いま歩んでいる道の辿りつく先には、どんな季節が待っているのだろうと、ふと考えた。
それはきっと冬であるような気がした。あるいは晩秋。
ぼくは晩秋が好きだな。ロシアには晩秋なんてあるのだろうか。
東京の冬の夜、一人で歩く舗道。充分に雨を吸ったアスファルトは、漆を塗られたように黒々と光っている。街灯は薄ぼんやりと点っている。ぼくはこの道へ向かっている。いま歩んでいる坂道は、この舗道へと続いている。この冬へと続いている。あの日へと続いている。にゅっと突き出た小枝の茂みをぼくはさりげなくよけるだろう。水たまりをよけるように。電信柱に手を触れる。その氷のような冷たさにぼくは驚く。そうだ、この道は冬に続いている。
それはきっと冬であるような気がした。あるいは晩秋。
ぼくは晩秋が好きだな。ロシアには晩秋なんてあるのだろうか。
東京の冬の夜、一人で歩く舗道。充分に雨を吸ったアスファルトは、漆を塗られたように黒々と光っている。街灯は薄ぼんやりと点っている。ぼくはこの道へ向かっている。いま歩んでいる坂道は、この舗道へと続いている。この冬へと続いている。あの日へと続いている。にゅっと突き出た小枝の茂みをぼくはさりげなくよけるだろう。水たまりをよけるように。電信柱に手を触れる。その氷のような冷たさにぼくは驚く。そうだ、この道は冬に続いている。