北海道函館市の建築設計事務所 小山設計所

建築の設計のことやあれこれ

Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その7

2021-12-30 15:10:06 | 日記

 

Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム )さんは、ベネディクト派の修道士で

同じベネディクト派の修道院の、フランスのノルマンディーの モン=サン=ミシェル 修道院

(Abbaye  Mont-Saint-Michel)の建築にも携わっているのですが、他にも 40 くらいの修道院の

建築にも携わっていたようなので、962年に 北イタリアのサンジュリオ島 で生まれて、 1031年に

ノルマンディー の フェカン で亡くなった 69年の人生のうち、

 

 

       亡くなった フェカン修道院の Guglielmo 像

 

イタリアとフランスとの間を、かなり頻繁に行ったり来たりしていたのか、それとも最後の 10年

くらい( ? )は、ずーっと ノルマンディーだったのかは、良く判りません。でも、サクラ・ディ

・サン・ミケーレ( Sacra di San Michele )修道院も世界遺産ですし(1979年の登録 )、モン=

サン=ミシェル 修道院(Mont-Saint-Michel)も 世界遺産(1979年の登録 で、同じ年 )なので、

1人で2つの世界遺産の建築に携わっていたことになるんです。

 

 

19世紀初頭( ? )の モン=サン=ミシェル(Mont-Saint-Michel)、何かの工事中

、、、?  尖塔のてっぺんの 大天使ミカエルの像 は、まだありません、、、。

 

 

 

上の写真と、ほぼ同じ向きの現在の島の断面図 (左が北、右がトンボロで繋がる陸地側で南)

 

 

 

10世紀末頃は、こんな感じ、、、?(岩山の頂上の建物は、8世紀の『聖オベールの礼拝堂』708年 ? )

 

 

10世紀末から 11世紀初めなら、962年生まれの Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノ

の聖ウィリアム )さんは、一番の働き盛りの頃 ?

 

 

ヴィオレ・ル・デュク (Viollet-le-Duc  19世紀フランスの建築理論家  1814-1879

ゴシック建築の研究者、何年か前に火災で焼け落ちてしまった  パリのノートルダム

寺院の尖塔を少し高めに設計してしまった人、、、 )さんが、

 

 

 

19世紀に実測したと思われる モン=サン=ミシェル(Mont-Saint-Michel)の平面配置図 

 

                       北

                       南

 

聖堂の身廊(nef principale)と側廊(nef laterale)の長さが、今よりも倍くらい長い  ?

中庭(Cloitre)の形も、聖堂(Eglise)に対する取り付け位置も何だか違うし、島の北側

の La Merveille『 驚嘆すべき巨大な擁壁』(後出)の角度も、微妙に違うみたいだ、、、。

(もしかしたら、ずれているのかな ? )空き地に見えるのは、岩石の崖や修道士のお墓  ? 

 

 

 

現在の平面配置図 (もうビッシリ埋まっている、、、。陸繋島のトンボロは左下 ) 

 

 

 

drone による空中映像

 

 

 

 

                                              Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その8につづく

 

 

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Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その6

2021-12-30 15:09:41 | 日記

 

サクラ・ディ・サン・ミケーレ( Sacra di San Michele )修道院は、ベネディクト派の修道院なので、

Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム )さんも、ベネディクト派の修道僧だった

と思います。

 

我が家から歩いて 10分くらいの、函館市上湯川町の 『天使の聖母トラピスチヌ修道院(女子)』と、

道南の渡島当別にある 『灯台の聖母トラピスト修道院(男子)』は、どちらも ベネディクト派から

分派した『 戒律シトー会 』の修道院。最近(と言っても20年くらい前)、一般の信者さんのための

礼拝堂が、修道院の前に建てられました。(当別の方は古い礼拝堂の建て替え)

 

 

天使の聖母トラピスチヌ修道院(女子)の『 旅人の聖堂 』

 

 

 


灯台の聖母トラピスト修道院(男子)の『 カトリック聖リタ教会聖堂 』


        風祭哲哉さん『日本に、もっと恋する旅』https://travellovers.jp/ より

 

どちらも、香山壽夫 先生(こうやま  ひさお  東京大学名誉教授 )が設計してくださいました。

( 香山先生、ブルネレスキの「Rotonda del Brunelleschi」お好きだったんでしょうか ? )

 

 

灯台の聖母トラピスト修道院(男子)には、舟越桂さんの『聖母子像』もあります。

 

        

           灯台の聖母トラピスト修道院ホームページより 

 

      舟越桂さんのお母様(彫刻家 舟越保武さんの奥様)は、

      函館のフランス料理店『五島軒』の出身なのです、、。

 

 

 

戒律シトー会 の女子修道院としては、兵庫県西宮市に  『シトー会 西宮修道院』(1969年)があります。





 


こちらは 村野藤吾さんの設計です。






まるで植栽計画の中に、修道院があるみたいです、、、。建設時期が1年しか違わないので

東京三鷹の『旧ルーテル神学大学職員住宅』(1970年)と、仕上げが似ていませんか ?

