「3.11を経て 映像作家のまなざし」というプログラムGを観てきたのでした。
制作者が最後におっしゃっておられましたが、去年一年、自分は何をしていたのだろうと思わざるを得ないですね、確かに。
「チェンマイ チェンライ ルアンパバーン」という作品は、タイとラオスで映した光景をまったりとした語りと共に見せるのんびりムーヴィーだなあと思っていたら、「人殺しの赤いつぶつぶ」が出てきて、タイ・ラオスと日本とが強烈に対比され始めます。色々な感想があろうかと思うのですが、ぼくが一番怖かったのは、語り手の声の変化。あんなにまったりと喋っていた撮影者の声を、これほど緊迫した峻厳なものに変えてしまう原発事故の恐ろしさ。
お目当ての「663114」は、なんとなく既視感のある結末でベタと言えばベタなのですが、しかしやはりこれも怖い。戦後66年に起きた3月11日の4基の原発事故、という意味らしいですが、ふむ。9・11もそうですが、出来事を数字に還元してしまう方法には異論もあるわけで、というのも人の死を記号化してしまっているからですが、この作品の場合は、そういう数字/記号の持つ無機質さを逆手にとって、不気味さを醸成しているようにも感じました。なんていうか、蝉が主人公なのですが、何があっても生きようとする蝉の健気さに対する大事故の無情さが、感情の欠片も感じさせない記号に体現されている気がしたのです。この数字の持つ冷酷な感じ、得体の知れなさ、そういうものが作中に瀰漫している。
ところでミランダ・ジュライ『ザ・フューチャー』を観たいのですが、渋谷でレイトショーだけかよ。連休中にパークタワーでやってほしかったなあ。
制作者が最後におっしゃっておられましたが、去年一年、自分は何をしていたのだろうと思わざるを得ないですね、確かに。
「チェンマイ チェンライ ルアンパバーン」という作品は、タイとラオスで映した光景をまったりとした語りと共に見せるのんびりムーヴィーだなあと思っていたら、「人殺しの赤いつぶつぶ」が出てきて、タイ・ラオスと日本とが強烈に対比され始めます。色々な感想があろうかと思うのですが、ぼくが一番怖かったのは、語り手の声の変化。あんなにまったりと喋っていた撮影者の声を、これほど緊迫した峻厳なものに変えてしまう原発事故の恐ろしさ。
お目当ての「663114」は、なんとなく既視感のある結末でベタと言えばベタなのですが、しかしやはりこれも怖い。戦後66年に起きた3月11日の4基の原発事故、という意味らしいですが、ふむ。9・11もそうですが、出来事を数字に還元してしまう方法には異論もあるわけで、というのも人の死を記号化してしまっているからですが、この作品の場合は、そういう数字/記号の持つ無機質さを逆手にとって、不気味さを醸成しているようにも感じました。なんていうか、蝉が主人公なのですが、何があっても生きようとする蝉の健気さに対する大事故の無情さが、感情の欠片も感じさせない記号に体現されている気がしたのです。この数字の持つ冷酷な感じ、得体の知れなさ、そういうものが作中に瀰漫している。
ところでミランダ・ジュライ『ザ・フューチャー』を観たいのですが、渋谷でレイトショーだけかよ。連休中にパークタワーでやってほしかったなあ。