現代っ子の ”顎が弱い” と言われるのは実際にはどういうことか?
顎が弱い、とはどんなことを言うか?
ということの二点目です。
つい最近ですが、15分ほどの治療時に口を開けていて、顎が閉まりにくくなったお子さん達がいました。
顎を開けていたら閉まりにくくなった、というのも、顎が弱くなった結果だと言えます。
例えば大人の治療で長時間奥歯の処置をした、とか、一番後ろの親知らずの処置をしていた、
ということであれば、顎の閉まりにくさを感じる人がいるかもしれません。
もしくは老人で、顎の関節が老化により戻りにくい形状になってしまった場合や、顎を閉めるための閉口筋の筋力が低下している場合ならば、わかります。
この、15分ほどの治療で、顎が閉まりにくそうな様子をしたお子さん達を見た時は、さすがに絶句しました。ここまで顎が弱っているのかな?と。
これも10-15年前には見られることがなく、予想できなかった問題です。
世論として”顎が弱い”という表現を、私が歯科医師として診察する時に見る状況に置き換えれば、これらの二点になります。
顎を開けることも、閉じようとすることも、身体能力的に低下している、
言えば、「顎を開閉する何気ない動作」がこのように低下しているというのが現状です。
それは何からきたのでしょうか?
それを考えれば、やはり食生活の変化、ということに行きつきます。
口を動かすというのは食事のために咬む運動と言えます。
冒頭で述べたことです。
しかしながら単に食事だけにとどまらず、他の生活環境も考慮すべきでしょう。
小さいうちから体全体を動かしていない、ということも、一因にあるのです。
しっかりと階段を上ったり、ドアを自分で開け閉めしたり。これらは自動に任せていることが多いのではないでしょうか。
外遊びはどうでしょうか。
木登りをしたり、木にぶらさがったり・・・やや大昔過ぎますが、こういうことは、公園の遊具でもいいんです。
鉄棒や雲梯にぶらさがったり、ブランコでしっかりつかまったり、ボールを投げたり・・・
走ったり、飛び跳ねたり・・・そういった体を動かす遊びを、
小さいころからしているでしょうか。
そういう体の動きには必ず歯を食いしばるという動作が関わってきます。
歯を食いしばったほうが姿勢を保てるとか、重いものを持てるとか、運動能力が上がる、とか
最近ではそんなふうな結果に行きついたデータも世の中にはあります。
では、そもそもなぜ人は歯を食いしばるのでしょう。
そういったデータがあるから人は歯を食いしばるのでしょうか。
誰かに教わったことでしょうか?
ここから、歯を食いしばることをなぜ人はするのか?という考察ができます。
頭を支えるために歯を食いしばる、食いしばることで体に力をこめられるということも言われていますが、
ここでは運動をするときに下顎が自然と口を閉じ、歯を食いしばる、という下顎の動作に着目して考えます。
私は、運動をする時に歯を食いしばることをするのは、体の動きのために、下顎の重さを支え歯を食いしばって運動をしなければバランスが悪いのだと思うのです。
下顎は人の頭にブランコのようにぶら下がっているだけなのです。
それを様々な筋肉などの組織が頭と繋げています。
つまり、ぶらぶらの状態なのです。
そして、運動時、歯を食いしばってない状況では口が開きやすく、そのような状態で運動すると、舌や頬の内側の粘膜を咬んでしまいます。
その上、口の中の口腔粘膜全体、つまり口唇、舌、頬粘膜、軟口蓋(上あごの最後方)のポジションが悪くなります。
それは、正常な呼吸を妨げる原因にもなります。鼻呼吸も口呼吸もそれぞれ入口から気道までの道筋の確保が必要なのです。
それから、口が開きやすい状況で運動をすると、口の中は乾ききってしまいます。
そういうことでは継続的に運動をすることは難しい、などの理由もあるのではないかと考えています。
また、集中力を高めるという意味で反射的に歯を食いしばっているのではないか?
と思います。
食いしばることで、閉口筋と呼ばれるグループの側頭筋が働きます。
頭の横に手を当てて食いしばってみてください。
側頭筋が働くことで、意識がギュッと頭部に集中できるのがわかります。
ですので、言ってみれば反射的に人は運動をする時に歯を食いしばるようにできているのではないか?
と思うのです。
それは結果として、データで出ているように運動能力を上げることになっているのではないでしょうか。
そうやって、体を動かすと反射的に歯を食いしばるのに、現代ではそういう反射も利用できていない。
おまけに、大声を出す環境も減っています。
幼稚園や小学校の近隣にも騒音を気にしなければいけない時代です。
子供達が守られていたはずの公園は犯罪の温床になる場所もあると言われています、集まって大声で遊べる公園があるというのは恵まれた場所になっています。
大声を出す、というのは大口を開ける、大口を開けて大笑いする、ということです。
これも反射的に行う動作です。
そんな風に体を動かすことをするからこそ、顎は自然と使われていたのですが、
そういうことも失われています。
そして、体を動かすから、おなかが空くのです。
おなかが空く、という感覚が曖昧になってしまうほど、
食べものが手に入る環境が整いすぎていることが、
さらなる問題と言えます。
つづく
顎が弱い、とはどんなことを言うか?
