前回はきっかけについてお話ししました。
今後は予防とは何か、について。
虫歯や歯周病は生活習慣病と言われています。
生活習慣を正せば予防できる、という見方です。
その観点から行けば、予防歯科学で学習する
"Kyesの輪"(三つの輪とか四つの輪を見たことありますか?また詳しく説明します)
は予防に貢献します。
しかし、感染症という部分に注目すべきところもあります。
歯科に限らず感染症にはかかりやすさ、かかりにくさという差があります。
そこを視点にすると、一般的な生活習慣病を正すような集団に対する虫歯予防では不足してしまう、こぼれてしまう方々がいらっしゃいます。
(一番に気をつけるべき対象は小児です。
小児の時代の歯科予防は永久歯に影響します。)
個々の感染症と捉えるならば内科と同様に、感染予防を行う、また、予防医学の第一次予防、第二次予防、第三次予防が必要になるわけです。
15年開業医として臨床の現場を見つめてきて、
偶然にもお子さんとお母さんを中心にした歯科医院を行ってきたことがいろいろ浮かばせます。
ただ歯科医師になったり、専門医の資格を与えられることは、言えば受験の枠の中で、ドラえもんの暗記パンを食べるようなものです。
文字をパンに写し、パクパクただ食べれば試験で点数が取れるあの暗記パン。
資格獲得主義と言うか、現代は、暗記パンを食べて資格を取れば終わりという時代ですが、
歯科で言えば、そこから何を見つめて歯科医療を行うかが、臨床だと思います。
歯科医師になり治療技術を上げるべことも大切なスキルアップかもしれません。
しかし"気づきがある"ということは、なかなか無いようです。
さらにその気づきを治療の上で個々の患者さんへ差し出す、さらにはコメントをもっと広くパブリックへ提示するというところに向かうことも、巷ではあまり無いように見受けます。
患者さんから
「先生はもうけるのがヘタ〜!」
と笑われながらも、、
私が歯科医療が続けられている理由は、
そういう"気づきを差し出す"部分にあるとも言えそうです。
...きっと終着点はそこを目指してきたのだと思います。
話をもとに戻し...。
つまり、歯科の予防と言われてきたものは、
緩やかに転換期を迎えているのです。
集団で単に生活習慣を予防してきたものから、
それに加えて、
個人個人のかかりやすさを予防するものもプラスしていく必要性があるのです。
歯は虫歯で穴が空いたり削れば、元に戻ることはありません。
歯周病も歯茎だけでなく骨を溶かす病気で、骨が溶ければ独りでに骨折後の回復のように
回復することはないのです。
予防は大切なのです...。