アメリカのイリノイ州の州都シカゴの西90kmくらい、やや南、フォックス川という川の河畔に
ファンスワーズ邸(Farnsworth House)という、建築の設計の世界では超有名な、鉄骨建ての
住宅が建っているんです、、、。
こんな家なんですけど、、、
ところが、この住宅の敷地は洪水危険地帯のど真ん中だったのです、、、。(中央の赤丸)
左はお施主さんのファンスワーズ(Farnsworth)さん。女医さんで腎臓専門医だったらしい、、。
右は設計したルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)さん。
(お二人のなれそめや、その後の詳しい事情については、このブログでは割愛、、、。)
(2分57秒あたりに、このブログの2016-08-13の記事『Chicago 'L'』の古い車両が出て来ます。)
この建物、少なくとも洪水に4回は遭っています。(特に近年多いので、例の地球温暖化、、?)
1954年 まだ、建ってわずか3年目。床上60cm。
1996年 床上1m50cm? 水周りと化粧合板が損傷。(1m50cmなら損傷どころでない、、、。)
1997年 床上5cm。それまでの?見積もりを取ったら、補修費用は何んと5000万円以上、、。
2008年 床上46cm。
(以上、Wikipediaから、床上浸水のインチ・フィートの
数字を拾いましたが、間違っていたらごめんなさい。)
ローエ(Rohe)さん、念のために、かなり高床にはしていたのですが、、、。
建て主のファンスワーズさんは、1972年にイタリアに引越してしまって、この家を買った英国人
は、2001年にイリノイ州に7000万ドル(約7億円?)で買うように話を持ちかけますが交渉決裂、
結局2003年にサザビーズ(Sotheby's)で競売にかけられて、1951年当時に建築費7万4000ドル
(当時1ドル360円のレート換算で2664万円? 今なら7080万円?)だったこの家は、The National
Trust for Historic Preservation and Landmarks Illinoisに、7500万ドル(約8億2000万円?)
で落札されたそうなんです、、、。(計算間違ってないかな、、、?)
でも、2003年にイリノイ州のナショナルトラストの管理下になった後も、この家は2008年の洪水
で、またしても水没してしまった訳で、、、。これを何とかしようと提案したのが、前の記事
『大手術』で、大手術をした Robert Silman さん。
最初の案は、そのままの場所で盛土して建物を持ち上げてしまおうと言うのですが、これでは
建物も景観もスポイルされてしまいます、、、。
Farnsworth House Flood Mitigation Project- Option A - Elevate from Saving Places on Vimeo.
次は、同じ敷地の中の少し離れたもう少し高い場所に『曳家(ひきや)』をしようと言う
のですが、Robert Silman さんいわく、『費用が掛かり過ぎる。』のだそうです。
最後の案が、Robert Silman さんのお薦めらしく、遊園地の巨大遊具のように、4セットの
油圧シリンダーと巨大ジャッキの組み合わせで、洪水時に建物全体をリフトアップしてしま
おうと言うものなのですが、、、
Farnsworth House Flood Mitigation Project- Option C - Hydraulics from Saving Places on Vimeo.
ですが、今現在でも、そんな工事をしたなんて聞いた事もありませんので、
また洪水が来たら、、、また水没してしまうと思うんですけど、、、。
敷地選定の際には、その土地の『冠水歴』に気をつけましょう。地盤の良し悪しはもちろんです。
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