 

 

『シトー会 西宮修道院』の、このブリッジが好きでした、、、。

 

 

 

 

でも、もう少し見上げるくらいの高い位置を飛んでいて、長かった気がするんですけど、、、。

 

 


            Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その7につづく

 

 

 

追記  聖堂のすぐ脇に、長いブリッジあったかも知れません。(北側から見たところ、十字架のマークのあたり)

 

    

 

                                        皆様 良いお年を、、、。

 

 

 

 

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Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その5

2021-12-30 15:06:16 | 日記

 

サクラ・ディ・サン・ミケーレ( Sacra di San Michele )修道院は、とんでもない

急峻な岩山の上に建っています。聖堂は、さらに、そのてっぺんです。

 

 

 

     

 

                (断面図にあわせて回転させて、向きを変えてあります。 )

 

 

聖堂のYoutube

 

 

 

後陣(アプス  Apse )の壁とヴォールト天井が煉瓦積みだったり、交差リブ・ヴォールト(Rib vault)の

天井のヴォールト部分の仕上げが漆喰(? )だったり、ところどころの天井が、下地の木の梁や野地板が、

そのまま「あらわし」だったして、いろいろな材料がまざっていて、結果、いろいろな色も混ざって、

質素と言えば使っている材料は質素なんですけれども、これほど美しい聖堂は他にないかも知れません。

 

 

 

 

 

聖堂までは、後陣(アプス  Apse )のはるか下の入り口から、いちど建物の下に入って、

かなり急な階段を何度も折り返して登り、フライング・バットレス( 飛梁:flying buttres )

のある外部に出て(普通は両側にあるのに、建物の片側だけは珍しい、、、 )、さらに

フライング・バットレスの下の外部階段を何段も登って、側廊(Aisle )の横の入り口から

入ります。(側廊 の脇から入る聖堂も、珍しいかも知れません、、、。)

 

 

     一番上が後陣(アプス  Apse )の背面

 

 

                               一番下の真ん中が入り口

 

 

少し長いですが、階段とフライング・バットレスからの Youtube 動画

魚眼気味の広角で揺れるので、画面から離れて見た方が良いかと、、、

 

 

 

サクラ・ディ・サン・ミケーレ( Sacra di San Michele )修道院の

ホームページ https://sacradisanmichele.com/en/virtual-tour/

に、バーチャル・ツアー   Virtual  Tour   あります。(重いです)

 

 

ともかく、途方もない建築です。Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム )

さんと、その修道士さんたちの、長い年月、、、、。言葉もありません、、、、。

 

 

 

            Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その6につづく

 

 

 

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Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その4

2021-12-27 12:46:11 | 日記

 

サクラ・ディ・サン・ミケーレ( Sacra di San Michele )修道院の Google Map  

衛星写真の右上(北東)が、ちょうど、雲か山の影にかかってしまっています、、、。

 

 

 

 

   その サクラ・ディ・サン・ミケーレ修道院 の平面図

 (上が北になるように90°右に回転させてあります)


 

 

   なんとも不思議な平面図で、MRI か CT の断層画像みたいな平面図

(あとから出てくる聖堂の床のレベルではなくて、もっと下のレベル

    か、それとも、もっと古い時代の 増改築を繰り返したプラン ? を

    ダブらせて描いてあるのか ? ちょっと判りません、、、。)

 

 


    同じく、参道 ? を含む サクラ・ディ・サン・ミケーレ修道院 の配置図。











  これは、たぶん、北イタリアの別の場所に作った、映画の撮影用のセット

 

 



そのセットの平面図だと思うんですけど、、、。塔みたいな図書室が、やたらとデカイ、、、。




          まるで、映画の各々のシーンの為の建物が、撮影所のスタジオのように

          整然と修道院の周囲に並んでいる、これもまた不思議な平面図、、、。

 



でも、映画のスクリーンだと、こうなる、、、。小さくてはアカンのです、、、。








迷路のような図書室の平面図。大文字のアルファベットは、

何を意味しているのかな、、、? 本の表紙と微妙に違う、、、。








映画の最後のほう、その迷路のような図書室のシーン。





 



           Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その5につづく
  

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Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その3

2021-12-27 09:56:46 | 日記



平凡社ライブラリー  林達夫+久野収

『思想のドラマトゥルギー』(1974 年)







その巻末、池澤夏樹さんの解説『陽気な哲学者』(1993 年)にこうあります、、、。



   (前略)


  例を挙げよう。この本(註:『思想のドラマトゥルギー』)の308ページあたりに

 喜劇論がある。この話題の展開ぶりを見てみる。始まりは柳田国男の笑い論は上品

 な笑いだけを対象としていて、俗の笑いが脱落しているという、林がかつて書いた

 批判の文章。柳田が性の問題を無視したことによってせっかく開いた民俗学の視野を

 狭めたことは今では常識と言ってよい (柳田のこの点に対する最も雄弁でしかも

 具体的な批判が、宮本常一の 『土佐源氏』である)。


   (中略)
 

 ぼくは何度か林さんに会うという幸運に恵まれ、その優しくて、しなやかで、しかも

 おそるべき博学に裏打ちされた談話の楽しさを身をもって味わっている。この世に生ま

 れて幸運は少なくなかったが、これは別格。そして、もしも今も林さんがご存命で、

 たまたまこの久野さんと林さんの対談の場に陪席できたとしたら、そして林さんが前と

 同じように五十歳も年下のぼくなどの言うことも聞いてくれたとしたら、ここでは

 ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』という長い小説のことを口にしたと思う。なんと

 言ってもこの小説は中世の修道院を舞台にしており、カトリックの教養や、異端審問や、

 修道院の日常生活や、珍しい殺人の方法を語る果てに、アリストテレスの失われた喜劇論

 という、あまりにも林達夫的なテーマを中心に据えているのだ。そう、すべての基礎には

 笑いがある。あるべきなのだ。



   (後略)




ウンベルト・エーコ(Umberto Eco)さんの 小説

『薔薇の名前(Il nome della rosa)』(1980年)









映画版の予告編。主役は ショーン・コネリー( Sean Connery)さん。








サクラ・ディ・サン・ミケーレ( Sacra di San Michele )修道院は、小説

『薔薇の名前(Il nome della rosa)』に出てくる修道院のモデルなのです。












                    Guglielmo da Volpiano ( ヴォルピアーノの聖ウィリアム ) その4につづく




コメント (2)
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