ということの二点目です。
つい最近ですが、15分ほどの治療時に口を開けていて、顎が閉まりにくくなったお子さん達がいました。
顎を開けていたら閉まりにくくなった、というのも、顎が弱くなった結果だと言えます。
例えば大人の治療で長時間奥歯の処置をした、とか、一番後ろの親知らずの処置をしていた、
ということであれば、顎の閉まりにくさを感じる人がいるかもしれません。
もしくは老人で、顎の関節が老化により戻りにくい形状になってしまった場合や、顎を閉めるための閉口筋の筋力が低下している場合ならば、わかります。
この、15分ほどの治療で、顎が閉まりにくそうな様子をしたお子さん達を見た時は、さすがに絶句しました。ここまで顎が弱っているのかな?と。
これも10-15年前には見られることがなく、予想できなかった問題です。
世論として”顎が弱い”という表現を、私が歯科医師として診察する時に見る状況に置き換えれば、これらの二点になります。
顎を開けることも、閉じようとすることも、身体能力的に低下している、
言えば、「顎を開閉する何気ない動作」がこのように低下しているというのが現状です。
それは何からきたのでしょうか?
それを考えれば、やはり食生活の変化、ということに行きつきます。
口を動かすというのは食事のために咬む運動と言えます。
冒頭で述べたことです。
しかしながら単に食事だけにとどまらず、他の生活環境も考慮すべきでしょう。
小さいうちから体全体を動かしていない、ということも、一因にあるのです。
しっかりと階段を上ったり、ドアを自分で開け閉めしたり。これらは自動に任せていることが多いのではないでしょうか。
外遊びはどうでしょうか。
木登りをしたり、木にぶらさがったり・・・やや大昔過ぎますが、こういうことは、公園の遊具でもいいんです。
鉄棒や雲梯にぶらさがったり、ブランコでしっかりつかまったり、ボールを投げたり・・・
走ったり、飛び跳ねたり・・・そういった体を動かす遊びを、
小さいころからしているでしょうか。
そういう体の動きには必ず歯を食いしばるという動作が関わってきます。
歯を食いしばったほうが姿勢を保てるとか、重いものを持てるとか、運動能力が上がる、とか
最近ではそんなふうな結果に行きついたデータも世の中にはあります。
では、そもそもなぜ人は歯を食いしばるのでしょう。
そういったデータがあるから人は歯を食いしばるのでしょうか。
誰かに教わったことでしょうか?
ここから、歯を食いしばることをなぜ人はするのか?という考察ができます。
頭を支えるために歯を食いしばる、食いしばることで体に力をこめられるということも言われていますが、
ここでは運動をするときに下顎が自然と口を閉じ、歯を食いしばる、という下顎の動作に着目して考えます。
私は、運動をする時に歯を食いしばることをするのは、体の動きのために、下顎の重さを支え歯を食いしばって運動をしなければバランスが悪いのだと思うのです。
下顎は人の頭にブランコのようにぶら下がっているだけなのです。
それを様々な筋肉などの組織が頭と繋げています。
つまり、ぶらぶらの状態なのです。
そして、運動時、歯を食いしばってない状況では口が開きやすく、そのような状態で運動すると、舌や頬の内側の粘膜を咬んでしまいます。
その上、口の中の口腔粘膜全体、つまり口唇、舌、頬粘膜、軟口蓋(上あごの最後方)のポジションが悪くなります。
それは、正常な呼吸を妨げる原因にもなります。鼻呼吸も口呼吸もそれぞれ入口から気道までの道筋の確保が必要なのです。
それから、口が開きやすい状況で運動をすると、口の中は乾ききってしまいます。
そういうことでは継続的に運動をすることは難しい、などの理由もあるのではないかと考えています。
また、集中力を高めるという意味で反射的に歯を食いしばっているのではないか?
と思います。
食いしばることで、閉口筋と呼ばれるグループの側頭筋が働きます。
頭の横に手を当てて食いしばってみてください。
側頭筋が働くことで、意識がギュッと頭部に集中できるのがわかります。
ですので、言ってみれば反射的に人は運動をする時に歯を食いしばるようにできているのではないか?
と思うのです。
それは結果として、データで出ているように運動能力を上げることになっているのではないでしょうか。
そうやって、体を動かすと反射的に歯を食いしばるのに、現代ではそういう反射も利用できていない。
おまけに、大声を出す環境も減っています。
幼稚園や小学校の近隣にも騒音を気にしなければいけない時代です。
子供達が守られていたはずの公園は犯罪の温床になる場所もあると言われています、集まって大声で遊べる公園があるというのは恵まれた場所になっています。
大声を出す、というのは大口を開ける、大口を開けて大笑いする、ということです。
これも反射的に行う動作です。
そんな風に体を動かすことをするからこそ、顎は自然と使われていたのですが、
そういうことも失われています。
そして、体を動かすから、おなかが空くのです。
おなかが空く、という感覚が曖昧になってしまうほど、
食べものが手に入る環境が整いすぎていることが、
さらなる問題と言えます。
つづく