8mmで、PXトリプルの適性チェーンライン45mmにほぼ合致。1mm程度は勘合の具合や測り方の誤差程度で、ALPINA2&同指定のCBB113とも殆ど同じ数字。

アウターギアの中央は39mm、外で40.5mm。

つぶし加工があるクライマーの右チェーンステーとインナー28tのクリアランスは最も接近しているギア歯の根元で約5mm、ギア歯の先端が約7mm。3R-Bも右は全く一緒で、むしろ悩むのは右ではなく左クランクの出幅。右はギア板が3枚付くしインナーとチェーンステーのクリアランス・適性チェーンラインから選択肢は有りませんが、左を右に合わせるか、右とのバランスは無視して引っ込めるか。

3Rと3R-Bの右クランク先端と右チェーンステーのクリアランスは約17mm。(ALPINA2は19mm)。

3Rの左クランクと左チェーンステー先端のクリアランスは約12mm。(ALPINA2は14mm)。

今のカートリッジ式で左右不均等は有りませんし、普通に廻す事だけ考えれば右分だけ左も出すのが身体的には自然な気がします。ですが、一般的には不均等の軸が重宝されていて、PT-68は左が28.5mmで右は40.5mm。今回の三本でPT-68に一番近いのが軸長125.7mmの3R-B。

右は3Rと全く同じでチェーンラインは適性。問題の左は、31.8mm。実際に取り付けると左クランク先端と左チェーンステーのクリアランスは約9mm。右17mmとの差は約8mm。PT-68は左28.5mmで右40.5mmですから3R-Bよりも更に左が3mm引っ込む計算で、右は1mm短いけど左右差は推定10mmになります。

最後の一本は3Tですが、これが一番バランスが良いかもしれない。右38.6mmなのでこのまま付けるとチェーンラインは少し内に入ります。それでもインナーとチェーンステーには2~3mm程のクリアランスがあって、接触はしません。右ワンに1.5~2mm程のスペーサーを入れるとチェーンラインもほぼ適正で、クリアランス(推定)は右が約16mm、左が約10mmとなり左右差は約6mm。

国産シャフトにつく「〇〇‐B」という記号はボルトのBという意味で、ナット式かボルト式ということらしい。どちらかというと重宝されるのはボルト式でナット式は普及品、安価な品という印象。今となってはそんな事よりも使える使えないの方が重要ですが、うちにあるのは全て安価なシャフトと思われるのでナット式もボルト式も玉辺り面の仕上げに違いはありません。ただ、クランクを締め込む際にクランク勘合部に与えるダメージはボルト式の方が優しいと感じます。あとは、ボルト式の良い物は中空にして軽く出来るってメリットもありそう。

と、こんな感じで旧PXトリプルに使える軸を手持ちの中で検証してみました。クランクも軸も新品なので抜き差しを繰り返すと2mm程度は深く入るかもしれない。そうすると3Tが微妙になる可能性も少しあるけど、たぶん平気。一応、今回の3本は全部使えるって結論でOK。

※PXの発売期間はとても長かったけど、90年代後半にNew PXというクランクが短期間発売されていました。パッと見はPXと一緒ですが上から見るとアームが直線的ではなくスクエア形状になってます。勘合部の形状や寸法(深さ)がPXとは大きく異なる様なので、New PXでは使えるBBにも違いがありそうです。



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