北海道函館市の建築設計事務所 小山設計所

建築の設計のことやあれこれ

機械式多段駐車装置

2015-04-25 11:36:43 | 日記
こんな設計士の私でも、東京都の○○区の建築指導課に行って、文句を言った事があるん

です、、。


その区では、

「○○区ワンルームマンション等建築物の建築に関する条例」(当時)と

「○○区集合住宅駐車施設附置要綱」

なる条例と要綱がありまして、ワンルームマンションなどの戸数に応じて、ある一定の

台数の駐車場の設置が義務付けられていたのです。


私の知人の隣地で、12~3階建てのワンルームマンションが計画されまして、図面を

見ましたら、条例と要綱の駐車台数をクリアーさせるために、敷地があまり広くないので

三段式の「機械式多段駐車装置」なるものが一基、図面に書き込まれていたのです、、。


このような「装置」です、、、。(この図は三基並んでいます。)






見て、すぐに「これは危険だ。」と思いました。子供が挟まれたり落下したりして、死亡

したり大怪我をする事故の起こる「蓋然性」が、もの凄く高いのです。


調べてみましたら、メーカーの資料には、スーパーやパチンコ屋さんの広い駐車場に何故

か単独で設置されている写真もあって、驚かさせられました、、。(広い駐車場を自転車

などで走っていて、突っ込んで行ったら「終わり」です、、、。)


○○区の建築指導課で、「片方で駐車場の台数を義務付けて、片方でこのような危険な装

置の設置を認めるのは、おかしいのではないか?」と言ったらば、



「国土交通省で製品として認可しているので、、、、」の一点張りでした。


(一体、こんなものを誰がどういう経緯で認可してしまったのか、、、。工事の方は、

センサーを増やすか、チェーンを増やすかして行われてしまいました、、。その工事をし

た建築会社は、一年後くらいに倒産してしまいました、、、。)


私が、○○区の建築指導課に行って文句を言ったのは5~6年前ですが、その後、大阪府

茨木市と岩手県花巻市で、子供の死亡事故が起きてしまいました。自分達の、自分達によ

る、自分達だけは「正しい行政」の結果です、、、。


設計事務所はもっと悪い。こんな仕事は降りるか、建築主に計画を変更させなければいけ

ないのです。建築主はデベロッパーの某大手不動産で、完成後は東南アジアの投資会社に

建物ごと売ってしまうのです。投資物件として利回りは何パーセントですとか言っ

て、、、。世の中、役所も行政も含めて、何かおかしいです、、、。


センサー付けても、チェーンを垂らしても、このタイプの「機械式多段駐車装置」では、

事故は防げません、、、。(「フェンス」をつけても、たぶんダメでしょう、、、。)


最近、国土交通省は「対策」?を始めたようですが、、、。


http://www.mlit.go.jp/common/001036672.pdf


「認可」してしまったのは、国交省ではないのでしょうか、、、?


メーカーの団体?の「公益社団法人 立体駐車場工業会」なる法人では


http://www.ninomiya-co.co.jp/pdf/parkace_news_2.pdf


なる文書を公にしていますが、どこが「公益」なんでしょうか、、、?



追記  また事故が起きてしまいました。

    http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20150429-00000382-fnn-soci 
    
立体駐車場で4歳女児が足を挟まれけが 命に別条なし

福岡市で、立体駐車場の一部に女の子が足を挟まれる事故があった。救出までの

1時間、現場は緊張に包まれた。目撃者は「『痛いよ』という悲鳴が聞こえてき

た。(家族が)ちょっと混乱していた」と語った。28日午後6時45分ごろ、福岡市

内のマンションで、4歳の女の子が立体駐車場の機械に足を挟まれた。

事故当時、女の子は家族と車で出かけるために現場にいた。このとき、一緒にい

たきょうだいが出庫の操作をしたところ、上から下りてきたパレットと床の間

に、女の子の足が挟まったという。近くの住民からの通報で、消防のレスキュー

隊が出動し、女の子は、およそ1時間後に救出された。女の子は、左足にけがを

したが、命に別条はなかった。立体駐車場に関わる事故は、2007年の6月以降、

28件にのぼっていて、国や業界団体は、子どもに操作をさせないことや、装置に

近づけないことなど、十分な注意を呼びかけている。



「させない」とか「注意を呼びかける」とかの問題ではありません。機械装置の安全性の

問題です。もしも、この「公益社団法人 立体駐車場工業会」なる法人に、認可がらみの

国土交通省の役人や、車庫証明がらみの警察官僚や、自動車工業会の定年退職者などが、

「天下り」または、それに類することが行われたりしていたのなら、この国は終わってい

ます。原発と同じです。



追記の追記  機械式立体駐車場の事故(朝日新聞 2021年2月18日の記事)









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